眼科医が解説!角膜の病気「パンヌス」とは?

眼科医が解説!角膜の病気「パンヌス」とは?

眼のことを教えて

先生、『パンヌス』ってどういう意味ですか? 目の病気と関係があるみたいなんですが…

眼の研究家

そうだね、『パンヌス』は目の病気と関係がある言葉だよ。具体的には、角膜に炎症が起きた時に起こる変化のことなんだ。

眼のことを教えて

角膜に炎症…? でも、変化ってどういう変化ですか?

眼の研究家

角膜の周辺部から、本来は無いはずの血管が侵入してくる状態のことだよ。この血管の侵入を『パンヌス』と呼ぶんだ。わかりやすく言うと、透明な角膜に、赤い膜が張ったような状態になるんだ。

パンヌスとは。

「パンヌス」って言葉は目に関係することで、角膜で炎症が起きた時に、端っこの方から血管が入ってくることを指すんだ。

パンヌスとは

パンヌスとは

– パンヌスとは目の表面には、黒目と呼ばれる部分があります。黒目の表面を覆っている透明な膜は角膜と呼ばれ、私たちがものを見るときに光を取り込む役割を担っています。 パンヌスは、この角膜に炎症が起こり、その結果として角膜の周辺部分から血管が侵入してくる病気です。通常、健康な角膜には血管はほとんど見られません。 これは、角膜が透明性を保ち、光を効率よく通すために必要な状態です。 しかし、パンヌスになると、まるで薄い布や膜がかかったように、角膜に血管が入り込んでくるため、角膜の透明性が失われてしまいます。 その結果、視界がかすんだり、視力が低下したりすることがあります。 さらに症状が進むと、角膜の表面がデコボコになり、視力に影響が出ることもあります。パンヌスの原因は、まだ完全には解明されていませんが、ドライアイやアレルギー性結膜炎、コンタクトレンズの長期装用などが発症に関与していると考えられています。 また、関節リウマチなどの全身性疾患に伴って発症することもあります。パンヌスの治療法は、その原因や症状の程度によって異なります。 点眼薬によって炎症を抑えたり、血管新生を抑制したりする治療が一般的ですが、症状が進行している場合には、手術が必要になることもあります。

項目 説明
定義 角膜に炎症が起こり、血管が侵入してくる病気
症状 視界のかすみ、視力低下、角膜の表面がデコボコになる
原因 ドライアイ、アレルギー性結膜炎、コンタクトレンズの長期装用、関節リウマチなどの全身性疾患
治療法 点眼薬による炎症抑制、血管新生抑制、手術

パンヌスの原因

パンヌスの原因

目の表面には、黒目の一番外側である角膜と、その上を覆う結膜が存在します。パンヌスとは、この結膜組織が、角膜の表面に入り込んでしまう病気です。結膜には血管が豊富にあり、角膜は本来血管のない透明な組織なので、パンヌスが進行すると、視界がかすんだり、視力が低下したりすることがあります。
パンヌスの原因は様々ですが、その多くは、紫外線への過剰な曝露と関連しています。強い日差しを浴び続けることで、角膜と結膜の細胞がダメージを受け、炎症を引き起こすと考えられています。また、空気の乾燥も、パンヌスの発症リスクを高める要因の一つです。乾燥した環境では、涙の量が減り、目の表面が傷つきやすくなります。その他にも、コンタクトレンズの長期装用や、ハウスダストや花粉などのアレルギーも、パンヌスを引き起こす可能性があります。
さらに、アトピー性皮膚炎や関節リウマチのような、免疫の異常が関わる全身性の病気に伴って、パンヌスが生じることもあります。これらの病気では、体の免疫システムが、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことがあります。その結果、目にも炎症が生じ、パンヌスを引き起こすと考えられています。

項目 詳細
定義 結膜組織が角膜の表面に入り込んでしまう病気
症状 視界のかすみ、視力低下
原因 紫外線への過剰な曝露、空気の乾燥、コンタクトレンズの長期装用、アレルギー(ハウスダスト、花粉など)、全身性の病気(アトピー性皮膚炎、関節リウマチなど)

パンヌスの症状

パンヌスの症状

– パンヌスの症状パンヌスは、初期の段階では、ほとんど自覚症状が現れない場合が多くあります。そのため、眼科の検査などを受けるまで、パンヌスに罹患していることに気づかないケースも少なくありません。 しかし、病気が進行するにつれて、視界に変化が現れ始めます。具体的には、物が霞んで見えたり、視力が低下したりすることがあります。 また、眼の充血や、まるで目にゴミが入ったような異物感、痛みを感じることもあります。さらに、光に対して過敏になり、まぶしさを感じることもあります。これらの症状に加えて、パンヌスが進行すると、角膜の表面がデコボコになってしまうことがあります。この状態になると、眼に光を取り込む際に、光が正しく屈折しなくなるため、ものが二重に見えたり、ゆがんで見えたりする「乱視」の状態を引き起こす可能性があります。パンヌスは、早期発見、早期治療が大切な病気です。そのため、たとえ軽い症状であっても、放置せずに、眼科を受診するようにしましょう。

