新生血管黄斑症:視界の歪みに潜む病気

新生血管黄斑症:視界の歪みに潜む病気

眼のことを教えて

先生、「新生血管黄斑症」って、どういう病気なんですか?

眼の研究家

目の病気の一つで、ものを見るために重要な「黄斑」という部分が影響を受ける病気だよ。簡単に言うと、黄斑の近くに、もろくて normally はないはずの血管ができてしまうんだ。

眼のことを教えて

もろい血管ができると、どうなるんですか?

眼の研究家

その血管が壊れやすく、出血を繰り返してしまうんだ。それが原因で、黄斑が傷ついてしまい、ものがゆがんで見えたり、視力低下したりするんだよ。

新生血管黄斑症とは。

目の病気で「新生血管黄斑症」というものがあります。これは、ものを見るために大切な黄斑という部分で、血管が新しく作られてしまう病気です。新しくできた血管は、もろくて壊れやすく、網膜に出血を起こしてしまいます。そして、この出血が何度も繰り返されるのです。

黄斑部の病気

黄斑部の病気

私たちの目は、カメラとよく似た仕組みで物を見ています。カメラのレンズに当たる部分が、私たちの目では角膜や水晶体にあたります。そして、カメラのフィルムに相当するのが、目の奥にある黄斑部と呼ばれる部分です。

黄斑部は、網膜の中心部に位置し、ちょうど視線が集まる重要な役割を担っています。この黄斑部のおかげで、私たちは物の形や色、細かい文字などを識別することができます。たとえるなら、視界の中心に高画質カメラが搭載されているようなもので、周囲の風景よりも鮮明に捉えることができるのです。

しかし、加齢や生活習慣、遺伝などの要因によって、この重要な黄斑部に異常が起こることがあります。これが、黄斑部の病気です。黄斑部に異常が起こると、視力が低下したり、物がゆがんで見えたり、視界の中心に見えない部分が生じたりするなど、様々な症状が現れます。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。例えば、読書やテレビの視聴が困難になったり、外出時に不安を感じたりすることがあります。

黄斑部の病気には、加齢黄斑変性、黄斑上膜、中心性漿液性脈絡網膜症など、いくつかの種類があります。早期発見、早期治療が重要となる病気ですので、目の症状に違和感を感じたら、早めに眼科を受診するようにしましょう。

目の器官 カメラの部品 役割
角膜、水晶体 レンズ 光を集め、像を結ぶ
黄斑部 フィルム 光の情報を受け取り、視覚として認識する

病気の名称 症状
黄斑部の病気 視力低下、物がゆがんで見える、視野の中心に見えない部分が生じる

新生血管黄斑症とは

新生血管黄斑症とは

– 新生血管黄斑症とは「ものを見る」ために重要な役割を果たす黄斑という部分は、加齢とともに変化が生じます。その変化の一つに、新生血管黄斑症があります。黄斑の奥には、脈絡膜という組織があります。加齢などの影響で、この脈絡膜から、本来は存在しない異常な血管(新生血管)が、黄斑に向かって伸びてくることがあります。
この新生血管は、健康な血管とは異なり、非常に脆く、もろいという特徴があります。そのため、ちょっとした刺激でも、容易に破れてしまい、出血したり、血管から血液中の水分が漏れ出したりすることがあります。新生血管から漏れ出した血液や水分は、黄斑の組織にダメージを与え、黄斑の働きを低下させてしまいます。その結果、視力が低下したり、視界の中心部分が歪んで見えたりするなどの症状が現れます。ものが歪んで見える症状は、ゆがんで見える、曲ががって見える、物が小さく見えるなど、人によって見え方が異なります。また、症状が進行するにつれて、視界の中心が見えにくくなることもあります。

項目 説明
新生血管黄斑症とは 加齢などの影響で、脈絡膜から異常な血管(新生血管)が黄斑に向かって伸びてくる病気
新生血管の特徴 非常に脆く、もろいため、容易に出血したり、血管から水分が漏れ出したりする
症状
  • 視力低下
  • 視界の中心部分が歪んで見える(ゆがみ、曲がり、縮小など)
  • 視界の中心が見えにくくなる

症状と進行

症状と進行

– 症状と進行この病気は、初期の段階では、自覚できるような症状がほとんどみられないことが多くあります。そのため、気づかないうちに病気が進行してしまう場合も少なくありません。しかし、病気が進行すると、視力に影響が出始めます。物が歪んで見えたり、視野の中心が見えづらくなったり、視界の一部が欠けてしまうことがあります。特に、真っ直ぐな線が波打って見える格子模様が歪んで見えるといった症状はこの病気の特徴的な症状なので、注意が必要です。

さらに病気が進行すると、視力の低下が進んでいきます。最終的には、失明してしまう可能性もあるため、早期発見と早期治療が非常に重要となります。少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診するようにしましょう。

