眼科医が解説|意外と知らない「斜視」の種類と特徴
眼のことを教えて
先生、『下斜視』ってどういう意味ですか?上下方向の斜視って書いてあるけど、よくわかりません。
眼の研究家
良い質問だね!確かに、『下斜視』は、片方の目がもう片方の目よりも下の方向を向いてしまっている状態を指す言葉なんだ。でも、実際には、『下斜視』という言葉はあまり使わないんだ。
眼のことを教えて
え、そうなんですか?どうして使わないんですか?
眼の研究家
それはね、片方の目が下を向いているときは、もう片方の目は必ず上を向いているからなんだ。だから、『右上斜視』や『左上斜視』のように、どちらの目が上を向いているかをはっきりさせて表現する方が正確なんだよ。
下斜視とは。
「下斜視」とは、目が上下方向にずれてしまうことを指す言葉です。片方の目が上を向いてしまっている場合、もう片方の目は必ず下を向いています。つまり、上と下の斜視は常にセットで起こる現象です。そのため、実際に医療現場では「下斜視」という言葉はあまり使われず、代わりに「右上斜視」や「左上斜視」のように、より具体的な状態を表す言葉が使われています。
上下の目のずれ:下斜視とは?
– 上下の目のずれ下斜視とは?私たちの目は、通常は左右揃って同じ方向を見ていますが、時にはその視線がずれてしまうことがあります。 このような状態を斜視と呼びますが、多くの人は左右方向のずれをイメージするのではないでしょうか。 実は、斜視には上下方向のずれも存在し、「下斜視」と呼ばれます。 これは、片方の目が下方に向いているように見える状態です。下斜視は、左右の目の視線が上下にずれているため、ものを立体的に捉えることが難しくなることがあります。 また、顔を上下に向けるなど、無意識に視線を調整しようとするため、肩こりや首こり、頭痛などの症状を引き起こす可能性もあります。 ただし、「下斜視」という言葉は、医療現場であまり使われていません。 その理由は、上下の目のずれは、他の目の病気や症状と関連している場合が多く、単独で「下斜視」と診断されることが少ないためです。 例えば、斜視や視神経麻痺、甲状腺眼症などが原因で、上下の目のずれが生じることがあります。もし、上下の目のずれが気になる場合は、自己判断せずに、眼科を受診して、専門医の診察を受けるようにしましょう。 早期発見、早期治療によって、症状の改善や進行の抑制が期待できます。
項目 | 説明 |
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上下の目のずれ下斜視とは | 片方の目が下方に向いているように見える状態。医療現場ではあまり使われない。 |
症状・合併症 |
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原因 |
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対応 | 自己判断せず、眼科を受診して専門医の診察を受ける。 |
下斜視ではなく、上斜視と診断される理由
眼は左右で一対となり、ものを見るときにどちらも同じ方向を向くことで、ものを立体的に捉えたり、距離感を正しく把握したりすることができます。しかし、眼の動きをコントロールする筋肉や神経に何らかの異常があると、左右の眼の視線がずれてしまうことがあります。これが斜視と呼ばれる状態です。
斜視は、左右どちらの眼がどちらの方向にずれているかによって、様々な呼び方をされます。その中で、「下斜視」という言葉が使われることはほとんどありません。
なぜなら、片方の眼が下にずれている時、もう片方の眼は必ず上を向いているからです。例えば、右眼が下を向いていれば、左眼は上を向いています。つまり、上下方向の斜視は、必ず両方の眼が同時に、そして反対方向にずれている状態なのです。
そのため、医療現場では、眼がどちらの方向にずれているかを正確に表現するために、「右上斜視」や「左上斜視」といった診断名が用いられます。右眼が上側にずれている場合は「右上斜視」、左眼が上側にずれている場合は「左上斜視」と診断するのです。
眼のずれ方 | 診断名 |
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右眼が上側にずれている | 右上斜視 |
左眼が上側にずれている | 左上斜視 |
上斜視の原因と治療法
– 上斜視の原因と治療法上斜視とは、片方の目が上方向にずれてしまう症状を指します。この症状が現れる原因は様々で、生まれつきのものと、後天的なものに大別できます。生まれつきの原因として最も多いのは、眼球を動かす筋肉(外眼筋)の異常です。通常、眼球は6つの筋肉によって支えられ、上下左右にスムーズに動きますが、これらの筋肉に麻痺や発達の遅れがあると、眼球の動きが制限され、斜視が起こります。また、生まれつきの遠視や乱視、弱視なども上斜視の要因となります。これらの視覚機能の問題を放置すると、脳が視覚情報を正しく処理できなくなり、結果として眼球の位置がずれてしまうことがあります。一方、後天的な上斜視は、加齢に伴う筋肉の衰えや、糖尿病などの病気、頭部外傷などが原因で発症することがあります。加齢によって眼球を支える筋肉や組織の弾力が失われると、眼球の位置が不安定になり、上斜視を引き起こすことがあります。また、糖尿病は眼の神経や血管に悪影響を及ぼし、眼球運動を司る筋肉の機能を低下させる可能性があります。上斜視の治療法は、原因や症状の程度によって異なります。軽度の場合は、メガネやコンタクトレンズによる視力矯正で視線のずれを改善できることがあります。また、プリズムと呼ばれる特殊なレンズをメガネに組み込むことで、眼に入る光の向きを調整し、視線を矯正する方法もあります。これらの治療法で効果が得られない場合や、症状が重い場合は、斜視手術が検討されます。斜視手術では、眼球を動かす筋肉の位置を調整することで、眼球の位置を正常な状態に戻します。上斜視は、早期発見・早期治療が大切です。放置すると、視力低下や両眼視機能(両目で立体的に物を見る機能)の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。眼の違和感や視線のずれを感じたら、早めに眼科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
原因 | 詳細 | 治療法 |
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生まれつき |
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後天性 |
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早期発見と適切な治療が大切
目は心の窓と言われるように、世界を認識する上で非常に重要な役割を担っています。特に生まれたばかりの赤ちゃんは、周囲の環境や人との関わりを通して視覚を発達させていきます。しかし、生まれたときから目の機能に問題を抱えている場合、視覚の発達に影響が出る可能性があります。
斜視は、左右の目の視線がずれている状態を指します。この状態は、単に見栄えの問題だけでなく、視機能の発達にも大きな影響を与える可能性があります。特に乳幼児期に斜視があると、両方の目で物を見る能力、いわゆる両眼視機能が正常に発達せず、立体的に物を見ることや距離感を正しく把握することが難しくなることがあります。また、斜視によって片方の目ばかりを使うようになり、もう片方の目の視力が発達しない弱視になってしまうこともあります。
このような事態を防ぐためには、早期発見と適切な治療が何よりも重要になります。赤ちゃんの頃から目の定期検診を受け、少しでも目の様子がおかしいと感じたら、ためらわずに眼科を受診しましょう。専門医による適切な診断と治療によって、お子様の健やかな目の発達を守ることができます。
項目 | 説明 |
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斜視とは | 左右の目の視線がずれている状態 |
斜視の影響 | – 両眼視機能の発達への影響 – 立体視や距離感把握の困難さ – 弱視のリスク |
対策 | – 早期発見・治療 – 乳児期からの定期検診 – 異常時の眼科受診 |