段階 症状
初期 自覚症状が少ない。視界の変化に気づかない場合もある。
進行時 – 物が霞んで見える
– 視力低下
– 眼の充血
– 異物感
– 痛み
– 光過敏
– 角膜の表面がデコボコになる
– 乱視(物が二重、ゆがんで見える)

パンヌスの診断

パンヌスの診断

– パンヌスの診断パンヌスは、目の黒目部分の縁に当たる結膜組織が、角膜(黒目の表面)に向かって侵入していく病気です。この病気は、視力低下を引き起こす可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要となります。パンヌスの診断は、眼科専門医による診察と様々な検査によって行われます。まず、視力検査を行い、視力への影響を調べます。次に、細隙灯顕微鏡検査を用いて、角膜の状態を詳しく観察します。この検査では、結膜組織の侵入の程度や、角膜に新生血管(新たに作られた血管)が形成されているかなどを確認します。さらに、角膜トポグラフィー検査を行い、角膜の表面の形状を測定することで、パンヌスの進行度合いを評価します。これらの検査に加えて、場合によっては血液検査なども行われます。これは、関節リウマチなどの全身性疾患がパンヌスの原因となっている可能性があるためです。血液検査では、炎症反応や自己抗体の有無などを調べることで、全身性疾患との関連を調べます。パンヌスは、初期段階では自覚症状が乏しい場合もあるため、定期的な眼科検診を受けることが大切です。もし、目の充血や異物感、視力低下などの症状を感じたら、早めに眼科を受診するようにしましょう。

項目 詳細
定義 結膜組織が角膜に侵入していく病気
症状 視力低下、目の充血、異物感など。初期は自覚症状が乏しい場合もある。
診断方法 視力検査、細隙灯顕微鏡検査、角膜トポグラフィー検査、血液検査など
検査の目的 視力への影響、結膜組織の侵入度合い、新生血管の有無、角膜の形状、全身性疾患との関連などを調べる。
治療の重要性 視力低下を防ぐため、早期発見と適切な治療が重要

パンヌスの治療

パンヌスの治療

目の表面にある透明な膜である角膜に、炎症を起こした組織が侵入してくる病気をパンヌスと言います。この病気は放置すると視力に影響を及ぼす可能性もあるため、適切な治療が必要です。

パンヌスの治療法は、その原因や症状の進行度合いによって異なります。初期の段階では、炎症を抑え、角膜を保護するために、人工涙液ステロイドを配合した目薬を使用することが一般的です。これらの目薬は、炎症の原因物質を抑え、角膜の腫れや痛みを和らげる効果があります。

しかし、症状が進行している場合には、より強力な免疫を抑える薬が用いられます。これらの薬は、点眼薬として使用する場合と、内服薬として使用する場合があります。症状が重症化し、角膜の表面がデコボコになって視力が低下している場合には、コンタクトレンズを使用したり、手術療法が必要となるケースもあります。

パンヌスは、早期に発見し、適切な治療を行うことで、視力への影響を抑えることができます。目の充血や痛み、異物感、視力低下などの症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。

症状の段階 治療法 効果
初期段階 – 人工涙液
– ステロイド配合目薬
炎症の抑制、角膜の保護、腫れや痛みの緩和
進行期 – 免疫抑制剤(点眼薬または内服薬)
重症化(角膜の表面がデコボコ、視力低下) – コンタクトレンズ
– 手術療法

パンヌスと日常生活の注意点

パンヌスと日常生活の注意点

– パンヌスと日常生活の注意点パンヌスは、目の表面を覆う透明な膜である角膜に、炎症を起こした組織が入り込んでしまう病気です。この組織は、まるで薄い布をかけたように見えることから「パンヌス」と呼ばれ、進行すると視界がかすんだり、歪んで見えたりすることがあります。パンヌスの発症には、紫外線が大きく関わっていると考えられています。紫外線は、角膜に炎症を引き起こし、パンヌスの原因となる組織の侵入を許してしまうのです。ですから、パンヌスを予防するためには、日常生活の中で紫外線対策を徹底することが重要です。外出時には、紫外線をカットするサングラスや、つばの広い帽子を着用して、目を紫外線から守りましょう。また、日差しの強い時間帯の外出は控えめにするなど、工夫をこらすことも大切です。さらに、ドライアイの予防もパンヌス予防には効果的です。 目の表面が乾燥すると、角膜に傷がつきやすくなり、パンヌスを引き起こしやすくなってしまうからです。エアコンの風が直接目に当たらないようにしたり、意識的にまばたきをするように心がけましょう。部屋の湿度が低い場合は、加湿器を使用するのも良いでしょう。コンタクトレンズを使用している方は、正しい使用方法を守り、清潔に保つようにしましょう。 また、目に異常を感じたら、自己判断せずに、速やかに眼科を受診してください。 定期的な眼科検診も、早期発見・治療のために非常に大切です。

パンヌスとは 原因 予防策
目の角膜に炎症組織が入り込む病気。視界がかすんだり歪んだりする。 紫外線による角膜の炎症 – 紫外線対策
– サングラスや帽子の着用
– 日差しの強い時間の外出を控える
– ドライアイ予防
– エアコンの風を目に当てない
– 意識的にまばたきをする
– 加湿器の使用
– コンタクトレンズの正しい使用と清潔を保つ