暗闇の世界を映す細胞:かん体
眼のことを教えて
先生、『かん体』って、暗いところでよく見える視細胞って書いてあるんですけど、なんで暗いところでよく見えるんですか?
眼の研究家
いい質問ですね!かん体は、少ない光でも感じ取ることができる視細胞なんです。だから、暗いところでも、ものの形をぼんやりと認識することができます。
眼のことを教えて
へえー、そうなんですね!じゃあ、明るいところでは働かないんですか?
眼の研究家
明るいところでは、主に『錐体(すいたい)』という、色を識別したり、細かいものを見たりするのに優れた視細胞が働きます。かん体は、錐体ほどは働かなくなりますが、動体感知などに関わっていて、完全に休んでいるわけではありません。
かん体とは。
「かん体」とは、眼の網膜の周辺にたくさんある視細胞のことです。かん体は、視力が低いですが、暗いところでもよく働きます。また、色を見分けることはできませんが、動いているものをとらえる能力に優れています。
網膜に存在する視細胞
私たちの目は、まるで精巧なカメラのように光を捉え、映像として認識しています。そして、カメラでいうところのフィルムに相当する、光を感知する重要な役割を担っているのが、眼の奥にある網膜という薄い膜に存在する視細胞です。
視細胞には、昼間の明るい場所で色を識別する「錐体細胞」と、夜間や薄暗い場所で働く「桿体細胞」の2種類が存在します。錐体細胞は、赤、緑、青の3種類の光にそれぞれ反応する細胞があり、これらが組み合わさることで、私たちは色鮮やかな世界を認識することができます。一方、桿体細胞は、感度が高く、わずかな光でも感じ取ることができます。しかし、色を識別することはできません。
今回は、夜間や薄暗い場所で活躍する「桿体細胞」について詳しく解説していきます。桿体細胞は、その名の通り、細長い棒状の形をしており、網膜全体に広く分布しています。特に、網膜の中心部から少し離れた周辺部に多く存在しています。これは、周辺視野が、中心視野に比べて、動きの感知や薄暗い場所での視力に優れていることに関係しています。
桿体細胞は、ロドプシンという色素を含んでおり、光に反応してその形を変えます。この変化が、電気信号を生み出し、視神経を通じて脳に伝えられることで、私たちは物を見ることができています。暗闇に入ると、最初は何も見えませんが、時間が経つにつれて徐々に周囲が見えてくるのは、桿体細胞内のロドプシンが、少ない光を効率的に捉えられるように再合成されるためです。
視細胞の種類 | 役割 | 特徴 |
---|---|---|
錐体細胞 | 昼間の明るい場所で色を識別する | – 赤、緑、青の3種類の光に反応 – 色鮮やかな世界を認識 |
桿体細胞 | 夜間や薄暗い場所で働く | – 感度が高く、わずかな光でも感じ取ることができる – 色を識別することはできない – 網膜全体に広く分布、特に周辺部に多い – ロドプシンという色素を含み、光に反応して形を変える – 暗闇では、ロドプシンが再合成されることで徐々に周囲が見えるようになる |
かん体の分布と役割
私たちの目は、カメラのように外界の光を捉え、それを脳に伝えています。そして、その光を感知する役割を担っているのが、網膜にある視細胞です。視細胞には、明暗を識別する「かん体」と、色を識別する「錐体」の二種類があります。
かん体は、網膜の中心部である黄斑部には少なく、その周辺部に多く分布しています。黄斑部は、視力に大きく関わる部分で、細かいものを見分ける能力に優れています。一方、かん体は、黄斑部の周辺部に多く存在することで、中心視野よりも周辺視野で多く活躍します。
かん体は、光に対する感度が非常に高く、わずかな光でも感知することができます。そのため、夜間や薄暗い場所では、このかん体が視覚情報を脳に伝達することで、私たちは周囲の状況を認識することができます。例えば、星明かりしかない夜道でも、何とか物体の輪郭を捉え、歩くことができるのは、かん体のおかげです。
しかし、かん体は色を識別することができません。そのため、夜間は色覚が失われ、すべてが白黒のように見えます。また、動体視力は低いですが、動くものに対しては感度が高いという特徴も持っています。
視細胞 | かん体 | 錐体 |
---|---|---|
役割 | 明暗を識別 | 色を識別 |
分布 | 網膜周辺部に多い | 網膜中心部(黄斑部)に多い |
