眼科医が解説!進化したICLレンズ「ホールICL」
眼のことを教えて
先生、「ホールICL」って最近よく聞くんですけど、どんなものなんですか?
眼の研究家
良い質問だね。「ホールICL」は、目の中に埋め込むレンズの一種で、2014年に厚生労働省に認められた比較的新しい治療法だよ。従来のレンズと比べて、目に房水という液体が循環しやすいように、レンズの中央に小さな穴が開いているのが特徴なんだ。
眼のことを教えて
レンズに穴が開いてるって、なんだか怖いですけど、大丈夫なんですか?
眼の研究家
心配しなくても大丈夫だよ。穴は0.36mmととても小さく、視界に影響はないんだ。むしろ、この穴のおかげで房水が循環しやすくなるので、従来のレンズよりも緑内障のリスクがほとんどなくなり、白内障のリスクも大幅に減らすことができるんだよ。
ホールICLとは。
『ホールICL』は、目のレンズを指す言葉で、2014年に厚生労働省のお墨付きをもらったものです。このレンズの特徴は、真ん中に約0.36ミリの小さな穴が開いていることです。この穴のおかげで、目の中の水分がうまく循環するようになり、従来のレンズで懸念されていた緑内障のリスクがなくなり、白内障になる危険性も大幅に減りました。
視力回復手術の新常識になりつつあるICL
近年、視力回復手術の選択肢として注目を集めているのがICLレンズ移植術です。ICLとは、Implantable Collamer Lensの略称で、眼球内に特殊なレンズを挿入して視力を矯正する手術のことを指します。
このICLレンズ移植術が注目される理由の一つに、レーシック手術とは異なる点があります。レーシック手術では角膜を削って光の屈折率を調整しますが、ICLレンズ移植術は角膜を削る必要がありません。そのため、角膜が薄くレーシック手術が受けられない方でも、ICLレンズ移植術を選択できる場合があります。
また、ICLレンズは、柔らかく眼に優しい素材で作られていることも大きな特徴です。このレンズは、目の中で異物と認識されにくく、長期間にわたって安定した視力を得られる可能性があります。
ICLレンズ移植術は、このように多くのメリットを持つ視力回復手術として、近年注目を集めています。ただし、全ての人に適応できるわけではありません。手術を受けるかどうかは、医師との相談の上、慎重に判断する必要があります。
項目 | ICLレンズ移植術 |
---|---|
手術方法 | 眼球内に特殊なレンズを挿入 |
角膜への影響 | 角膜を削らない |
レンズの素材 | 柔らかく眼に優しい素材 |
メリット | – 角膜が薄くても手術可能 – 長期にわたって安定した視力が期待できる |
注意点 | – 全ての人に適応できるわけではない – 医師との相談が必要 |
ホールICLとは?
– ホールICLとは?ホールICLは、2014年に日本の厚生労働省に認可された、眼内に埋め込むレンズです。これは、従来のICL(Implantable Collamer Lens)というレンズに改良を加えた、新しいタイプのレンズです。ICLは、目の中に埋め込むことで、近視や乱視を矯正する治療法です。従来のICLは、まれに眼圧が上昇し、緑内障のリスクが懸念される場合がありました。そこで開発されたのが、ホールICLです。ホールICLの最大の特徴は、レンズの中央部に、直径約0.4ミリメートルの小さな穴が開いていることです。この小さな穴は、ちょうど瞳孔よりも少し下に位置しており、外見からは全くわかりません。この小さな穴が、眼内の房水と呼ばれる水の循環をスムーズにする役割を果たします。房水は、目のレンズや角膜に栄養を届けたり、眼圧を一定に保ったりする役割を担っています。ホールICLによって房水の循環がスムーズになることで、眼圧の上昇が抑えられ、緑内障のリスクを大幅に低減することが期待できます。つまり、ホールICLは、従来のICLのメリットはそのままに、緑内障のリスクを軽減した、より安全性の高いレンズと言えるでしょう。
特徴 | 説明 |
---|---|
定義 | 2014年に日本で承認された、眼内に埋め込むレンズで、従来のICL(Implantable Collamer Lens)を改良したもの |
効果 | 近視や乱視の矯正 |
従来のICLとの違い | レンズ中央部に約0.4mmの穴があり、房水の循環をスムーズにすることで、眼圧上昇と緑内障のリスクを軽減 |
安全性 | 従来のICLのメリットを保ちつつ、緑内障のリスクを軽減した、より安全性の高いレンズ |
ホールICLの安全性
– ホールICLの安全性についてホールICLは、従来のICLと同様に、目の内側にレンズを挿入して視力を矯正する手術方法です。この手術は、非常に高い安全性を誇り、多くの方に安心して受けていただけます。まず、ホールICLで用いられるレンズは、生体適合性に優れた特殊な素材で作られています。そのため、体内に挿入しても、アレルギー反応や拒絶反応などのリスクは極めて低く抑えられています。また、レンズは柔らかくしなやかなため、眼球内部の組織を傷つける心配もほとんどありません。手術自体も、約10分程度と短時間で完了します。点眼麻酔を行うため、手術中の痛みはほとんど感じません。もちろん、万が一、痛みを感じた場合は、すぐに執刀医に伝えることが可能です。手術後も、多くの場合、翌日には普段通りの生活に戻れます。視力回復も早く、クリアな視界をすぐに実感できるでしょう。ただし、術後しばらくは、眼を保護するために、激しい運動や目をこする行為は控える必要があります。定期的な眼科検診も大切です。このように、ホールICLは、安全性と術後の回復の早さを兼ね備えた、非常に優れた視力回復手術と言えるでしょう。安心して手術を受けられるよう、疑問点や不安な点は、事前に医師に相談することをおすすめします。
特徴 | 詳細 |
---|---|
安全性 | 非常に高い |
レンズ素材 | 生体適合性に優れた特殊な素材 |
