錐体

視力

暗闇に目が慣れる仕組み:暗順応

薄暗い部屋に入ると、最初は何も見えなくて不安になりますが、しばらくすると少しずつ周囲が見えてくるという経験をしたことはありませんか?これは「暗順応」と呼ばれる、目が暗さに慣れるための機能のおかげです。 私たちがものを見るためには、目の奥にある網膜という組織で光を感じ取る必要があります。網膜には、昼間のように明るい場所で働く「錐体細胞」と、夜間や暗い場所で働く「桿体細胞」の二種類の細胞があります。 明るい場所では主に錐体細胞が働いて、物の色や形を細かく見せてくれます。しかし、錐体細胞は光に敏感で、暗い場所ではうまく機能しません。一方、桿体細胞は錐体細胞よりも光に敏感なので、暗い場所でもわずかな光を捉え、物の形を認識することができます。ただし、桿体細胞は色を識別することができません。 明るい場所から暗い場所に移動すると、最初は錐体細胞も桿体細胞もあまり機能しません。しかし、時間の経過とともに桿体細胞が徐々に活性化し、暗い場所でも見えるようになってきます。これが暗順応です。暗順応にはある程度の時間がかかり、完全に暗さに目が慣れるまでには20~30分ほどかかります。
視力

明るい環境への適応:明順応

- 明順応とは 暗い部屋から太陽の降り注ぐ屋外に出たとき、最初は眩しくて目を開けていられないかもしれません。しかし、しばらくすると徐々にまぶしさが和らいで、周りの景色が見えるようになります。この、暗い場所から明るい場所に移動した際に、目が光に慣れていく仕組みを「明順応」と呼びます。 私たちの目は、カメラのレンズの役割を果たす「瞳孔」と、カメラのフィルムに相当する「網膜」で構成されています。 暗い場所では、より多くの光を取り込もうと瞳孔は大きく開きます。明るい場所に移動すると、まぶしさを感じると同時に、瞳孔は反射的に小さく絞られます。これにより、網膜に届く光の量が調整されます。 また、網膜には光を感じる視細胞が存在します。視細胞には、暗いところで働く「桿体細胞」と、明るいところで働く「錐体細胞」の2種類があります。暗い場所では、主に桿体細胞が働いていますが、明るい場所に移ると錐体細胞が働き始めます。錐体細胞は、色覚や視力に関係しており、明るい環境では、この錐体細胞の働きによって、私たちは鮮やかな色彩や細かいものを見ることができるようになります。 このように、明順応は、瞳孔の大きさの変化と視細胞の働きによって、私たちが様々な明るさの環境に適応し、快適に過ごすために欠かせない機能と言えるでしょう。
目の構造

視力と色の鍵!錐体細胞って?

私たちが普段、景色を眺めたり、文章を読んだりできるのは、目という器官が光を取り込み、それを脳が理解できる情報に変換しているからです。 まるで精巧なカメラのように、目は光を捉え、鮮明な映像を作り出しています。そして、この複雑な過程において重要な役割を果たしているのが、網膜に存在する「視細胞」と呼ばれる細胞たちです。視細胞には、大きく分けて「杆体」と「錐体」の二つの種類が存在します。 杆体は、薄暗い場所でもわずかな光を感じ取ることができるため、夜間や暗い場所で視力を保つために働いています。一方、錐体は明るい場所で本領を発揮します。色を識別する能力も持ち合わせており、私たちが世界を色鮮やかに認識できるのは、この錐体の働きによるものです。錐体には、感度が高い順に、青、緑、赤の光に反応する3種類が存在します。 これらの錐体がそれぞれ異なる波長の光に反応することで、私たちは虹のような多様な色を識別することができるのです。もし、これらの錐体のいずれかに異常があると、色の見え方が変わってしまったり、特定の色が見えにくくなってしまう色覚異常を引き起こすこともあります。このように、杆体と錐体、それぞれの視細胞が持つ特性によって、私たちは昼夜を問わず、周囲の環境や物体を正確に認識することができます。視細胞は、私たちが「見る」という行為を支える、まさに「ものを見る細胞」と言えるでしょう。