「こ」

レーシック

見え方に影響する?高次収差とは

私たちの目は、カメラとよく似た仕組みで物を見ています。カメラのレンズが光を集めてフィルムに像を結ぶように、私たちの目は、眼球の前面にある角膜と水晶体で光を屈折させ、網膜という場所に像を映し出します。そして、その情報を視神経が脳に伝えることで、私たちは物を見ることができるのです。 この時、眼に入る光が角膜や水晶体で正しく屈折されずに、網膜に一点で焦点を結ぶことができなくなってしまうことがあります。これが「屈折異常」と呼ばれる状態で、視力の低下や見え方の歪みを引き起こします。屈折異常には、近視、遠視、乱視など、様々な種類があります。 「高次収差」は、このような屈折異常の中でも、特に複雑なものです。近視や乱視といった一般的な屈折異常は、眼鏡やコンタクトレンズを用いることで、光の屈折を調整し、視力を矯正することができます。しかし、高次収差は、光が複雑に屈折するため、通常のレンズでは矯正することができません。高次収差があると、視力が低下するだけでなく、物がぼやけて見えたり、光がにじんで見えたり、夜間の視力低下や対向車のライトが眩しく感じたりするなどの症状が現れることがあります。
目の病気

高血圧が目に及ぼす影響

自覚症状が少ないことから「沈黙の病気」と呼ばれる高血圧。気づかないうちに進行し、放置すると全身の血管に負担をかけ、様々な病気を引き起こす可能性があります。目もその例外ではなく、高血圧によって視力が影響を受けることがあります。今回は、高血圧が原因で引き起こされる目の病気である「高血圧性網膜症」について解説します。 網膜は、カメラでいうとフィルムの役割を果たす、目の奥にある薄い膜です。心臓から送られた血液は、網膜にも酸素や栄養を届けています。高血圧の状態が続くと、この網膜の血管に負担がかかり、様々な変化が現れます。 初期には、血管が狭くなったり、壁が厚くなったりします。さらに悪化すると、血管から血液成分が漏れ出したり、出血したりすることもあります。これらの変化は、視界のかすみや視野狭窄、最悪の場合失明に繋がることもあります。 高血圧性網膜症は初期段階では自覚症状が出にくい病気です。そのため、定期的な眼科検診で早期発見・早期治療を行うことが非常に重要になります。高血圧と診断された方は、目の症状がなくても、定期的に眼科を受診しましょう。
目の病気

眼圧が高いだけ?緑内障との関係は?

- 眼圧とは眼球は、丸い形を保つために、内部で一定の圧力がかかっています。この圧力を眼圧と呼び、眼の健康状態を調べる上で、とても重要なものです。眼球は、カメラのレンズのような役割を果たす水晶体と、その周囲を包むようにゼリー状の硝子体で満たされています。さらに、水晶体と角膜の間には、房水と呼ばれる栄養豊富な透明な液が常に循環しており、眼球に栄養を供給したり、不要なものを排出したりしています。この房水の圧力によって、眼球は一定の形を保ち、光を正確に網膜に届けることができるのです。眼圧は、眼球の硬さを測定することで評価されます。眼圧の正常範囲は、個人差がありますが、一般的には10~21mmHgとされています。眼圧がこの範囲を超えて高くなると、緑内障などの病気を発症するリスクが高まります。緑内障は、放置すると視神経を損傷し、視野が狭くなったり、視力低下を引き起こしたりする病気です。眼圧は、加齢や遺伝、生活習慣、近視などの影響を受けることがあります。定期的な眼科検診を受けることで、眼圧の変化を早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。
目の病気

眼科医が解説!恒常性斜視とは?

