小児眼科

目の病気

子供の視力発達と弱視

- 弱視とは弱視とは、目に病気や異常がないにもかかわらず、視力が十分に発達しない状態を指します。 人間の目は、カメラのレンズのように光を集め、網膜というスクリーンに像を結びます。そして、その情報は視神経というケーブルを通って脳に伝えられます。 カメラで例えると、目はレンズ、視神経はケーブル、脳は画像処理ソフトのようなものです。 生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、この画像処理の仕方をまだ十分に学習していません。しかし、成長するにつれて、目から入ってくる膨大な量の視覚情報を処理することを通して、脳は「見えている」状態を学習していきます。 ところが、乳幼児期に視覚情報が正しく脳に伝わらないと、脳は画像処理の仕方をうまく学習できません。その結果、視力が発達せず、弱視になってしまうのです。 弱視の原因はさまざまですが、代表的なものとして、斜視、不同視、先天性白内障、眼瞼下垂などが挙げられます。これらの原因によって、網膜に鮮明な画像が映らなかったり、左右の目の視力に差があったりすると、脳は視覚情報を正しく処理することができず、弱視を引き起こしてしまうのです。
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子供の視力発達と弱視:視性刺激遮断弱視について

- 視性刺激遮断弱視とは視性刺激遮断弱視は、生まれたばかりの時期から幼児期の視覚の発達に重要な時期に、片目あるいは両目に適切な視覚刺激が行き届かないことで発症する弱視です。人間の目は、外界から光を受け取り、その情報を脳に伝えます。そして、脳は受け取った情報を処理することで、私たちに物を見せています。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ視力が完成していません。視覚は、成長とともに発達していくものなのです。特に、生まれてから3歳頃までは、脳の視覚野が著しく発達すると言われています。この時期に、眼疾患などによって適切な視覚刺激が脳に伝わらないと、視力の発達が妨げられてしまいます。視性刺激遮断弱視の原因となる眼疾患には、先天性白内障、眼瞼下垂、角膜混濁など、光を遮断してしまうものや、斜視や不同視など、両眼の視線のずれによって脳へ伝えられる情報に差異が生じてしまうものがあります。これらの疾患によって、視覚情報が正しく脳に伝わらない状態が続くと、視力の発達が阻害され、眼鏡やコンタクトレンズを装用しても視力が十分に向上しない状態になってしまうのです。視性刺激遮断弱視は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。早期に治療を開始することで、視力の発達を促し、良好な視機能を獲得できる可能性が高まります。
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乳幼児の瞳に潜む脅威:網膜芽細胞腫

幼い子供たちの澄んだ瞳に、網膜芽細胞腫という病魔が影を落とすことがあります。これは、眼球の奥にある光を感じるための重要な組織である網膜に発生する悪性腫瘍です。主に1歳から2歳くらいまでの乳幼児に発症し、放置すると命に関わることもある恐ろしい病気です。 日本では、年間約50人、100万人に1人の割合で発症するといわれており、決して他人事ではありません。 網膜芽細胞腫は早期発見、早期治療が極めて重要です。腫瘍が小さいうちに発見できれば、視力を温存できる可能性が高まります。しかし、進行すると腫瘍が大きくなり、眼球の摘出や、場合によっては命に関わる治療が必要となることもあります。 そのため、保護者の方は、お子様の目の状態に常に気を配り、少しでも異常に気付いたら、すぐに眼科を受診することが大切です。
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網膜異常対応:視覚への影響とは?

- 網膜異常対応とは?私たちは、左右の目で見た景色を脳で一つにまとめて立体的に認識しています。通常、左右の目の中心にある網膜の中心窩と呼ばれる部分は、脳で同じ場所として認識され、対応しています。これを正常網膜対応と言います。 しかし、斜視などにより両眼で異なる像を長期間見ていると、脳は混乱を避けるため、左右の網膜の対応関係を変化させることがあります。これを網膜異常対応と言います。網膜異常対応では、左右の中心窩が脳内で異なる場所に投影される状態になります。 例えば、右目の網膜の中心窩と、左目の網膜の中心窩からずれた部分が脳内で対応してしまうことがあります。こうなると、右目の中心で見ているものと、左目の別の場所で見ているものが、脳内で一つのものとして認識されてしまいます。 網膜異常対応は、斜視の治療などによって改善する場合もありますが、一度変化してしまうと、完全に正常な状態に戻すことは難しいとされています。そのため、斜視などの早期発見・早期治療が非常に重要となります。
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斜視弱視と偏心固視の関係

