アベリノ角膜変性症とは?

アベリノ角膜変性症とは?

眼のことを教えて

先生、『アベリノ角膜変性症』って、どんな病気ですか?

眼の研究家

良い質問だね。『アベリノ角膜変性症』は、角膜ににごりが生じる病気だよ。 このにごりは、丸くて細かい、例えるなら、つぶつぶしたような形をしているんだ。遺伝する病気で、にごりが角膜の中心にできると、視力が低下してしまうこともあるんだよ。

眼のことを教えて

つぶつぶ状のにごりですか…。視力低下もするんですね。怖い病気ですね。

眼の研究家

そうだね。ただ、早期に発見して適切な治療を行えば、視力低下の進行を抑えられることもある。だから、心配なことがあれば、早めに眼科を受診することが大切だよ。

アベリノ角膜変性症とは。

「アベリノ角膜変性症」は、目に現れる病気の一つです。この病気では、角膜(目の表面にある透明な膜)に、細かい粒のような濁りができます。この濁りは、まるで小さな粒が集まったように見え、角膜の中心部にできると、視力が低下することがあります。アベリノ角膜変性症は、親から子に受け継がれる遺伝性の病気です。

はじめに

はじめに

私たちの体は、設計図のような役割を持つ「遺伝子」の情報に基づいて、健康状態や身体の特徴が決まります。目も例外ではなく、遺伝子の変化によって視力に影響が出る様々な病気が知られています。

その中でも、今回は「アベリノ角膜変性症」という病気に焦点を当ててお話します。

アベリノ角膜変性症は、角膜に異常が生じることで、視力が徐々に低下していく病気です。角膜は、眼球の最も外側にある透明な膜で、カメラのレンズのように光を集め、鮮明な視界を得るために重要な役割を担っています。

この病気は、特定の遺伝子の変化が原因で発症します。遺伝子の変化によって、角膜に異常なタンパク質が蓄積し、角膜が濁って視界が曇ったり、ゆがんで見えたりするようになります。

症状が現れる時期や進行の程度は人それぞれですが、一般的には10代から20代で発症することが多く、徐々に進行していく場合が多いです。

今回は、アベリノ角膜変性症の基本的な情報についてお伝えしました。次の項目からは、原因や症状、治療法など、さらに詳しく解説していきます。

項目 内容
病気名 アベリノ角膜変性症
定義 角膜に異常が生じることで、視力が徐々に低下していく病気
原因 特定の遺伝子の変化
症状 角膜が濁る、視界が曇る、ゆがんで見える
発症時期 10代から20代で発症することが多い
進行 徐々に進行していく場合が多い

病気の特徴

病気の特徴

– 病気の特徴アベリノ角膜変性症は、角膜に白い粒のような濁りが現れる病気です。角膜は、眼球の前面を覆う透明な膜で、カメラのレンズのような役割をしています。この角膜に、まるで粉をまぶしたかのように、白い点々が出てくるのが特徴です。 この白い粒は、タンパク質が変化してしまい、角膜に異常な形で蓄積してしまうことで発生します。顕微鏡で拡大してみると、この粒はまるで蜂の巣のような形に見えるため、蜂巣状角膜ジストロフィーとも呼ばれます。 この病気は、進行すると角膜全体が白く濁っていき、視界がかすんだり、視力が低下したりする可能性があります。症状が悪化すると、物が歪んで見えたり、光がまぶしく感じたりすることもあります。場合によっては、視力が著しく低下し、日常生活に支障が出ることもあります。 ただし、病気の進行は緩やかで、必ずしも失明に至るわけではありません。

項目 詳細
病気名 アベリノ角膜変性症
(蜂巣状角膜ジストロフィー)
症状
  • 角膜に白い粒状の濁りが現れる
  • 視界のかすみ
  • 視力低下
  • 物が歪んで見える
  • 光がまぶしく感じる
原因 タンパク質の変性による角膜への異常蓄積
進行 緩やかで、必ずしも失明に至るわけではない

原因と遺伝

原因と遺伝

– 原因と遺伝アベリノ角膜変性症は、生まれつきの遺伝子の変化によって引き起こされる病気です。 私たちの体を作るための設計図のようなもの、それが遺伝子です。 この遺伝子の中に、TGFBI遺伝子と呼ばれるものがあり、この遺伝子が変化してしまうことで、アベリノ角膜変性症は発症すると考えられています。 TGFBI遺伝子は、本来、私たちの眼の黒目部分を構成する角膜という組織を作るために必要なタンパク質を作り出すための情報を持っています。 ところが、この遺伝子が変化してしまうと、正常なタンパク質を作ることができなくなり、代わりに異常なタンパク質が作られてしまうのです。 この異常なタンパク質は、角膜に少しずつ蓄積していき、角膜を濁らせてしまいます。これが、視力低下の原因となるのです。 さらに、このTGFBI遺伝子の変化は、優性遺伝という形で遺伝します。これは、両親のどちらか一方から、変化した遺伝子を受け継いだだけでも、発症する可能性があるということを意味します。 つまり、アベリノ角膜変性症の患者さんの子供は、50%の確率でこの病気を遺伝する可能性があるということです。