斜視は、両方の目が同じ方向を見ることができず、視線が定まらない状態を指します。通常、片方の目は対象物に正しく焦点を合わせていますが、もう片方の目は内側、外側、上、または下にずれてしまいます。この目のずれは、常に起こる場合もあれば、特定の状況下でのみ起こる場合もあります。 斜視は、大きく分けて二つの種類に分類されます。一つは恒常性斜視と呼ばれるもので、これは名前の通り、常に目のずれが見られる状態です。生まれたときから目のずれがある場合や、乳幼児期に発症することが多く、常に斜視の状態であるため、周囲からはっきりとわかります。もう一つは、間歇性斜視と呼ばれるもので、これは常にではなく、疲れている時や、ボーっとしている時など、特定の状況下でのみ目のずれが現れる状態です。乳幼児期に発症するケースもありますが、学童期以降に発症するケースも多く見られます。これらのことから、間歇性斜視は見過ごされやすく、注意深く観察する必要があります。
目の病気

目の前で光が!?光視症の原因と対策

- 光視症とは光視症とは、周囲に光源がないにもかかわらず、視界に光を感じてしまう症状を指します。 感じ方には個人差があり、まるで星が瞬くようにチカチカと光って見える場合や、稲妻のような光が走るように見える場合など様々です。多くの人にとって、光視症はあまり馴染みのない症状かもしれません。そのため、実際に経験すると、目の病気ではないかと不安に思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、ご安心ください。光視症は誰にでも起こり得る症状です。加齢に伴い、眼球内の硝子体が収縮することがあります。すると、この硝子体が網膜を牽引し、その刺激が脳に伝わることで、光として認識されることがあります。これが光視症の主な原因の一つです。ただし、まれに網膜剥離などの目の病気が隠れている可能性もあります。特に、光視症が頻繁に起こる、視界の一部が欠けて見える、といった症状を伴う場合は、早めに眼科を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
視力

光覚 – 視力検査で知る明るさの感覚

- 光覚とは光覚とは、ものが見える仕組みである視機能のひとつで、目の前に光があるかないかを判断できる能力をいいます。よく晴れた日に太陽の光を感じたり、夜に電気を点けると明るさを感じますが、このような光の有無を認識できることを指します。視力検査では、文字や図形が見えなくても、光を感知できるかどうかを調べます。視力検査でよく用いられる「ランドルト環」というCの形をした図形も、この光覚の検査に用いられます。ランドルト環の切れ目の方向を正しく答えられなくても、ぼんやりとした形や明るさの変化を感じることができれば、光覚があると判断されます。光覚があるということは、光を感知する網膜や、その情報を脳に伝える視神経など、視覚にかかわる器官の一部が機能していることを示します。一般的に、光覚は視力検査で「LP」(Light Perceptionの略)と表記され、視力としては「0」よりも低いレベルとして扱われます。視力は、目で細かいものまで見分ける能力を示す指標ですが、光覚は明るさの感知の有無を判断する指標であり、視力とは異なるものです。光覚は、視覚障害の程度を判断する上で重要な要素のひとつであり、光覚の有無によって、日常生活での困難さや、支援の方法が変わってきます。
目の病気

もう片方の目にも炎症?: 交感性眼炎について

私たちの目は、外界のものを見るために非常に重要な役割を担っています。しかし、時には、その目を守るはずの体の仕組みが、誤って目を攻撃してしまうことがあります。これが、自己免疫疾患と呼ばれる病気です。 眼科領域には、このような自己免疫疾患が数多く存在し、その中でも、「交感性眼炎」は、片方の目に起きた炎症が、もう片方の健康な目にも影響を及ぼしてしまう、非常にやっかいな病気として知られています。 例えば、事故や怪我、あるいは手術などによって、片方の目に強い炎症が起きたとします。すると、本来であれば、炎症は損傷を受けた方の目に限定されるべきなのですが、交感性眼炎の場合、何らかの原因で、もう片方の健康な目にも炎症が飛び火してしまうのです。 なぜ、このようなことが起こってしまうのか、その詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、眼球内にある特定の成分が、免疫細胞によって誤って「異物」と認識されてしまい、それが引き金となって、もう片方の目にも免疫反応が起きてしまうのではないかと考えられています。 今回は、この「交感性眼炎」について、その原因や症状、治療法などを詳しく解説していくことで、この病気に対する理解を深めていきたいと思います。
目の構造

