視野の半分が欠けてしまう病気: 同名半盲
眼のことを教えて
先生、『同名半盲』ってどういう意味ですか? なんか難しそうな名前で…
眼の研究家
そうだね。『同名半盲』は少し難しい言葉だね。簡単に言うと、両目の同じ側が見えなくなる視野の病気のことなんだ。例えば、両目の右側半分が見えなくなったり、逆に左側半分が見えなくなったりするんだよ。
眼のことを教えて
えー! 両目の同じ側が見えなくなるんですか? どうしてそんなことになるんですか?
眼の研究家
いい質問だね! 実は目から脳に至るまでの視覚情報の通り道に関係があるんだ。視神経の一部である『視索』や、視覚情報を中継する『外側膝状体』、視覚を処理する『後頭葉』といった部分が傷つくと、この『同名半盲』が起こることがあるんだよ。
同名半盲とは。
「同名半盲」っていう目の病気の言葉があるんだけど、これは、目から脳みそに繋がっている視神経や、脳みその中にある視覚情報を処理する場所(外側膝状体や後頭葉)が傷つくことで起こる視野の異常のことなんだ。この病気になると、両方の目の視野の右半分、あるいは左半分が見えなくなってしまうんだ。
視野が欠ける病気: 同名半盲とは?
私たちは、二つの目を使うことで、周囲の状況を立体的に、そして広い範囲で見渡すことができます。この広い範囲で物を見る能力を「視野」と呼びます。視野は、両方の目で見ている範囲を合わせたもので、左右それぞれ約90度、上下は約135度の範囲があります。しかし、脳の病気や怪我などによって、この視野の一部または全部が見えなくなってしまうことがあります。このような状態を「視野障害」と呼びます。
視野障害には様々な種類がありますが、その中でも左右どちらかの視野の半分が欠けてしまう症状を「半盲」と呼びます。例えば、右目の右半分、左目の左半分が見えなくなるといったように、左右同じ側が見えなくなるのが特徴です。半盲の原因となる病気には、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷などがあります。これらの病気によって、視神経や脳の視覚中枢に障害が起こることで、視野が欠けてしまうのです。半盲になると、日常生活で様々な支障が出てきます。例えば、人とすれ違う際にぶつかりやすくなったり、段差に気づかずに転倒したりする危険性があります。また、読書やテレビ視聴なども困難になることがあります。
半盲は、早期発見・早期治療が非常に重要です。もし、視野が狭くなった、物が二重に見える、視界の中心が見えにくいなど、目の異常を感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。適切な治療を受けることで、症状の進行を抑えたり、視機能の回復を目指すことができます。
項目 | 説明 |
---|---|
視野とは | 両方の目で見ている範囲を合わせたもの。左右それぞれ約90度、上下は約135度の範囲。 |
視野障害 | 脳の病気や怪我などによって、視野の一部または全部が見えなくなってしまう状態。 |
半盲 | 視野障害の一種。左右どちらかの視野の半分が欠けてしまう症状。左右同じ側が見えなくなるのが特徴。 |
半盲の原因 | 脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷など。視神経や脳の視覚中枢に障害が起こることで視野が欠ける。 |
半盲の症状 | 視野が狭くなる、物が二重に見える、視界の中心が見えにくいなど。 |
半盲による日常生活への影響 | 人とぶつかりやすくなる、段差に気づかず転倒する危険性、読書やテレビ視聴が困難になるなど。 |
半盲の治療 | 早期発見・早期治療が重要。眼科を受診し、適切な治療を受けることで症状の進行を抑えたり、視機能の回復を目指せる。 |
左右対称に視野が欠ける
視界の一部が見えなくなる「半盲」には、いくつかの種類があります。その中でも「同名半盲」は、左右両方の目で、左右同じ側の視野が欠損してしまう症状です。例えば、両目の右側の視野だけが欠けてしまう場合や、逆に左側の視野だけが欠けてしまう場合があります。
私たちの目は、それぞれ右半分と左半分で視野が分かれています。そして、右目の左側の視野と、左目の右側の視野は、脳の後方にある「後頭葉」と呼ばれる部分で重なり合って処理されます。 同名半盲は、この後頭葉に障害が起こることで発症すると考えられています。 後頭葉は、視覚情報以外にも、聴覚や触覚、空間認知など、様々な機能を司っています。そのため、同名半盲に加えて、他の神経症状を伴う場合もあります。
もし、左右対称に視野が欠けていると感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。適切な検査と診断を受けることが重要です。
種類 | 症状 | 原因 | その他の症状 |