項目 内容
原因遺伝子 TGFBI遺伝子
遺伝子の役割 眼の角膜を構成するタンパク質を作るための情報を持つ
遺伝子変異の影響 遺伝子が変化すると正常なタンパク質を作ることができなくなり、異常なタンパク質が作られる。
その結果、異常なタンパク質が角膜に蓄積し、角膜が濁り視力低下を引き起こす。
遺伝形式 優性遺伝
(両親のどちらか一方から変異遺伝子を受け継ぐと発症する可能性がある)
遺伝確率 患者さんの子供は50%の確率で遺伝する可能性がある

症状と進行

症状と進行

– 症状と進行この病気は、眼球の表面にある透明な膜である角膜に異常が生じる病気です。発症すると、初期段階では角膜に小さな白い点が現れます。これは、まるで埃のように見えることがありますが、痛みやかゆみなどの自覚症状がない場合も多く、気づかないまま過ごしてしまうこともあります。しかし、病気が進行すると、視界全体がかすんで見えたり、光が過剰にまぶしく感じたりするようになります。さらに症状が進むと、角膜の中心部分まで濁りが広がり、視力が著しく低下してしまうこともあります。濁りの程度や進行速度は人によって異なり、非常にゆっくりと進行する場合もあれば、急速に悪化する場合もあります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診するようにしましょう。

症状 進行段階
角膜に小さな白い点 (埃のように見える) 初期段階
視界全体がかすむ、光が過剰にまぶしい 中期段階
角膜の中心部分まで濁りが広がり、視力低下 末期段階

治療法

治療法

– 治療法残念ながら、アベリノ角膜変性症を完全に治す治療法は今のところありません。この病気は、徐々に角膜に濁りが生じ、視力が低下していく進行性の病気です。そのため、治療の中心は、病気の進行を遅らせ、視力低下を可能な限り抑えることにあります。病気の初期段階で視力低下が軽い場合は、眼鏡やコンタクトレンズを用いて視力矯正を行います。しかし、病気の進行に伴い、角膜の濁りが強くなると、眼鏡やコンタクトレンズでは十分な視力矯正が難しくなります。角膜の濁りがひどくなり、視力が著しく低下した場合は、角膜移植という手術が選択肢となります。角膜移植は、健康なドナーから提供された角膜を、濁った角膜と置き換える手術です。この手術によって、多くの場合視力を取り戻すことが期待できます。ただし、角膜移植はあくまでも対症療法であり、病気そのものを根本的に治すものではありません。そのため、移植後も病気の再発の可能性は残ります。また、移植手術には、拒絶反応や感染症などのリスクも伴います。アベリノ角膜変性症と診断された場合は、眼科医とよく相談し、それぞれの状況に最適な治療法を選択していくことが重要です。

アベリノ角膜変性症の治療法 詳細
治療の現状 完治する治療法は現時点ではない。進行を遅らせ、視力低下を抑えることを目標とする。
初期段階 眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正を行う。
進行段階(角膜の濁りが強い場合) 角膜移植手術を行う。ドナーの角膜と置き換えることで視力回復を目指す。
角膜移植の注意点
  • 病気の根本的な治療ではなく、対症療法である。
  • 移植後も再発の可能性がある。
  • 拒絶反応や感染症のリスクがある。

早期発見の重要性

早期発見の重要性

アベリノ角膜変性症は、視界が霞んだり、物が歪んで見えるなどの症状が現れる病気です。ただし、初期段階では自覚症状がほとんどないため、病気の進行に気づかないまま放置してしまうケースも少なくありません。そのため、アベリノ角膜変性症は早期発見が何よりも重要となります。

自覚症状がない場合でも、定期的に眼科で検査を受けることで、アベリノ角膜変性症を早期に発見できる可能性が高まります。特に、家族や親族の中にアベリノ角膜変性症の方がいる場合は、遺伝的に発症するリスクが高まるため、定期的な眼科検診を強く推奨します。

アベリノ角膜変性症と診断された場合、現時点では完治させる治療法は確立されていません。しかし、早期に発見し、適切な治療やケアを開始することで、症状の進行を遅らせ、視力低下を抑えることが期待できます。

大切なのは、眼の健康に対する意識を高め、定期的な検査を習慣化することです。少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診しましょう。

項目 内容
病気名 アベリノ角膜変性症
症状 視界が霞む、物が歪んで見えるなど。初期段階では自覚症状がない場合も多い
早期発見の重要性 初期段階では自覚症状が少なく進行に気づきにくいため、早期発見が重要
早期発見の方法 定期的な眼科検診
定期検診が推奨される人 家族や親族にアベリノ角膜変性症の人がいる人
治療法 完治させる治療法は確立されていない
治療の開始時期 早期に発見し、適切な治療やケアを開始することで、症状の進行を遅らせ、視力低下を抑えることが期待できる