眼科医が解説!兎眼の症状とリスク

眼科医が解説!兎眼の症状とリスク

眼のことを教えて

先生、「兎眼」ってどういう意味ですか?

眼の研究家

良い質問だね。「兎眼」は、まぶたを閉じることができない状態のことをいうんだ。ウサギをよく観察してみてごらん。ウサギはまぶたをあまり閉じないだろう?

眼のことを教えて

確かに、ウサギはあまりまばたきしませんね。でも、どうしてまぶたが閉じられないと困るのですか?

眼の研究家

まぶたは、目を守るためにとても大切なんだ。まぶたが閉じられないと、目が乾燥して傷つきやすくなる。その結果、角膜炎になってしまうこともあるんだよ。

兎眼とは。

「兎眼」とは、目の病気の一つで、まぶたがうまく閉じられない状態のことをいいます。これは、けがによる傷跡や、顔の表情筋を動かす神経の麻痺、眼球が異常に飛び出してくる病気などが原因で起こります。もし、長い間この状態が続くと、目が乾燥してしまい、角膜に炎症が起こることがあります。

兎眼とは

兎眼とは

– 兎眼とは兎眼とは、まぶたが完全に閉じることができず、眼球が常に露出した状態を指します。その名の通り、まるでウサギのように眼が開いたままの状態であることから、「兎眼」と呼ばれています。医学的には「眼裂開大症」と診断され、その原因は多岐にわたります。生まれつきまぶたの筋肉や神経に異常がある場合や、顔面神経麻痺などの後天的な神経障害によって発症することがあります。また、外傷や腫瘍、甲状腺眼症などの眼球突出を伴う病気によって引き起こされるケースも少なくありません。兎眼になると、眼球表面を保護する涙の分泌が不足し、眼球乾燥症を引き起こしやすくなります。その結果、目の乾き、痛み、異物感、視力低下などの症状が現れることがあります。また、眼球が常に露出しているため、傷や感染症のリスクも高まります。治療法は、原因や症状の程度によって異なります。軽度の場合は、人工涙液や眼軟膏で目の乾燥を防ぐ対処療法を行います。重症の場合は、まぶたの筋肉を矯正する手術や、眼球を保護するためのプレートを挿入する手術などが必要となることもあります。

項目 詳細
定義 まぶたが完全に閉じることができず、眼球が常に露出した状態
原因
  • 先天性:まぶたの筋肉や神経の異常
  • 後天性:顔面神経麻痺などの神経障害、外傷、腫瘍、甲状腺眼症
症状
  • 眼球乾燥症
  • 目の乾き、痛み、異物感
  • 視力低下
  • 傷や感染症のリスク増加
治療法
  • 軽度:人工涙液や眼軟膏による対処療法
  • 重症:まぶたの筋肉矯正手術、眼球保護プレート挿入手術

兎眼の原因

兎眼の原因

兎眼は、目が過度に大きく見開いたように見える状態を指し、様々な要因によって引き起こされます。大きく分けて、まぶたを動かす筋肉や神経の異常、まぶたへの物理的な影響、眼球の突出といった原因が考えられます。

顔面神経麻痺は、まぶたを動かす筋肉を支配する顔面神経が障害されることで起こり、兎眼の代表的な原因の一つです。顔面神経は表情筋をコントロールする役割を担っており、この神経に障害が生じると、まぶたを閉じるための筋肉がうまく機能しなくなり、目が閉じにくくなってしまいます。その結果、黒目が大きく露出した状態になり、兎眼として認識されるのです。

また、怪我や手術によってまぶたに傷跡(瘢痕)が残ると、その瘢痕がまぶたの皮膚を引っ張る力が働き、兎眼を引き起こすことがあります。まぶたの皮膚は非常に薄いため、瘢痕の影響を受けやすく、その結果、まぶたが正常な位置に戻りにくくなることがあります。

さらに、甲状腺眼症のように、眼球自体が何らかの原因で突出している場合にも、兎眼の症状が現れることがあります。眼球が前方へ押し出されることで、まぶたが眼球に追いつかず、結果的に目が大きく見開いたような状態になってしまうのです。

原因 詳細
顔面神経麻痺 まぶたを動かす顔面神経の障害により、まぶたを閉じる筋肉がうまく機能せず、目が閉じにくくなる。
怪我や手術による瘢痕 まぶたにできた瘢痕が皮膚を引っ張り、まぶたが正常な位置に戻りにくくなる。
眼球の突出(例:甲状腺眼症) 眼球が前方へ押し出され、まぶたが眼球に追いつかず、目が大きく見開いたようになる。

兎眼の症状

兎眼の症状

– 兎眼の症状兎眼とは、その名の通り、うさぎのように目が大きく見開いた状態を指します。これは、まぶたを完全に閉じることができないために起こる病気です。最も一般的な症状は、目が乾きやすいということです。通常、まぶたはまばたきをすることで涙を目の表面に広げ、目を潤しています。しかし、兎眼の場合、まぶたが完全に閉じないため、涙が十分にいきわたらず、目が乾燥しやすくなります。その結果、異物感や痛み、かゆみを感じやすくなります。また、常に目が開いているため、光をまぶしく感じたり、目が疲れやすくなったりすることもあります。さらに、重症化すると、角膜に傷がつきやすくなるため注意が必要です。角膜は、眼球の表面を覆う透明な膜で、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぐ役割を担っています。しかし、兎眼によって角膜が常に外気にさらされていると、乾燥によって傷つきやすくなります。その結果、角膜に炎症が起こる角膜炎や、さらに悪化して角膜に潰瘍ができる角膜潰瘍などを引き起こす可能性があります。これらの病気は、放置すると視力低下に繋がることもあるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。