眼の中の世界:後房を解説

私たちの眼は、カメラとよく似ていて、光を取り込んで外界を見ることができる精巧な器官です。そして、眼の中にはレンズの役割をする水晶体や、光の量を調整する虹彩など、様々な組織があります。後房は、これらの組織の一つである水晶体の後ろ側、そして虹彩の裏側に位置する、毛様体という組織に囲まれた空間のことです。この空間は房水と呼ばれる液体で満たされています。 例えるならば、水晶体と虹彩はちょうどカメラのレンズと絞りのような関係で、その後ろにある後房は、カメラでいうとレンズとフィルムの間の空間のようなイメージです。 後房は、眼の健康を保つ上でとても重要な役割を担っています。毛様体で作られる房水は、後房を通って眼の前方に送られ、水晶体や角膜といった組織に栄養を供給しています。そして、後房は、眼圧を一定に保つ役割も担っています。眼圧とは、眼球内の圧力のことで、房水の産生と排出によって適切に調整されています。この眼圧が一定に保たれることで、眼球の形状が維持され、私たちはクリアな視界を得ることが出来るのです。
目の老化

加齢と目の病気:後部硝子体剥離

私たちの目は、まるで精巧なカメラのように、外界の情報を映像として脳に伝えています。カメラでレンズが光を集めて像を結ぶように、私たちの目にも光を屈折させて網膜に像を結ぶレンズの役割を果たす器官があります。それが水晶体です。 水晶体の後方には、硝子体と呼ばれるゼリー状の組織が存在します。硝子体は、眼球の内部の大部分を占めており、その成分の約99%が水分です。残りの約1%は、ヒアルロン酸やコラーゲンなどのタンパク質で構成されています。 硝子体は、単に眼球内部を満たしているだけでなく、いくつかの重要な役割を担っています。 まず、硝子体の弾力性によって眼球内を一定の圧力に保ち、眼球の形を維持する役割があります。これは、カメラで例えるならば、カメラ本体の形状を維持する役割に相当します。 また、硝子体は光を透過させる性質を持っているため、水晶体を通過した光を網膜まで届け、鮮明な視界を得るために重要な役割を果たしています。さらに、硝子体は網膜と眼球内壁との間に存在することで、網膜を外部の衝撃から保護する役割も担っています。
目の病気

白内障手術後も油断禁物?後発白内障について

- 後発白内障とは?白内障手術は、濁ってしまった水晶体を取り除き、透明な人工レンズに入れ替えることで視力を取り戻す治療法です。手術後、多くの方はクリアな視界を取り戻しますが、中には再び視界がかすんだり、ぼやけたりする方がいます。これは「後発白内障」と呼ばれる症状が原因である可能性があります。後発白内障は、白内障手術後に、眼の中の「後嚢」と呼ばれる部分が濁ってしまうことで起こります。後嚢は、元々水晶体を包んでいた薄い膜で、手術の際に眼内レンズを支える役割を担っています。この後嚢の一部に、手術後、細胞が増殖したり、物質が沈着したりすることで濁りが生じ、光が通りにくくなってしまうのです。後発白内障は、白内障手術を受けた方の10~30%程度に起こると言われています。決して珍しいものではなく、体質や年齢、手術方法など様々な要因が考えられますが、誰にでも起こりうる可能性があります。後発白内障は、点眼薬では治せませんが、レーザー治療によって比較的簡単に濁りを除去することができます。後発白内障の症状を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。
目の構造

視覚をつかさどる脳の領域:後頭葉

私たちの脳は、大きく4つの領域に分けられます。思考や言語をつかさどる前頭葉、感覚や空間認識を司る頭頂葉、聴覚や記憶に関わる側頭葉、そして視覚情報を処理する後頭葉です。それぞれの領域が異なる役割を担うことで、私たちは複雑な思考や行動を可能にしています。 後頭葉は、脳の後ろ側に位置し、視覚情報処理の中枢としての役割を担っています。目で捉えた光の情報は、まず網膜で電気信号に変換され、視神経を通って後頭葉に送られます。後頭葉には、視覚野と呼ばれる領域があり、ここで情報の分析や解釈が行われます。例えば、物の形、色、動き、奥行きなどが処理され、私たちはその情報に基づいて周囲の世界を認識することができます。 後頭葉の働きは、視覚だけに留まりません。他の脳領域と連携することで、空間認識や記憶、学習などにも関わっています。例えば、道順を覚えたり、顔を見分けて誰かを認識したりする際には、後頭葉が重要な役割を果たしています。 このように、後頭葉は私たちが日常生活を送る上で欠かせない、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
視力

