視界のゆがみ、変視症とは
眼のことを教えて
先生、「変視症」って、どういう症状のことですか?
眼の研究家
いい質問ですね。「変視症」は、物が実際の形とは違って歪んで見える症状のことです。例えば、格子模様の線がゆがんで見えたり、物が大きく見えたり小さく見えたりするのです。
眼のことを教えて
へぇー、物が歪んで見えるなんて、なんだか怖いですね。どうしてそんな風に見えてしまうのですか?
眼の研究家
変視症の原因はいくつかありますが、特に多いのは網膜の浮腫です。網膜はカメラでいうとフィルムの役割をする場所で、ここに異常があると、ものが歪んで見えてしまうことがあるのです。 他にも、白内障や黄斑変性症などが原因となることもあります。
変視症とは。
「変視症」は、ものの形がゆがんで見えてしまう目の病気です。多くの場合、網膜がむくむことが原因です。
ものがゆがんで見える病気
ものがゆがんで見える病気は、変視症と呼ばれ、視界に入ってくるものが、実際の形とは異なって歪んで認識されてしまう病気です。
例えば、規則正しく線が引かれた格子模様を見た時、本来はまっすぐであるはずの線が波打って見えたり、まっすぐ立っている電柱が曲がって見えたりすることがあります。
この症状は、片方の目にだけ現れる場合もあれば、両方の目に現れる場合もあります。また、症状の程度や現れ方は人それぞれで、常に症状が現れている人もいれば、一時的にしか症状が現れない人もいます。
変視症の原因は、網膜や視神経など、目から脳へ視覚情報を伝える経路に異常が生じることによって起こると考えられています。加齢黄斑変性や網膜剥離などの網膜の病気や、視神経炎などの視神経の病気が原因となることがあります。
また、片頭痛に伴って一時的に変視症が起きる場合もあります。
ものがゆがんで見える場合は、早めに眼科を受診して、適切な検査を受けるようにしましょう。
症状 | 原因 | その他 |
---|---|---|
ものがゆがんで見える(変視症) 例:格子模様の線が波打って見える、電柱が曲がって見える |
網膜や視神経など、目から脳へ視覚情報を伝える経路に異常が生じる ・加齢黄斑変性 ・網膜剥離 ・視神経炎 ・片頭痛 |
・片方の目または両方の目に現れる ・症状の程度や現れ方は人それぞれ ・常に症状が現れる場合もあれば、一時的にしか現れない場合もある |
変視症の原因
– 変視症の原因
視界の中心や周辺に見え方に異常が生じる変視症は、眼球の奥にある、カメラのフィルムのような役割を担う網膜という組織に異常が生じることで起こります。
網膜は、光を感知し、その情報を脳に伝えることで、私たちがものを見ることができるようにする重要な役割を担っています。
網膜に何らかの異常が発生すると、この光の情報が脳に正しく伝わらなくなり、視界に歪み、ゆがみ、暗点などの異常が現れるようになります。
変視症を引き起こす病気として最も多いのは網膜浮腫です。網膜浮腫は、網膜に水分が溜まってしまう病気で、視界がぼやけたり、歪んで見えたりします。
また、加齢に伴い網膜の中心部が萎縮する加齢黄斑変性や、網膜が剥がれてしまう網膜剥離なども変視症の原因となります。
その他、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの網膜の病気でも変視症が起こることがあります。
変視症は放置すると症状が悪化し、失明に至る可能性もある病気です。
視界に少しでも異常を感じたら、早めに眼科を受診することが大切です。
変視症の原因となる病気 | 症状 |
---|---|
網膜浮腫 | 網膜に水分が溜まり、視界がぼやけたり、歪んで見えたりする |
加齢黄斑変性 | 加齢に伴い網膜の中心部が萎縮する |
網膜剥離 | 網膜が剥がれてしまう |
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの網膜の病気 | – |
網膜の浮腫とは
– 網膜の浮腫とは
私たちの目は、カメラに例えると、レンズの役割をする水晶体と、フィルムの役割をする網膜で構成されています。網膜は、眼球の内側にある薄い膜で、光を感じ取ることで、私たちに景色を見せてくれる重要な役割を担っています。
この網膜に、何らかの原因で水分が溜まってしまう病気を、網膜浮腫と呼びます。網膜は、本来水分を多く含む組織ではありません。しかし、炎症や血管の異常などが起こると、血管から水分が漏れ出し、網膜に溜まってしまいます。この状態が続くと、網膜がむくんでしまい、視力に影響を及ぼすようになるのです。
網膜の中心には、黄斑と呼ばれる重要な部分があります。黄斑は、ものの形や色を識別する、視力にとって最も重要な部分です。網膜浮腫によって、この黄斑がむくんでしまうと、視力が低下したり、物がゆがんで見えたり、物が小さく見えたりするなどの症状が現れます。
網膜浮腫を引き起こす病気には、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症など、様々なものが知られています。これらの病気によって網膜の血管が傷つくと、そこから水分が漏れ出しやすくなるためです。放置すると、視力がさらに低下したり、最悪の場合失明に至る可能性もあるため、早期の発見と治療が非常に重要です。
部位 | 役割 | 網膜浮腫との関係 | 症状 |
---|---|---|---|
網膜 | カメラのフィルムの役割 光を感じ取り、景色を認識 |
水分が溜まると網膜浮腫になる 炎症や血管の異常で水分が漏出 |
