
眼の協調運動:開散
- 開散とは私たちが日々の生活の中で無意識に行っている目の動きの一つに、「開散」というものがあります。これは、近くの物を見た後、遠くの物に視線を移す際に、両目が自然と外側に動いていく現象を指します。例えば、目の前の本を読んでいる状態を想像してみてください。この時、私たちの目は自然と内側に寄って、一点に集中しています。しかし、そこから顔を上げて遠くの景色を眺めようとすると、視線の焦点が遠くに移るのに合わせて、両目は無意識のうちに外側へと動いていきます。この動きこそが開散です。開散は、近くの物を見るための「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる目の動きと対になる動きと言えます。輻輳は両目が内側に寄る動きであるのに対し、開散は両目が外側に開く動きであり、この二つの動きが組み合わさることで、私たちは近くのものから遠くのものまで、様々な距離にある物体をはっきりと捉えることができるのです。開散は、私たちの視覚機能にとって非常に重要な役割を担っています。もしも、開散の動きがスムーズに行われなかったり、左右の目の開散の度合いに差があったりすると、遠くのものがぼやけて見えたり、二重に見えたりするなど、様々な視覚的問題が生じる可能性があります。そのため、眼科では、開散の能力を測定する検査なども行われています。