段階 症状
初期 自覚症状ほとんどなし
進行期 – 視力に影響が出始める
– 物が歪んで見える
– 視野の中心が見えづらい
– 視界の一部が欠ける
– 真っ直ぐな線が波打って見える
– 格子模様が歪んで見える
末期 – 視力低下が進行
– 失明の可能性

原因とリスク因子

原因とリスク因子

新生血管黄斑症は、ものの見え方の中心を担う黄斑という場所に異常な血管(新生血管)が発生する病気です。この病気は視力低下を引き起こし、放置すると失明に至る可能性もあるため、早期の発見と治療が非常に重要です。

新生血管黄斑症の明確な原因は、現在の医学ではまだ完全には解明されていません。しかし、様々な研究によって、いくつかのリスク因子(発症に関係する要因)が明らかになっています。

最も大きなリスク因子として挙げられるのが加齢です。新生血管黄斑症は、特に高齢者において多く発症することが知られています。その他にも、喫煙習慣のある方は、そうでない方に比べて、新生血管黄斑症を発症するリスクが2倍以上になるという報告があります。また、遺伝的な要因も関係していると考えられており、家族に新生血管黄斑症の患者さんがいる場合は、発症リスクが高くなる可能性があります。

これらのリスク因子に加えて、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病も、新生血管黄斑症の発症と関連があるという報告もあります。日頃から健康的な生活習慣を心がけ、リスク因子を減らすように意識することが重要です。

リスク因子 詳細
加齢 特に高齢者で発症リスクが高い
喫煙習慣 喫煙者は非喫煙者と比べて2倍以上発症リスクが高い
遺伝的要因 家族に患者がいる場合、発症リスクが高くなる可能性がある
生活習慣病 高血圧や脂質異常症なども発症と関連があると報告されている

治療方法

治療方法

– 治療方法新生血管黄斑症の治療は、主に目の中に薬を注射する方法で行います。この治療は、病気の原因となる異常な血管の増殖を抑え、出血やむくみを抑えることを目的としています。使用する薬は、血管内皮増殖因子(VEGF)という物質の働きを抑えるもので、「抗VEGF薬」と呼ばれています。VEGFは血管を新しく作るために必要な物質ですが、新生血管黄斑症では過剰に産生されるため、異常な血管が増えてしまうのです。抗VEGF薬を注射することで、VEGFの働きを抑え、異常な血管の増殖を抑制し、症状の改善を図ります。抗VEGF薬による治療は、視力の低下を抑え、場合によっては視力が回復することも期待できます。しかし、病気の進行具合や個人差によって効果は異なり、治療を継続する必要がある場合もあります。抗VEGF薬による治療に加えて、レーザー治療や光線力学療法などを組み合わせることもあります。レーザー治療は、異常な血管にレーザーを照射して破壊する治療法です。光線力学療法は、光に反応する薬を注射し、その後、弱いレーザーを照射することで異常な血管を破壊する治療法です。これらの治療法は、病気の進行状況や患者さんの状態に合わせて、医師が適切な治療法を選択します。新生血管黄斑症は、早期発見・早期治療が重要です。視力に異常を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。

治療法 説明 効果
抗VEGF薬の注射
  • 血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑え、異常な血管の増殖を抑制する
  • 視力低下の抑制
  • 視力回復の可能性
レーザー治療
  • 異常な血管にレーザーを照射して破壊する
光線力学療法
  • 光に反応する薬を注射し、弱いレーザーを照射して異常な血管を破壊する

早期発見のために

早期発見のために

目はものを認識するために非常に大切な感覚器官ですが、自覚症状がないまま病気が進行してしまうケースも少なくありません。新生血管黄斑変性もその一つです。新生血管黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑に異常な血管(新生血管)が発生する病気で、放置すると視力が大きく低下する可能性があります。
早期発見・早期治療によって視力低下のリスクを抑え、健康な視力を保つことが重要です。
新生血管黄斑変性の早期発見のために、日頃からご自身で簡単にできるチェック方法があります。それは、片目ずつで視力チェックを行うことです。片目を手で覆い、もう片方の目で時計やカレンダーなどを見えにくさや歪みがないか確認します。特に、物が歪んで見えたり、視野の中心が黒く欠けて見える場合は、新生血管黄斑変性の可能性があります。
また、アムスラーチャートと呼ばれる格子模様の表を用いてチェックする方法も有効です。この表の中心を見て、線が歪んで見えたり、一部分が見えにくくなったりする場合は注意が必要です。
少しでも異常を感じたら、早めに眼科を受診し、医師の診察を受けてください。

病気 症状 チェック方法 注意点
新生血管黄斑変性
  • 物が歪んで見える
  • 視野の中心が黒く欠けて見える
  • 片目ずつで視力チェック (時計やカレンダーの見え方を確認)
  • アムスラーチャート (格子模様の表) を用いたチェック
少しでも異常を感じたら、早めに眼科を受診