アレルギー反応 | リスクは極めて低い |
手術時間 | 約10分程度 |
麻酔 | 点眼麻酔 |
術後の回復 | 多くの場合、翌日には普段通りの生活に戻れる |
視力回復 | 早い |
術後の注意点 | 激しい運動や目をこする行為は控える、定期的な眼科検診 |
ホールICLに向いている人
ホールICLは、近視や遠視、乱視といった、さまざまな視力の問題を抱える方にとって、有効な治療法となり得ます。
特に、強度近視の方や、角膜が薄くレーシック手術を受けられない方にとっては、非常に適した選択肢の一つと言えるでしょう。
ホールICLは、レンズを目の中に埋め込む手術ですが、角膜にメスを入れるレーシック手術とは異なり、角膜への負担が少ないというメリットがあります。そのため、強度近視の方や角膜が薄い方でも安心して手術を受けることができます。
また、ドライアイや、夜間運転時に光が拡散して見えるハローグレアといった問題を抱えている方にとっても、ホールICLは有効な治療法となり得ます。
ドライアイは、涙の量が少なくなったり、涙の質が低下したりすることで、目が乾いたり、疲れやすくなったりする病気です。ホールICLは、角膜への負担が少ないため、ドライアイが悪化するリスクが低いと言われています。
ハローグレアは、夜間運転時などに、対向車のライトなどが拡散して見える現象です。ホールICLは、レンズの設計により、ハローグレアを抑制する効果も期待できます。
ただし、ホールICLは全ての方に適しているわけではありません。医師による診察や検査によって、自分に合った治療法かどうかを判断することが重要です。
特徴 | 詳細 |
---|---|
対象患者 | – 近視、遠視、乱視の方 – 強度近視の方 – 角膜が薄くレーシック手術を受けられない方 – ドライアイの方 – 夜間運転時に光が拡散して見えるハローグレアに悩んでいる方 |
メリット | – 角膜にメスを入れるレーシック手術とは異なり、角膜への負担が少ない – 強度近視の方や角膜が薄い方でも安心して手術を受けられる – ドライアイが悪化するリスクが低い – レンズの設計により、ハローグレアを抑制する効果も期待できる |
注意点 | – 全ての方に適しているわけではない – 医師による診察や検査によって、自分に合った治療法かどうかを判断することが重要 |
ホールICLの費用
目の内側に埋め込むレンズを用いて視力矯正を行う手術、ホールICL。この手術は健康保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。費用は医療機関や使用するレンズの種類によって変動しますが、一般的には両目で60万円から100万円程度が相場と言われています。
高額な費用がネックとなる場合もありますが、長期的な視点で考えると、経済的なメリットも見えてきます。例えば、メガネやコンタクトレンズは、購入や買い替えのたびに費用が発生します。また、洗浄液や保存ケースなども必要となり、ランニングコストがかかります。さらに、定期的な眼科受診も欠かせません。ホールICL手術を受ければ、これらの費用や手間を大幅に削減できる可能性があります。
もちろん、手術にはリスクが伴うため、安易に決断するべきではありません。費用面だけでなく、メリットとデメリット、リスクなどを十分に理解した上で、慎重に検討することが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
手術名 | ホールICL |
保険適用 | なし(全額自己負担) |
費用 | 両目 60万円~100万円程度(医療機関・レンズの種類による) |
メリット | – メガネ・コンタクトレンズ不要 – 購入・買い替え費用不要 – 洗浄液・保存ケース不要 – 眼科受診頻度減の可能性 |
デメリット・リスク | – 高額な手術費用 – 手術に伴うリスクあり |
その他 | – 費用面だけでなく、メリット・デメリット・リスクを理解し、慎重に検討が必要 |
まとめ
近年、眼鏡やコンタクトレンズに頼らずに視力を回復したいという方が増えています。そのニーズに応える視力回復治療法として、眼内にレンズを挿入するICL手術が注目されています。
ICL手術は、角膜を削ることなく、眼の中の水晶体と虹彩の間にレンズを挿入することで、近視や乱視を矯正する治療法です。この手術は、従来のレーシック手術が適応できない方や、より安全性の高い視力回復治療を希望される方にとって、新たな選択肢となっています。
そして、今回ご紹介するホールICLは、従来のICLレンズの欠点を克服し、安全性と有効性をさらに高めた、革新的な視力回復治療法です。従来のICLレンズでは、眼房水の流れを確保するために、レンズに小さな穴を開ける必要がありました。しかし、ホールICLは、レンズの中央部に小さな穴を設けることで、眼房水の循環をよりスムーズにすることを可能にしました。これにより、眼圧上昇のリスクを軽減し、より安全な手術が可能となりました。
また、ホールICLは、従来のICLレンズよりも光学特性に優れており、よりクリアで自然な視界を実現することができます。さらに、紫外線カット機能も備わっているため、目への負担を軽減することができます。
視力に悩みを抱えている方は、ぜひ一度、眼科専門医に相談してみることをおすすめします。
特徴 | 従来のICL | ホールICL |
---|---|---|
レンズ挿入位置 | 水晶体と虹彩の間 | |
角膜切開 | なし | |
適応 | レーシック手術が適応できない方、より安全性の高い視力回復治療を希望される方 | |
レンズ中央部の穴 | なし | あり |
眼房水の循環 | レンズに小さな穴を開けることで確保 | レンズ中央部の穴によりスムーズな循環が可能 |
眼圧上昇リスク | あり | 軽減 |
視界 | クリア | よりクリアで自然 |
紫外線カット機能 | – | あり |