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同名半盲 | 左右両方の目で、左右同じ側の視野が欠損する (例:両目の右側視野のみ欠損、など) |
脳の後頭葉の障害 | 聴覚、触覚、空間認知などに関する神経症状 |
ものを認識する視覚の経路と障害
私たちが普段「ものを見ている」と認識するまでには、目と脳、そしてその間をつなぐ神経の複雑な連携プレーが必要です。 まず、目はまるでカメラのレンズのように、外からの光を集めて網膜と呼ばれる薄い膜に像を結びます。網膜には、光を感知する特殊な細胞がびっしりと並んでおり、ここで光は電気信号に変換されます。
この電気信号は、視神経という太い神経線維の束を通って脳へと送られます。 視神経は、ちょうど電線を束ねたケーブルのようなもので、目から脳へ情報を伝える重要な役割を担っています。そして、視神経を通って運ばれた情報は、脳の後ろの方にある後頭葉という場所にたどり着きます。後頭葉には視覚野と呼ばれる領域があり、ここで初めて受け取った電気信号が処理され、形や色、動きといった視覚情報として認識されるのです。
このように、目から視神経を通って後頭葉の視覚野に至るまでの情報伝達の経路を「視覚路」と呼びます。この視覚路は、私たちがものを見る上で非常に重要な役割を担っており、この経路のどこかに異常が生じると、視野の一部が欠けたり、物が二重に見えたりするなど、様々な視覚障害が現れます。 同名半盲も、この視覚路に障害が起こることで生じる病気の一つです。
段階 | 説明 |
---|---|
1. 光の集光と変換 | 目はカメラのレンズのように光を集め、網膜に像を結ぶ。網膜の細胞が光を電気信号に変換する。 |
2. 信号の伝達 | 電気信号は視神経を通じて脳へ送られる。 |
3. 信号の処理と認識 | 信号は脳の後頭葉にある視覚野に到達し、ここで形、色、動きなどの視覚情報として処理・認識される。 |
同名半盲の原因となる部位
物の見え方に異常が生じる病気の一つに、左右どちらかの視野の半分が見えなくなる「同名半盲」があります。
この同名半盲は、視覚情報を脳に伝える視覚路と呼ばれる経路のうち、視交叉と呼ばれる部分より後ろに損傷が起こることで発症します。
視交叉とは、左右の眼から入ってきた視覚情報が交差する部位を指します。
左右の眼からの視覚情報は、視神経を通って脳へと伝わっていきます。
この視神経は、脳へと向かう途中で視交叉を作り、そこで左右の視覚情報が一部交差します。
そのため、視交叉よりも脳に近い部位、具体的には視索、外側膝状体、視放線、後頭葉といった部位で障害が起こると、左右どちらかの視野の半分が欠損する同名半盲が生じます。
例えば、脳の右側で障害が起こると、両眼の左側の視野が見えなくなります。
これは、脳の右側は、左側の視野の情報処理を担っているためです。
このように、同名半盲は、視交叉より後ろの特定の部位における障害によって引き起こされる視覚障害です。
部位 | 役割 | 障害時の症状 |
---|---|---|
視交叉 | 左右の眼からの視覚情報が交差する部位 | 同名半盲は起こらない |
視交叉より後ろ(視索、外側膝状体、視放線、後頭葉) | 視覚情報を脳に伝える経路の一部 | 同名半盲(左右どちらかの視野の半分が欠損) |
早期発見と適切な対応
私たちは、目で見た情報を脳に伝えて、周囲の世界を認識しています。この視覚情報を得るための大切な働きを担うのが「視野」です。視野とは、顔を動かさずに目だけで見渡せる範囲のことを指します。
視野に異常が生じると、日常生活に様々な支障が出てきます。例えば、視界が狭くなることで周囲の状況を把握しにくくなり、つまずいたり、物にぶつかったりする危険性が高まります。また、階段の上り下りが困難になったり、車の運転に支障が出たりするなど、日常生活の多くの場面で制限を受けることになります。
視野の異常は、緑内障などの目の病気の初期症状である場合があります。緑内障は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気ですが、放置すると失明に至る可能性もある病気です。
ご自身の視野に少しでも異常を感じたら、放置せずに、早めに眼科を受診しましょう。早期発見、早期治療によって、視野の異常の進行を遅らせたり、失明のリスクを減らすことができます。定期的な眼科検診も、視野の異常や目の病気を早期発見するために非常に有効です。
項目 | 内容 |
---|---|
視野とは | 顔を動かさずに目だけで見渡せる範囲 |
視野異常の症状 | – 視界が狭くなる – つまずきやすくなる – 物にぶつかりやすくなる – 階段の上り下りが困難になる – 車の運転に支障が出る |
視野異常のリスク | – 緑内障などの目の病気の可能性 – 放置すると失明に至る可能性 |
対策 | – 異常を感じたら眼科を受診 – 定期的な眼科検診 |