網膜がむくみ、視力に影響 |
黄斑 | 網膜の中心部 ものの形や色を識別 視力にとって最も重要な部分 |
網膜浮腫で黄斑がむくむ | 視力低下 物がゆがんで見える 物が小さく見える |
変視症の検査
– 変視症の検査について変視症とは、見ている景色の一部がゆがんで見えたり、一部分が見えにくくなったりする症状を指します。この症状が現れた場合には、眼科を受診して適切な検査を受ける必要があります。変視症の検査では、視力検査、眼底検査、アムスラーチャート検査など、いくつかの検査を組み合わせて原因や症状の程度を詳しく調べます。まず、視力検査では、どの程度視力が低下しているかを調べます。しかし、視力検査だけでは変視症の有無を正確に判断することはできません。そこで、眼底検査を行います。眼底検査では、瞳孔を開いて眼底の状態を詳しく観察します。眼底とは、眼球の一番奥にある、光を感じる神経の膜のことです。眼底検査によって、網膜の浮腫や黄斑変性など、変視症の原因となっている病気を特定することができます。さらに、アムスラーチャート検査を行います。この検査では、格子状の模様を見て、線がゆがんでいないか、または一部分が見えにくいところがないかを確認します。これにより、変視症の程度を把握することができます。これらの検査結果に基づいて、医師は患者様一人ひとりの状態に合わせた治療法を検討します。変視症は放置すると視力低下が進行する可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。目のゆがみなど、少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診しましょう。
検査名 | 目的 |
---|---|
視力検査 | 視力低下の程度を調べる |
眼底検査 | 網膜の浮腫や黄斑変性など、変視症の原因となる病気を特定する |
アムスラーチャート検査 | 変視症の程度を把握する |
変視症の治療
視界がゆがんで見える変視症の治療法は、原因によって異なってきます。 ものがゆがんで見える原因の一つに、網膜に水が溜まってしまう「網膜浮腫」があります。網膜浮腫が原因で起こる変視症の治療では、レーザー治療や注射による治療が行われます。レーザー治療は、網膜にレーザーを照射することで、むくみの原因となる部分を抑え込みます。また、注射による治療では、血管新生抑制剤やステロイド剤などを眼球内に注射することで、炎症やむくみを抑えます。
物がゆがんで見えるもう一つの原因として、加齢黄斑変性が挙げられます。加齢黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑に異常が起こる病気です。加齢黄斑変性が原因で起こる変視症の治療では、抗VEGF薬という、血管の成長を抑える薬を眼球内に注射します。
さらに、網膜剥離が原因で変視症が起こることもあります。網膜剥離は、網膜がはがれてしまう病気です。網膜剥離が原因で起こる変視症の治療では、手術が必要になることもあります。治療法は、変視症の原因や症状の程度によって異なりますので、眼科医の指示に従って適切な治療を受けることが大切です。
原因 | 治療法 | 詳細 |
---|---|---|
網膜浮腫 | レーザー治療 | 網膜にレーザーを照射し、むくみの原因となる部分を抑え込む |
注射による治療 | 血管新生抑制剤やステロイド剤などを眼球内に注射し、炎症やむくみを抑える | |
加齢黄斑変性 | 抗VEGF薬の注射 | 血管の成長を抑える薬を眼球内に注射する |
網膜剥離 | 手術 | 網膜がはがれてしまう病気であり、手術が必要になることもある |
日常生活での注意点
物が歪んで見えたり、景色が波打つように感じたりする変視症と診断された場合、日常生活において注意すべき点がいくつかあります。
まず、車の運転は控えるようにしましょう。視界がゆがんだ状態での運転は、自身だけでなく周囲の人々を危険にさらす可能性があります。安全確保のため、症状が治まるまでは運転は控え、公共交通機関を利用したり、家族や友人に送迎を頼んだりするなどしましょう。
また、読書や細かい作業など、視力を必要とする作業も症状が出ている間は避けましょう。視界が不安定な状態で無理に作業を続けると、目に負担をかけるだけでなく、集中力の低下や疲労感を招き、症状が悪化する可能性もあります。症状が改善したら、徐々に作業時間を延ばしたり、作業内容を調整したりするなどして、無理なく再開していくように心がけましょう。
そして、定期的に眼科を受診し、医師の指示に従って治療を続けることが非常に大切です。自己判断で治療を中断したり、市販薬を使用したりすると、症状が悪化する可能性もあります。医師の指導のもと、適切な治療を継続することで、症状の改善や進行抑制が期待できます。
変視症は、日常生活に支障をきたす可能性のある病気ですが、注意すべき点を守り、適切な治療を継続することで、症状をコントロールし、日常生活を送ることができます。医師や周りの人のサポートを得ながら、前向きに病気と向き合っていきましょう。
注意事項 | 詳細 |
---|---|
車の運転 | 視界がゆがんだ状態での運転は危険なので、症状が治まるまでは運転を控えましょう。 |
読書や細かい作業 | 視界が不安定な状態での作業は目に負担をかけるため、症状が出ている間は避け、回復後は徐々に再開しましょう。 |
眼科受診 | 自己判断はせず、医師の指示に従って治療を継続しましょう。 |