- 斜視弱視とは斜視弱視は、視線が正しく一点に定まらない「斜視」によって、片方の目がうまく機能せず、視力の発達が十分に得られない状態を指します。通常、私達の目は対象物をまっすぐに見つめることができます。これは両目が協調して働くことで、脳に一つのクリアな映像として情報が送られるためです。しかし、斜視があるとこの協調がうまくいかず、視線がずれてしまいます。その結果、物が二重に見えたり、脳が混乱して片方の目の視覚情報を受け取らなくなったりします。そして、視覚情報を受け取らなくなった方の目は、次第に使われなくなっていくため視力の発達が遅れ、弱視の状態に陥ってしまいます。つまり、斜視が原因で弱視が引き起こされる場合があるのです。斜視弱視は早期発見・早期治療が非常に重要です。幼少期の視覚の発達期に適切な治療を行うことで、視力の回復や両目の協調機能の改善が期待できます。そのため、お子様の目の様子が気になる場合は、早めに眼科を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。
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眼科医が解説!恒常性斜視とは?

斜視は、両方の目が同じ方向を見ることができず、視線が定まらない状態を指します。通常、片方の目は対象物に正しく焦点を合わせていますが、もう片方の目は内側、外側、上、または下にずれてしまいます。この目のずれは、常に起こる場合もあれば、特定の状況下でのみ起こる場合もあります。 斜視は、大きく分けて二つの種類に分類されます。一つは恒常性斜視と呼ばれるもので、これは名前の通り、常に目のずれが見られる状態です。生まれたときから目のずれがある場合や、乳幼児期に発症することが多く、常に斜視の状態であるため、周囲からはっきりとわかります。もう一つは、間歇性斜視と呼ばれるもので、これは常にではなく、疲れている時や、ボーっとしている時など、特定の状況下でのみ目のずれが現れる状態です。乳幼児期に発症するケースもありますが、学童期以降に発症するケースも多く見られます。これらのことから、間歇性斜視は見過ごされやすく、注意深く観察する必要があります。
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生まれたときから視界がぼやける?先天性白内障

「先天性白内障」という言葉をご存知でしょうか。耳慣れない病名に戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。生まれたばかりの赤ちゃんがかかる病気だと聞いても、実感がわかない方がほとんどでしょう。 これは、眼の中の水晶体と呼ばれる部分が濁ってしまう病気です。 水晶体は、カメラのレンズのように光を集め、網膜に像を結ぶ役割を担っています。 しかし、この水晶体が濁ってしまうと、光が正しく網膜に届かず、視力に影響が出てしまいます。 先天性白内障は、その名の通り、生まれつき、あるいは生後間もなく見つかる白内障です。 赤ちゃんの視力は、生まれてから徐々に発達していくため、早期発見・早期治療が非常に重要になります。 今回は、この病気について、原因や症状、治療法など、詳しく解説していきます。
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不同視弱視:片眼の視力が弱い理由とは?

- 不同視弱視とは不同視弱視は、両目の視力が大きく異なる「不同視」が原因で発症する、視力の発達が不十分な状態を指します。通常、私達の目はカメラのレンズのように光を集め、網膜というスクリーンに像を結びます。そして、その情報は視神経を通じて脳へ伝えられ、私たちは物を見ることができます。しかし、不同視の場合、両目の視力に差があるため、網膜に映る像の大きさや形が左右で異なってしまいます。すると、脳はどちらの情報を優先して処理すれば良いのか混乱し、結果として鮮明な視覚を得ることが難しくなります。このような状態が続くと、脳はより鮮明な像を送ってくる視力の良い方の目に頼るようになります。そして、視力の悪い方の目はあまり使われなくなり、視機能の発達が阻害されてしまいます。その結果、視力の悪い方の目は眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が十分に上がらなくなり、弱視の状態になってしまうのです。不同視弱視は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療には、視力の良い方の目をアイパッチなどで遮蔽し、視力の悪い方の目を使う訓練や、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正などが行われます。早期に治療を開始することで、視力の発達を促し、弱視の進行を抑制できる可能性があります。
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生まれたときから視界が曇っていたら?先天性白内障について

- 先天性白内障とは? 目はカメラに例えられることがありますが、カメラのレンズに相当する部分が「水晶体」です。この水晶体は本来、透明で光を通すことで、私たちがものを見ることができるようになっています。 しかし、生まれたときからこの水晶体が濁っている状態を「先天性白内障」と呼びます。 水晶体が濁ると、光が正しく目の中に入ることができなくなり、視力低下や視界の混濁などを引き起こします。 一般的に、白内障というと、歳を重ねることで発症するイメージが強いかもしれません。しかし、先天性白内障は、生まれたとき、あるいは乳幼児期に発見される白内障を指します。 先天性白内障は、早期に発見し、適切な治療を行うことが非常に重要です。発見が遅れてしまうと、視機能の発達に影響を及ぼし、弱視や斜視などの問題が残ってしまう可能性があります。そのため、乳幼児の頃から定期的な目の検査を受けることが大切です。
視力