特徴 | – 光に対する感度が高い – 色を識別できない – 動体視力は低いが、動くものに対して感度が高い |
– 色を識別できる – 明るい場所で働く – 視力が高い |
活躍する場面 | 夜間や薄暗い場所 | 昼間など明るい場所 |
かん体と色覚
私たちの目は、光を感じる細胞である視細胞を持っていて、それが外界の景色を認識するために重要な役割を担っています。視細胞には、かん体と錐体の二種類があります。かん体は、薄暗い場所でもわずかな光を感じ取ることができるため、夜間や暗い場所での視力に貢献しています。しかし、かん体は色の違いを識別することができません。これは、かん体が持つ光を感じるたんぱく質が1種類しかないためです。光は波の性質を持っていて、色によって波の長さが異なります。かん体は、波長による違いを区別することができないため、色を認識することができず、夜間や暗い場所では、すべての色が白黒の濃淡に見えてしまうのです。
一方、錐体は明るい場所で機能し、色の識別に重要な役割を果たしています。錐体は、色を感じるたんぱく質を3種類持っています。それぞれのたんぱく質は、赤色、緑色、青色にそれぞれ反応します。これらのたんぱく質が異なる波長の光に反応することで、私たちは様々な色を識別することができます。つまり、錐体が3種類の色の組み合わせを認識することで、私たちはカラフルな世界を見ることができるのです。
特徴 | かん体 | 錐体 |
---|---|---|
働き | 暗い場所で働く | 明るい場所で働く |
色の識別 | できない(白黒で見える) | できる(色を識別) |
光を感じるたんぱく質 | 1種類 | 3種類(赤、緑、青) |
かん体の感度と動き
私たちの目は、光を感知する重要な器官である眼球と、それを取り巻く組織で構成されています。眼球の奥には、光を感じる神経細胞が集まった網膜という組織があります。網膜には、色を感じる細胞と、明暗を感じる細胞の二種類が存在しますが、明暗を感じる細胞は「かん体」と呼ばれ、特に光に対して敏感であるという特徴があります。
かん体は、わずかな光の変化であっても敏感に反応し、それを脳に伝達します。この能力のおかげで、私たちは周囲の明るさの変化にすぐに気づくことができます。例えば、明るい場所から暗い場所に移動した時、最初は何も見えませんが、次第に周囲が見えてくるという経験をしたことがある人は多いでしょう。これは、かん体が周囲のわずかな光を捉え、徐々に目が暗さに慣れていくためです。
さらに、かん体は動く物体に対しても敏感に反応します。例えば、夜道を歩いている際に、横から人影が急に飛び出してきて驚いた経験はありませんか? これは、かん体が動く人影をいち早く感知し、危険を知らせる信号を脳に送っているためです。このように、かん体は私たちの視覚において、特に薄暗い場所や動く物体を認識する上で非常に重要な役割を担っています。
細胞 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
かん体 | – 光に敏感 – わずかな光の変化に反応 – 動く物体にも敏感 |
– 明るさの変化を感知 – 暗い場所での視覚 – 動く物体の認識 |
まとめ
人間の目は、明るい場所では主に錐体細胞が働き、色鮮やかな世界を見せてくれます。しかし、日が暮れて辺りが暗くなると、別の視細胞であるかん体がその能力を発揮し始めます。
かん体は、光に対する感度が非常に高く、わずかな光でも感知することができます。そのため、星明かりのような薄暗い場所でも、ある程度の明るさを感じ、物の形を認識することができます。また、動くものに対する感度も高く、例えば、薄暗い場所で動く人影を見つけた時などに素早く反応することができます。
ただし、かん体には色の違いを識別する能力がありません。そのため、夜間はすべてが白黒に見えます。しかし、高い光感度と動体視力によって、私たちは周囲の環境変化をいち早く察知し、危険を回避することができます。例えば、夜道を歩いている時に、足元のかすかな段差や、暗闇から飛び出してくる自転車などに気づくことができるのは、かん体のおかげと言えるでしょう。
視細胞 | 錐体細胞 | かん体細胞 |
---|---|---|
働く場所 | 明るい場所 | 暗い場所 |
特徴 | 色を識別できる |
|
役割 | 色鮮やかな世界を見せる |
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