視界スッキリ?:コントラスト感度を知ろう

視力検査では、よく「C」の形をしたマークが使われますが、あのマークをはっきり認識できていますか?視力検査で測れるのは、視界の解像度、つまりどれだけ細かいものを見分けられるかという能力だけです。実はもう一つ、「コントラスト感度」という、ものを見る上でとても大切な要素があります。 コントラスト感度とは、簡単に言うと「明暗の違いを見分ける能力」のことです。例えば、薄い灰色で描かれた絵を思い浮かべてみてください。コントラスト感度が高い人は、わずかな色の濃淡の違いを認識することができるので、絵に描かれているものが何かを理解することができます。一方で、コントラスト感度が低い人は、絵全体がぼんやりとしてしまい、細かい部分がよく見えません。 コントラスト感度は、視力とは別に、ものを見る上で非常に重要です。例えば、霧がかかった日に遠くの景色を見ようとしても、コントラスト感度が低いと、景色がぼんやりとしか見えず、危険を察知するのが遅れてしまう可能性があります。また、コントラスト感度が低いと、読書やパソコン作業など、日常生活の様々な場面で見えづらさを感じやすくなってしまいます。
コンタクトレンズ

視界をクリアに!コンタクトレンズの種類と特徴

- コンタクトレンズとはコンタクトレンズは、目の黒目にあたる角膜に直接乗せるレンズのことです。眼鏡のようにフレームはなく、顔から離してレンズを装着する必要がないため、視界が広く保たれます。従来の眼鏡に比べて視野が狭まることがなく、スポーツや活動的な趣味を楽しむ際にも邪魔になりにくいという利点があります。コンタクトレンズは、素材や形状、用途によって様々な種類があります。大きく分けると、使い捨てできるものと、洗浄して繰り返し使えるものがあります。使い捨てコンタクトレンズは、毎日新しいレンズを使用するため、レンズケアの手間が省け、衛生的であるというメリットがあります。一方、繰り返し使えるコンタクトレンズは、適切にケアすれば長期間使用できるため、経済的です。近年では、視力矯正の方法としてコンタクトレンズを選ぶ人が増えています。ファッションの一部としてコンタクトレンズを楽しむ人も多く、様々なデザインやカラーのレンズが登場しています。しかし、コンタクトレンズは高度管理医療機器に指定されており、眼科医の指示に従って正しく使用することが重要です。定期的な眼科検診を受け、目の健康を守りながら快適な視生活を送りましょう。
視力

視界スッキリ?コントラスト感度を知ろう

- コントラスト感度とはコントラスト感度とは、視力の検査では測ることのできない、視覚の感度の程度を示す指標の一つです。簡単に言うと、「どれほどわずかな明暗の違いを見分けることができるか」を表しています。明るい場所と暗い場所を見分けることはもちろんですが、コントラスト感度が高いということは、わずかな濃淡の差を認識できるということを意味します。例えば、薄い灰色と濃い灰色のように、色の違いがわずかな場合でも、その違いをはっきりと認識することができます。この能力は、日常生活の様々な場面で重要な役割を果たします。例えば、霧や靄が出て視界が悪い日に遠くの景色を見ようとする時や、照明が薄暗い部屋で人の顔を見分けようとする時など、コントラスト感度が低いと、周囲の状況を把握することが難しくなります。また、コントラスト感度は、読書やパソコン作業、テレビ視聴など、近くのものを見る際にも影響を与えます。コントラスト感度が低いと、文字がぼやけて見えたり、画面の明るさを調整しても見づらかったりすることがあります。コントラスト感度は、加齢や目の病気などによって低下することがあります。そのため、見え方に違和感を感じたら、眼科を受診して、コントラスト感度を含めた視機能の検査を受けるようにしましょう。
視力

視界スッキリ!コントラスト感度とは?

