視野検査でわかること:量的視野とは?
眼のことを教えて
先生、「量的視野」ってどういう意味ですか? 視野の中に、何か数字が書いてあるんですか?
眼の研究家
面白い発想だね! 実は、「量的視野」の「量的」は、数字が書いてあるという意味ではないんだ。簡単に言うと、目で見える範囲の感度を数値で表したものなんだよ。
眼のことを教えて
感度を数値で…? よくわかりません…
眼の研究家
例えば、視野の端の方では、中心に比べて ぼんやりとしか見えないよね? その見え方の程度を数値で表すことで、視野全体の状態を詳しく調べることができるんだ。これが「量的視野」だよ。
量的視野とは。
「量的視野」という言葉は、目で見える範囲における、ものを見る力の状態を数値で表したものを指します。
はじめに
私たちの目は、外界の情報を得るための大切な感覚器官であり、光を感知することで周りの景色を認識しています。視界の広がりである視野は、視力と同じくらい重要な機能です。視力検査で視線の先の一点が見えやすいかどうかを測定するのに対し、視野検査では一点を見つめたまま周辺視野がどれくらい確保できているかを測定します。
視野検査には大きく分けて二つの種類があります。一つは、一点を見つめたまま光を感じる範囲を調べる「静的視野検査」です。もう一つは、光の強弱に対する目の反応を調べる「動的視野検査」です。動的視野検査では、視野の感度の変化を測定することで、緑内障などの病気の早期発見に役立ちます。
動的視野検査にはいくつかの指標がありますが、今回はその中でも特に重要な「量的視野」について詳しく解説していきます。「量的視野」とは、簡単に言うと、周辺視野で光の強弱をどの程度まで感じ取れるかを数値化したものです。この値を調べることで、視神経の働きや、視野欠損の有無をより正確に評価することができます。詳細については、以降の章で順を追って説明していきます。
検査の種類 | 説明 |
---|---|
静的視野検査 | 一点を見つめたまま光を感じる範囲を調べる検査 |
動的視野検査 | 光の強弱に対する目の反応を調べる検査 – 視野の感度の変化を測定し、緑内障などの病気の早期発見に役立つ – 特に重要な指標として「量的視野」がある |
量的視野(動的視野検査の指標) | 周辺視野で光の強弱をどの程度まで感じ取れるかを数値化したもの – 視神経の働きや、視野欠損の有無をより正確に評価する |
量的視野とは何か
– 量的視野とは何か
私たちがものを見るとき、視界全体を均一に見えているように感じますが、実際には、見えている範囲の中心と周辺では、見やすさが異なります。視界の中心は最もはっきりと見え、中心から離れるほど、ぼんやりとしか見えなくなります。
量的視野検査は、この「見やすさ」を数値で表す検査です。具体的には、視界の様々な場所に、どれくらい小さな光を見分けられるかを調べます。検査は、ドーム状の機械の中で行われ、一点を見つめながら、周辺に見える光を感知したときにボタンを押して測定します。
検査結果は、数値とグラフで表示されます。グラフは、まるで地図のように、視界全体の「見やすさ」を示しています。中心部分は山のように盛り上がり、周辺部分は谷のように低くなります。この山の高さや谷の深さによって、視野の異常の有無や程度を判断することができます。
緑内障などの病気では、初期には自覚症状がないまま、視野の周辺から見えにくくなることがあります。量的視野検査は、このような初期の視野変化を捉えるのに有効な検査です。早期発見・早期治療のためにも、定期的な検査が大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
量的視野検査とは | 視界の「見やすさ」を数値化し、視野全体の状態を評価する検査。 視界の様々な場所に、どれくらい小さな光を見分けられるかを測定する。 |
検査方法 | ドーム状の機械の中で一点を見つめ、周辺に見える光を感知したときにボタンを押す。 |
検査結果の見方 | 数値とグラフで表示される。 グラフは視界全体の「見やすさ」を地図のように示し、中心は山、周辺は谷のように表示される。 山の高さや谷の深さで視野の異常の有無や程度を判断する。 |
量的視野検査の重要性 | 緑内障などは初期には自覚症状がないまま視野が狭くなるため、早期発見・治療のために有効。 定期的な検査が大切。 |
量的視野検査の方法
視界の広がりや感度を調べる検査に、量的視野検査があります。この検査では、一般的に「ハンフリー視野計」と呼ばれるドーム型の機械を使用します。