症状 詳細
目が乾きやすい まぶたが完全に閉じないため、涙が目を潤すことができず乾燥しやすくなる
異物感、痛み、かゆみ 乾燥による刺激
光への感受性 常に目が開いているため、光をまぶしく感じる
眼精疲労 目が常に開いていることによる疲労
角膜の損傷 乾燥により角膜に傷がつきやすく、角膜炎や角膜潰瘍のリスクが高まる

兎眼の治療法

兎眼の治療法

– 兎眼の治療法兎眼とは、目がうまく閉じずに白目が過剰に露出してしまう状態を指します。その治療法は、原因や症状の程度によって異なってきます。軽度の兎眼の場合、まずは目の乾燥を防ぐことが重要になります。目の表面は常に涙で潤っていることで健康な状態が保たれますが、兎眼の場合、まぶたが目を十分に覆うことができないため、涙が蒸発しやすく、乾燥しやすくなってしまいます。そこで、人工涙液や眼軟膏を使用して、目の表面を潤滑にすることで、症状の緩和を図ります。また、就寝時には、保湿効果の高い眼軟膏を使用することも効果的です。一方、重度の兎眼や、保存的な治療で効果が見られない場合は、手術が検討されます。手術には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、まぶたの筋肉を調整する手術です。まぶたを持ち上げる筋肉の働きを強化したり、逆にまぶたを閉じる筋肉の働きを調整したりすることで、まぶたの開閉をスムーズにすることを目指します。もう一つは、まぶたに重りを入れる手術です。これは、金やプラチナでできた小さな重りをまぶたに埋め込むことで、まぶたに物理的な重さを加え、目を閉じやすくする手術です。どの治療法が適切かは、患者様の症状や生活スタイルなどを考慮して、医師が判断します。気になる症状がある場合は、自己判断せずに、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

兎眼の程度 治療法 詳細
軽度 保存的治療 – 人工涙液や眼軟膏で目の表面を潤滑にする
– 就寝時には保湿効果の高い眼軟膏を使用する
重度
保存的治療で効果がない場合
手術 – まぶたの筋肉を調整する手術(まぶたを持ち上げる筋肉の強化、まぶたを閉じる筋肉の調整)
– まぶたに重りを入れる手術(金やプラチナ製の重りを埋め込み、目を閉じやすくする)

兎眼の予防

兎眼の予防

– 兎眼の予防

兎眼は、まぶたが完全に閉じずに目が閉じにくくなる症状で、目の乾燥や炎症を引き起こすことがあります。原因によっては完全に防ぐことが難しい場合もありますが、日頃から目の乾燥を防ぐ対策をすることで、リスクを減らすことができます。

最も重要なのは、目の乾燥を防ぐことです。空気が乾燥する季節は、加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、部屋の湿度を適切に保ちましょう。また、長時間のパソコン作業やスマートフォン利用は、目の乾燥を招きやすいため、こまめに目を休ませるように心がけましょう。

さらに、意識してまばたきをすることも効果的です。集中している時などは、まばたきの回数が減ってしまうため、意識してまばたきをするようにしましょう。

コンタクトレンズを使用している場合は、特に注意が必要です。長時間コンタクトレンズを使用していると、目が乾燥しやすくなるため、使用時間を守ることが大切です。また、目の乾燥を感じたら、我慢せずにすぐにコンタクトレンズを外し、メガネに切り替えるようにしましょう。

顔面神経麻痺などの基礎疾患が原因で兎眼になっている場合は、その治療をきちんと行うことが重要です。自己判断で治療を中断せずに、医師の指示に従って治療を継続しましょう。

兎眼予防のポイント 具体的な対策
目の乾燥を防ぐ – 加湿器や濡れタオルで部屋の湿度を保つ
– パソコン作業やスマホ利用時にこまめに目を休ませる
– 意識してまばたきをする
– コンタクトレンズの使用時間を守る
– 目の乾燥を感じたら、コンタクトレンズを外してメガネにする
基礎疾患の治療 – 顔面神経麻痺などの治療を医師の指示に従って継続する

まとめ

まとめ

眼球を保護する役割を持つまぶたですが、様々な原因でまぶたが完全に閉じない状態、いわゆる「兎眼」になってしまうことがあります。
兎眼になると、目が常に外気にさらされるため、乾燥しやすくなるだけでなく、痛みやかゆみ、異物感といった不快な症状が現れることがあります。また、このような状態が続くと、角膜に傷がつきやすくなり、視力にも影響を及ぼす可能性があります。
兎眼の原因は、生まれつき顔面神経麻痺がある場合や、脳腫瘍や脳梗塞などの病気、外傷による神経麻痺などが考えられます。症状としては、目が乾く、しょぼしょぼする、光がまぶしい、目がゴロゴロするなどが挙げられます。
このような症状がある場合は、自己判断せずに、早めに眼科を受診するようにしましょう。
眼科では、人工涙液や保湿クリーム、軟膏などを用いた点眼治療や、まぶたの開きを改善する手術など、症状や原因に合わせた適切な治療が行われます。
兎眼は、放置すると視力低下や角膜の病気につながる可能性もあるため注意が必要です。日頃から目の乾燥を防ぎ、目の健康を保つように心がけましょう。

症状 原因 治療法
目が乾く、しょぼしょぼする、光がまぶしい、目がゴロゴロするなど
  • 生まれつきの顔面神経麻痺
  • 脳腫瘍や脳梗塞などの病気
  • 外傷による神経麻痺
  • 人工涙液や保湿クリーム、軟膏などを用いた点眼治療
  • まぶたの開きを改善する手術