眼を守る透明な膜：結膜

眼を守る透明な膜：結膜

結膜の位置と構造

結膜は、眼球の表面を覆う薄い透明な膜です。ちょうど、裏返した洋服の裏地のように、まぶたの裏側と眼球の白い部分（強膜）を覆うように広がり、眼球とまぶたを繋ぐ役割を担っています。この構造のおかげで、眼球はまぶたの中でスムーズに動くことができます。

結膜は大きく分けて三つの部分に分けることができます。まぶたの裏側を覆っている部分を眼瞼結膜、眼球の白い部分を覆っている部分を球結膜と呼びます。そして、眼瞼結膜と球結膜の境目にあたる部分を円蓋結膜または穹窿結膜と呼びます。

結膜には、血管が豊富に走っています。そのため、酸素や栄養を眼球に供給する役割も担っています。また、結膜には粘液を分泌する細胞があり、この粘液が涙と混ざることで、眼球の表面を滑らかに保ち、乾燥や異物から目を守る役割も果たしています。

結膜は、外界と接する場所にあるため、細菌やウイルスなどに感染しやすいという特徴もあります。結膜炎になると、目が充血したり、目やにが出たり、異物感や痛みを感じたりすることがあります。

結膜の重要な役割

私たちの目は、常に外界と接しており、様々な刺激にさらされています。その中でも、眼球の表面を覆う薄い膜である結膜は、目の健康を守る上で非常に重要な役割を担っています。

まず、結膜は、まるでバリアのように、外部から侵入しようとする異物から目を守る働きをしています。空気中に舞う塵や埃、小さな虫などが目に触れそうになると、反射的に目を閉じたり、涙を流したりしますが、結膜はこのような異物が目に直接触れるのを防ぐ、最初の砦として機能しています。

また、結膜は、涙とともに目を潤すことで、目の乾燥を防ぐ役割も担っています。涙は、眼球の表面を常に潤し、滑らかにすることで、まばたきをスムーズに行えるようにしたり、視界をクリアに保ったりするために欠かせません。結膜は、この涙の分泌を助けることで、目が乾燥しすぎるのを防ぎ、快適な状態を保つ役割を担っています。

さらに、結膜は、免疫という点でも重要な役割を担っています。涙には、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る免疫物質が含まれており、結膜は、この涙中の免疫物質が働くのを助けることで、感染症から目を守っています。

このように、結膜は、一見目立たない存在でありながら、私たちの目を守るために、様々な重要な役割を担っています。常に外部環境にさらされているからこそ、結膜は、体の中でも特に重要な防御機能を担っていると言えるでしょう。

身近な病気：結膜炎

目の表面を覆う薄い膜である結膜に炎症が起こる病気を、結膜炎と呼びます。これは、私たちの身近で頻繁に見られる目の病気の一つです。結膜炎は、細菌やウイルスといった微生物による感染や、花粉やダニなどのアレルゲンに対する過剰な反応、煙や埃、化粧品などの刺激物など、様々な要因によって引き起こされます。
結膜炎になると、目が赤くなる、かゆみを感じる、涙が溢れる、目ヤニが出るといった症状が現れます。これらの症状は、片方の目にだけ現れることもあれば、両方の目に現れることもあります。感染性の結膜炎の場合、タオルの共用や接触などを通じて、周りの人にうつしてしまう可能性があります。
結膜炎の症状に気づいたら、自己判断で市販の目薬を使用したり、放置したりすることは避けましょう。症状が悪化したり、原因によっては他の病気が隠れている可能性もあります。結膜炎は、適切な治療を行えば、ほとんどの場合で完治する病気です。目の症状が現れた際には、早めに眼科を受診し、医師の診断と指示に従って適切な治療を受けるようにしましょう。

結膜下出血：見た目ほど怖くない？

目の白い部分が真っ赤に染まると、とても驚いてしまいますよね。これは結膜下出血といい、目の表面を覆う薄い膜である結膜の下にある血管が破れ、出血してしまうことで起こります。出血した部分は、まるで目に血が溜まったかのように見えますが、実際には、薄い膜の下に出血が広がっている状態です。

見た目はギョッとしてしまう結膜下出血ですが、多くの場合は心配ありません。痛みやかゆみなどの症状が出ないことがほとんどで、1～2週間ほどで自然に吸収され、元の状態に戻ります。まるで目の下にできた青あざが、時間の経過とともに薄れていくように、出血も徐々に目立たなくなっていきます。

ただし、中には注意が必要なケースもあります。例えば、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を患っている場合、結膜下出血は、これらの病気が進行しているサインかもしれません。また、出血がひどく、視界に影響が出たり、何度も繰り返したりする場合も、眼科を受診する必要があります。

結膜下出血は、目を強くこすったり、くしゃみや咳をしたりするだけでも起こることがあります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに、眼科医に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

健康な目を保つために

目の表面を覆う薄い膜である結膜は、細菌やウイルスなどの異物から目を守るという、非常に大切な役割を担っています。常に外気に触れているため、ゴミや埃、花粉などの異物が付着しやすく、炎症を起こしやすい部分でもあります。目を健康に保つためには、日頃から清潔を心がけ、これらの異物から目を守ることが重要です。
具体的には、手を洗ってから目に触れるようにし、目をこすったり触ったりする習慣はやめましょう。また、コンタクトレンズを使用する場合は、正しい使用方法を守り、清潔に保つことが大切です。
さらに、目の健康は体の健康と密接に関わっています。栄養バランスの取れた食事を心がけ、目の健康に良いとされるビタミンAやルテインなどを積極的に摂取するようにしましょう。睡眠不足は目の疲れを悪化させる原因となりますので、十分な睡眠を確保することも重要です。
そして、目のトラブルは自覚症状がない場合でも進行していることがあります。そのため、年に一度は眼科で検診を受けるようにしましょう。早期発見、早期治療は、目の健康を守る上で非常に重要です。