- コントラストって何だろう?コントラストとは、ものが見やすい、見にくいに関わる要素のことを言います。簡単に言うと、色の濃淡の差がどれくらいはっきりしているかを表す尺度です。例えば、真っ白な雪の上に真っ黒な炭を置いた場面を想像してみてください。この場合、雪の白と炭の黒のコントラストが非常に高く、はっきりと見分けることができます。反対に、薄い灰色の紙に、同じような薄い灰色の鉛筆で文字を書いたとしましょう。この場合、紙と文字のコントラストが低いため、非常に見づらく、読むのに苦労するでしょう。これは、背景色と文字色の明るさの差が大きいほど、コントラストが高くなり、見やすくなるためです。コントラストが高いと、ものが見やすく、情報もはっきりと認識できます。反対に、コントラストが低いと、ものが見づらく、目を凝らしたり、集中したりする必要があり、目に負担がかかります。私たちの日常生活には、様々な場面でコントラストが関係しています。例えば、本や新聞を読んだり、パソコンやスマートフォンを使ったり、テレビを見たりする時などです。特に、視力が弱い方や高齢の方は、コントラストの影響を受けやすいため、意識してコントラストの高い環境を作るように心がけることが大切です。
目の構造

眼の構造と後房レンズ

- 眼の中の大切な空間、後房とは?私たちの眼球の中には、カメラのレンズのように光を集め、ピントを合わせる役割をする「水晶体」という組織があります。後房は、この水晶体の後ろ側に位置する、虹彩、毛様体、水晶体に囲まれた、まるで小さな部屋のような空間のことを指します。後房は、無色透明な液体である「房水」で満たされています。房水は、眼球内の圧力(眼圧)を一定に保つという重要な役割を担っています。ちょうど、ボールに適度な空気を入れることで、形が保たれるのと似ています。眼圧が適切に保たれることで、私たちは、ものを見たり、形を認識したりすることができます。さらに、房水は、水晶体や角膜など、血管のない組織に栄養を供給したり、老廃物を除去したりする役割も担っています。栄養を運ぶ血管が通っていない組織でも、房水が循環することで、健康な状態を保つことができるのです。このように、後房は、一見、小さな空間ではありますが、私たちが正常な視力を保つために、非常に重要な役割を担っています。
目の病気

白内障手術後に起こる後発白内障

- 白内障手術後の視界の霞みについて白内障手術は、水晶体が濁ってしまう病気の治療法として広く行われています。この手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに透明な人工レンズを挿入することで、視界を回復させることを目指します。多くの場合、手術後は視界が大きく改善しますが、中には手術後しばらくしてから、視界がかすんだり、霞んで見えるといった症状が出る場合があります。このような症状が現れる原因の一つとして、「後発白内障」が考えられます。白内障手術では、水晶体を取り囲む薄い膜である「水晶体嚢」の一部は残されます。この水晶体嚢は、挿入した人工レンズを支える役割を果たします。しかし、手術後しばらく経つと、この水晶体嚢の一部が濁ってしまうことがあります。これが後発白内障と呼ばれる状態です。後発白内障は、レーザー治療によって比較的簡単に治療することができます。濁ってしまった水晶体嚢にレーザーを照射し、視界を遮っている部分を小さく開けることで、光が再び目の中に入っていくのをスムーズにする治療法です。この治療は、通常は外来で行われ、短時間で終了します。白内障手術後、視界に違和感を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。自己判断せずに、医師の診察を受けることが大切です。
コンタクトレンズ