検査を受ける人は、まず機械に顎を固定し、片目を閉じて、もう片方の目で正面にある光を見つめます。そして、ドームの様々な場所に見える光を感じたら、手元のボタンを押して合図を送ります。この時、一点の光を見つづけ、視線を動かさないようにすることが重要です。
検査中は、光の強さが調節され、それぞれの場所でどの程度の明るさの光を認識できるのかが調べられます。見える光の範囲が狭くなっていたり、特定の場所が見えづらくなっていたりする場合、緑内障などの目の病気が疑われます。検査時間は片目で5分から10分程度で、痛みを伴う検査ではありません。
検査名 | 目的 | 方法 | 注意点 | 所要時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
量的視野検査 | 視界の広がりや感度を調べる | 1. ドーム型の機械(ハンフリー視野計)に顎を固定 2. 片目を閉じ、もう片方の目で正面の光を見つめる 3. ドームの様々な場所に見える光を感じたらボタンを押す 4. 光の強さを調節し、認識できる明るさを調べる |
一点の光を見つづけ、視線を動かさない | 片目5分から10分程度 | 痛みを伴う検査ではない 見える範囲が狭くなったり、特定の場所が見えづらい場合は緑内障などの疑いあり |
量的視野検査でわかること
– 量的視野検査で何がわかるのか?量的視野検査は、文字通り、視野の広がりを数値で測る検査です。 これにより、緑内障、網膜色素変性症といった目の病気だけでなく、脳腫瘍、脳梗塞など、脳神経系の病気を早期発見する手がかりを得られます。特に、緑内障の早期発見においては、量的視野検査は非常に重要な役割を担います。 緑内障は視野が少しずつ狭くなる病気ですが、初期段階では自覚症状が現れにくいため、放置してしまうケースが多いのです。しかし、量的視野検査を受けることで、自覚症状が出る前に異常を発見し、早期の治療を開始することができます。早期発見・早期治療によって、病気の進行を遅らせ、大切な視機能を守ることができるのです。また、脳梗塞や脳腫瘍など、脳に異常が生じた場合にも、視野に特定のパターンで異常が現れることがあります。 量的視野検査でその異常パターンを捉えることで、脳神経系の疾患の診断に役立てることができます。このように、量的視野検査は、目の病気だけでなく、脳の病気の発見にも繋がる可能性を秘めた検査といえます。
検査 | 目的 | 対象疾患 | 詳細 |
---|---|---|---|
量的視野検査 | 視野の広がりを数値で測定する | 緑内障、網膜色素変性症、脳腫瘍、脳梗塞など | – 緑内障の早期発見に重要 – 視野が狭くなる前に異常を検出可能 – 脳梗塞や脳腫瘍では特定のパターンで視野異常が現れる |
まとめ
視野とは、一点を見つめたまま認識できる範囲のことですが、この視野に異常が生じる病気は数多く存在します。その代表的な疾患が緑内障です。緑内障は、視野が徐々に狭くなっていく病気で、末期になるまで自覚症状が現れにくいという特徴があります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。
量的視野検査は、視野の感度を細かく測定する検査です。この検査により、緑内障などの様々な眼疾患や脳神経系の疾患を早期に発見することができます。検査方法は、ドーム状の機械の中で一点を見つめ、光が見えたらボタンを押すという簡単なものです。
自覚症状がなくても、健康診断や人間ドックなどで、定期的に量的視野検査を受けることをおすすめします。特に、緑内障のリスク因子(家族歴、高齢、近視、糖尿病など)がある方は、注意が必要です。目の健康を守るためにも、量的視野検査について理解を深め、定期的な検査を心がけましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
視野とは | 一点を見つめたまま認識できる範囲 |
視野異常の代表的な病気 | 緑内障 – 視野が徐々に狭くなる – 末期まで自覚症状が現れにくい – 早期発見・早期治療が重要 |
量的視野検査 | 視野の感度を細かく測定する検査 – 緑内障などの眼疾患や脳神経系の疾患の早期発見が可能 – ドーム状の機械の中で一点を見つめ、光が見えたらボタンを押す |
量的視野検査の推奨 | 健康診断や人間ドックなどで定期的に受診 – 緑内障のリスク因子(家族歴、高齢、近視、糖尿病など)がある方は特に注意 |