増加する子どもの視力問題-学校近視-

増加する子どもの視力問題-学校近視-

学校近視とは

– 学校近視とは学校に通う年代、特に中学生の時期に多く見られる視力の低下を「学校近視」と呼びます。これは、この時期に子供たちの体が大きく成長する中で、眼球もまた急速に大きくなることに関係しています。眼球が大きくなると、本来であれば網膜にきちんと像を結ぶはずの光が、網膜よりも手前で焦点を結んでしまうようになり、ものがぼやけて見えるようになります。これが近視の仕組みです。学校近視は、その名の通り、学校生活と深い関わりがあります。思春期を迎えた子供たちは、勉強に励む時間が増え、教科書やノートを長時間見続けることになります。また、近年ではスマートフォンやタブレット端末の普及により、画面を長時間見続けることによる目の酷使も大きな要因となっています。これらの要因が重なることで、成長期における眼球の発達と相まって、近視が進行しやすくなると考えられています。学校近視は、単に視力が悪くなるだけでなく、将来的に緑内障や網膜剥離といった深刻な目の病気を引き起こすリスクを高める可能性も指摘されています。そのため、早期発見と適切な対策が非常に重要です。

主な原因

目の発達が未熟な子どもの時期に視力が低下していく「学校近視」。その主な原因は、生まれ持った体質の影響を受ける「遺伝的要因」と、生活習慣が大きく関わる「環境的要因」の二つに分けられます。

遺伝的要因とは、文字通り、親から子へ受け継がれる遺伝子が関係しています。例えば、両親ともに近眼の場合、子どもも近眼になる確率が高くなるといった具合です。これは、近視になりやすい体質が遺伝するケースが少なくないためです。

一方、環境的要因の一つとして挙げられるのが、近距離での作業や読書です。近くのものを見続ける作業は、目に大きな負担をかけるため、視力低下のリスクを高めます。また、近年、特に子どもたちの間で急速に普及しているスマートフォンやパソコンの長時間使用も、環境的要因として深刻化しています。これらのデジタル機器は、画面を凝視するため、目にとっては近距離作業の時間が増えることと同じです。現代社会において、デジタル機器の利用は避けられませんが、使用時間を減らし、適切な休憩を挟むなど、目を休ませる時間を意識することが重要です。このように、学校近視は、遺伝的な体質と、生活習慣を含む環境要因が複雑に関係して起こると考えられています。

早期発見の重要性

– 早期発見の重要性学校に通う年齢の子供に見られる近視は、初期の段階では、自分自身で異常に気付くことが難しい場合があります。そのため、定期的に眼科で検査を受けることが非常に大切です。特に、家族に近視の人がいる場合や、お子様が目を細めて物を見たり、頭の痛みを訴えたりする場合は、出来るだけ早く眼科医の診察を受けるようにしましょう。近視は、そのままにしておくと、黒板の文字が見えにくくなったり、スポーツの際にパフォーマンスが低下したりするなど、学習や生活に支障をきたす可能性があります。 また、放置すると、将来、網膜剥離や緑内障などの目の病気を引き起こすリスクも高まります。しかし、早期に発見し、適切な治療や対策を行うことで、近視の進行を遅らせることができる可能性があります。 眼鏡やコンタクトレンズの装用による視力矯正はもちろんのこと、近年では、近視の進行を抑える効果が期待できる点眼薬や特殊なコンタクトレンズも開発されています。お子様の目の健康を守るためには、定期的な眼科検診と早期発見、そして適切な治療が非常に重要です。 気になる症状がある場合は、一人で悩まず、早めに眼科医に相談しましょう。

日常生活での予防策

近年、子供たちの間で、近くのものばかりを見る習慣が原因で視力が低下する「学校近視」が増加しています。学校近視を予防するためには、毎日の生活の中で、目を守るための工夫を心がけることが重要です。

長時間勉強をする場合は、1時間に1回程度は遠くの景色を眺めたり、目を閉じて休ませたりするようにしましょう。遠くの山々や空を見上げることで、目の筋肉の緊張を和らげ、視力低下の予防に繋がります。

スマートフォンやパソコン、ゲーム機などは、現代の生活に欠かせないものとなっていますが、画面との距離が近すぎたり、長時間使用したりすると、目に大きな負担をかけてしまいます。画面を見る際には、適切な明るさに調整し、30cm以上の距離を保つように心がけましょう。また、画面から発せられる青い光「ブルーライト」は、目の疲れや睡眠障害の原因となる可能性も指摘されています。ブルーライトをカットする眼鏡を使用するのも、目の健康を守る上で有効な手段と言えるでしょう。

そして、何よりも大切なのは、屋外で遊ぶ習慣をつけることです。太陽の光を浴びながら、遠くのものを見たり、ボール遊びや鬼ごっこなどで体を動かすことは、心身の健康だけでなく、視力低下の予防にも効果が期待できます。

毎日の生活の中で、目を休ませ、視力への負担を減らすことを意識することで、学校近視を予防し、健やかな視力を保ちましょう。

まとめ

現代社会において、子どもたちの目は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど、近くを見続ける機会が増え、大きな負担を抱えています。それに伴い、「学校近視」という言葉を耳にする機会も多くなりました。これは、単に視力が悪い状態を指すのではなく、成長期にある子どもたちの目に起こる近視の進行を意味します。

学校での勉強や、家庭でのデジタル機器の使用など、現代の子どもたちは、気付けば長時間目を酷使してしまいがちです。このような生活習慣を続けることで、眼球の中の水晶体や毛様体を調節する筋肉が緊張し続け、視力の低下や眼精疲労を引き起こしやすくなります。

大切なのは、日頃から目を労わる習慣を身に付けることです。例えば、1時間ごとに10分ほど遠くを眺めたり、目を温めたりすることで、目の筋肉の緊張を和らげることができます。また、十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事も、目の健康を保つ上で欠かせません。

さらに、定期的な眼科検診も非常に重要です。視力検査だけでなく、眼科医による診察を受けることで、自覚症状が現れにくい目の病気を早期に発見できる可能性もあります。

保護者の皆様には、子どもたちの目の健康を守るために、できる限りのサポートをお願いいたします。日頃から、目を休ませることの大切さを伝え、定期的な眼科検診を促すと共に、視力低下が疑われる場合には、早めに眼科医への相談をご検討ください。