暗闇に目が慣れる仕組み:暗順応
薄暗い部屋に入ると、最初は何も見えなくて不安になりますが、しばらくすると少しずつ周囲が見えてくるという経験をしたことはありませんか?これは「暗順応」と呼ばれる、目が暗さに慣れるための機能のおかげです。
私たちがものを見るためには、目の奥にある網膜という組織で光を感じ取る必要があります。網膜には、昼間のように明るい場所で働く「錐体細胞」と、夜間や暗い場所で働く「桿体細胞」の二種類の細胞があります。
明るい場所では主に錐体細胞が働いて、物の色や形を細かく見せてくれます。しかし、錐体細胞は光に敏感で、暗い場所ではうまく機能しません。一方、桿体細胞は錐体細胞よりも光に敏感なので、暗い場所でもわずかな光を捉え、物の形を認識することができます。ただし、桿体細胞は色を識別することができません。
明るい場所から暗い場所に移動すると、最初は錐体細胞も桿体細胞もあまり機能しません。しかし、時間の経過とともに桿体細胞が徐々に活性化し、暗い場所でも見えるようになってきます。これが暗順応です。暗順応にはある程度の時間がかかり、完全に暗さに目が慣れるまでには20~30分ほどかかります。