子供の視力発達と弱視

- 弱視とは弱視とは、目の構造自体には異常がないにもかかわらず、視力が十分に発達しない状態を指します。人間の目は、ただ単にものを見るだけでなく、その情報が視神経を通じて脳へ伝えられることで、初めて「ものを見る」という行為が成立します。しかし、乳幼児期に、何らかの原因で脳が視覚情報を正しく受け取ることができない状態が続くと、視力の発達が妨げられてしまうのです。弱視を引き起こす原因として最も多いのは、乳幼児期における視覚体験の不足です。例えば、強い近視や遠視、乱視を片方の目だけに放置しておくと、その目は常にぼやけて見え、脳は鮮明な方の目からの情報のみを優先的に処理するようになります。その結果、使用頻度の低い方の目の視神経や脳の視覚野の発達が遅れ、弱視の状態になってしまうのです。また、斜視(寄り目)や先天性白内障なども弱視の原因となります。斜視があると、両方の目で見ようとしても視線が一点に定まらず、ものが二重に見えてしまいます。そのため、脳は混乱を避けるために、どちらか一方の目からの情報だけを受け取るようになり、もう一方の目は視力が発達しなくなってしまいます。先天性白内障は、生まれたときから水晶体が濁っている病気で、視界が遮られることで視覚情報の伝達が妨げられ、弱視を引き起こすことがあります。弱視は早期発見・早期治療が非常に重要です。乳幼児期に適切な治療を行うことで、視力の発達を促し、健常な視力を獲得できる可能性が高まります。そのためにも、乳幼児期における定期的な眼科検診が欠かせません。
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実は斜視じゃない!?偽内斜視について

- 偽内斜視ってなに?偽内斜視とは、実際には目は正面を向いているにもかかわらず、一見すると目が内側に寄っているように見えてしまう状態のことを指します。片方の目はまっすぐ前を見ているのに、もう片方の目が鼻側に向いている内斜視とは異なり、偽内斜視は目の位置や動きに異常はありません。では、なぜ内斜視のように見えてしまうのでしょうか?それは、主に乳幼児に見られる顔の骨格や目の周りの特徴が関係しています。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは、鼻の付け根がまだ高く発達していないため、目頭の部分に皮膚が覆いかぶさりやすく、目が内側に寄って見られることがあります。また、成長とともに目の周りの脂肪が減ってくることで、目の横幅が狭く見え、内斜視と誤解されることもあります。偽内斜視は、成長とともに顔つきが整ってくると自然と目立たなくなることがほとんどです。視力や目の機能に影響を与えることはなく、治療の必要もありません。ただし、内斜視と区別するためにも、気になる場合は眼科を受診し、医師に相談することをおすすめします。
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生まれたときから視界がぼやける?先天性白内障について

- 先天性白内障とは 生まれたばかりの赤ちゃんの目には、本来であれば、外界からの光を捉え、鮮明な視界を映し出すための重要な役割を担う、水晶体という透明な組織が存在します。 しかしながら、先天性白内障の場合、この水晶体に濁りが生じてしまいます。 カメラのレンズに例えるならば、レンズの一部が曇ってしまっている状態であり、光が十分に通過することができません。 その結果、網膜と呼ばれる、視覚情報を脳に伝えるための重要な部分に、光が正しく届かなくなってしまいます。 網膜に届く光が少なくなってしまうと、視力が低下し、外界の風景がぼやけて見えてしまうのです。 先天性白内障は、程度の差こそあれ、赤ちゃんの視力発達に影響を及ぼす可能性があります。
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意外と知らない?上斜視の基礎知識

- 上下の目のずれ、上斜視とは?人間の目は、通常左右揃って同じ方向を見ています。しかし、上斜視の場合、このバランスが崩れ、片方の目が上に寄ってしまっている状態を指します。多くの方は、目のずれというと左右に目がずれる様子を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、今回のように目が上下にずれるケースも存在します。上斜視は、一見しただけでは分かりにくい斜視の一種です。そのため、軽度の場合は日常生活に支障がなく、気づかないまま過ごしている方も少なくありません。しかし、たとえ軽度であっても、放置すると視機能の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。また、無意識に目を合わせようとして、肩や首に負担がかかり、肩こりや頭痛を引き起こすケースも見られます。上斜視は、早期発見・早期治療が非常に重要です。少しでも目の違和感や見え方に異常を感じたら、ためらわずに眼科を受診しましょう。専門医による適切な検査と診断を受けることで、今後の適切な治療方針や対処法を見つけることができます。