視界が広がる!コンタクトレンズの世界

コンタクトレンズは、目の表面にある透明な膜である角膜に直接装着することで、視力を矯正する医療機器です。レンズは薄く透明で、まるで角膜の一部のようにフィットします。 従来の眼鏡と比較すると、コンタクトレンズは視野が広く、視界の歪みや揺れが少ないという利点があります。激しい運動やスポーツをする際にも、ずり落ちたり視界が遮られる心配がなく、快適に活動できます。そのため、スポーツ選手や活発な趣味を持つ人々に広く愛用されています。 近年では、視力矯正を目的とするだけでなく、瞳の色を変えたり、模様を加えたりすることで、おしゃれを楽しむためのアイテムとしても人気が高まっています。このような装飾を目的としたコンタクトレンズは、カラーコンタクトレンズと呼ばれ、豊富な色やデザインから選ぶことができます。 しかし、コンタクトレンズは医療機器であることを忘れてはなりません。眼科医の指示に従って正しく使用しなければ、眼のトラブルを引き起こす可能性もあります。安全に快適にコンタクトレンズを使用するためにも、定期的な眼科検診と正しいケアを心がけましょう。
レーシック

見え方に影響する?高次収差とは

- 高次収差とは私たちの目は、カメラのレンズのような役割を持つ角膜と水晶体を通して光を取り込み、網膜というスクリーンに像を映し出しています。理想的には、光はすべて網膜上の一点に集まり、鮮明な像が見えるはずですが、実際には光が綺麗に集まらず、像がぼやけたり歪んだりすることがあります。この現象を収差と呼びます。収差には大きく分けて二つの種類があります。一つは、近視や乱視、遠視といった、眼鏡やコンタクトレンズで矯正可能な「低次収差」です。もう一つは、レンズでは矯正できない「高次収差」です。高次収差は、光が複雑な形で屈折することで生じる、より微細な収差です。例えるなら、低次収差がピントのズレ具合を表すのに対し、高次収差は画像の鮮明さや歪み具合を表すようなものです。高次収差には、球面収差、コマ収差、非点収差など、様々な種類があります。高次収差が多い目は、夜間の見づらさ、光のまぶしさ、コントラスト感度の低下などを引き起こす可能性があります。近年、ウェーブフロントセンサーなどの技術が進歩し、高次収差を精密に測定できるようになってきました。この測定結果に基づいて、一人ひとりの目の高次収差を補正する、オーダーメイドの眼鏡レンズやコンタクトレンズも登場しています。
視力改善方法

虹彩切開術:眼圧を下げる手術

- 虹彩切開術とは?虹彩切開術は、眼球内にある「虹彩」という部分に、ごく小さな穴を開ける手術です。 虹彩は、瞳孔の大きさを調整する役割を担っており、私たちが外界の光をどの程度眼球に取り込むかを調整しています。また、虹彩は、その人の瞳の色、例えば茶色や青色など、目の色を決める部分でもあります。この虹彩に、レーザーなどを用いて小さな穴を開けることで、眼球内の房水と呼ばれる液体の流れを改善し、眼圧を下げる効果が期待できます。 虹彩切開術は、主に緑内障の治療法の一つとして行われます。 緑内障は、眼圧の上昇によって視神経が圧迫され、視野が狭くなったり、視力が低下したりする病気です。 虹彩切開術は、比較的安全性が高い手術とされていますが、まれに出血や感染症、眼圧の上昇などの合併症が起こる可能性もあります。 手術を受けるかどうかは、眼科医とよく相談し、ご自身の症状やリスク、 benefitなどを考慮した上で判断する必要があります。
目の構造

瞳の色を決める虹彩

人間の目は、まるで精巧なカメラのような構造をしています。カメラのレンズに相当するのが水晶体と呼ばれる透明な組織で、光を集めて網膜に像を結びます。そして、カメラのフィルムに相当するのが網膜です。網膜には、光を感じる細胞がびっしりと並んでおり、ここで受け取った光の刺激が視神経を通じて脳に伝えられることで、私たちは物を見ることができます。 水晶体の前面には、虹彩と呼ばれる薄い膜があります。虹彩は、カメラの絞りのような役割を果たしており、眼球に入る光の量を調節しています。虹彩の中央には瞳孔と呼ばれる黒い丸い穴があり、虹彩はこの瞳孔の大きさを変化させることで、光の量を調整しています。明るい場所では瞳孔は小さくなり、暗い場所では瞳孔は大きくなります。 虹彩は、その人特有の色をしています。これは、虹彩に含まれるメラニン色素の量によって決まります。メラニン色素が多い人は茶色や黒色の瞳に、少ない人は青色や灰色の瞳になります。虹彩の色は、その人の個性や魅力を引き立てる要素の一つと言えるでしょう。
目の病気

虹彩癒着:目の炎症が引き起こす影

- 虹彩癒着とは虹彩癒着は、眼球の内部にある組織の一つである虹彩が、他の組織とくっついてしまう病気です。虹彩は、瞳孔の大きさを変化させることで、眼球に入る光の量を調節する役割を担っています。カメラに例えると、ちょうど絞りのような働きをしている部分です。この虹彩に炎症が起こると、周りの組織とくっつきやすくなってしまいます。炎症によって、虹彩と周囲の組織との間には、いわば「糊」のようなものが分泌されるためです。そして、くっついたままの状態になってしまうことが、虹彩癒着です。虹彩癒着が起こると、瞳孔の形がいびつになったり、視力低下や眼痛などの症状が現れたりすることがあります。場合によっては、緑内障を発症するリスクも高まります。緑内障は、視神経に障害が生じて視野が狭くなる病気であり、放置すると失明に至る可能性もある病気です。虹彩癒着の原因としては、ぶどう膜炎などの炎症性疾患や、眼球内手術後の合併症などが挙げられます。早期発見・早期治療が重要となるため、眼の痛みや視力低下、視野の異常などを感じたら、早めに眼科を受診しましょう。
レーシック

進化するレーザー治療!虹彩認識装置とは?

近年、眼科医療の技術は目覚ましい進歩を遂げており、その中でも特に注目されているのが、私たちの目の特徴を活かした最先端技術です。 私たちの目は、顔の中でも特に複雑な構造をしており、その中でも虹彩と呼ばれる部分は、瞳孔の周りに位置し、一人ひとり異なる模様を持っています。この虹彩の模様は、指紋のように生涯ほとんど変化することがないため、個人を特定するための非常に優れた特徴と言えます。 この虹彩の特徴を応用した技術が、虹彩認識装置です。虹彩認識装置は、専用のカメラで撮影した目の画像から、虹彩部分の模様を解析し、個人を特定します。従来の指紋認証のように直接機器に触れる必要がなく、また、高い精度と安全性を備えていることから、様々な分野での活用が期待されています。 例えば、セキュリティシステムへの導入が進めば、より安全な本人確認が可能となります。また、医療分野では、患者の誤認防止や、個人に最適化された治療法の選択などにも応用が期待されています。このように、目の特徴を活かした最先端技術は、私たちの生活をより便利で安全なものへと変えていく可能性を秘めていると言えるでしょう。
目の病気

虹彩切開術:目的と適応

- 虹彩切開術とは虹彩切開術は、眼球の中にある、カメラの絞りのような役割をする虹彩という組織に小さな穴を開ける手術です。虹彩は、瞳孔の大きさを調節することで、眼球に入る光の量を調整しています。また、私たちが普段目にしている、茶色や青色といった眼の色を決めているのも虹彩です。この手術では、通常はレーザーを用いて虹彩に小さな切開を加えます。レーザーは、正確に組織を切開することができるため、周囲の組織への影響を最小限に抑えることができます。ただし、眼の状態によっては、レーザーではなくメスを用いて切開を行う場合もあります。虹彩切開術は、主に眼圧を下げることを目的として行われます。眼圧とは、眼球内の圧力のことで、高くなると視神経に負担がかかり、緑内障などの病気を引き起こす可能性があります。虹彩に小さな穴を開けることで、眼球内にある房水と呼ばれる液体の流れをスムーズにし、眼圧を適切な状態に保つことができます。また、虹彩切開術は、閉塞隅角緑内障などの特定の種類の緑内障の治療や予防にも効果があります。さらに、ぶどう膜炎などの炎症性疾患に伴う症状を軽減するために用いられることもあります。