もう片方の目にも炎症?: 交感性眼炎について

もう片方の目にも炎症?: 交感性眼炎について

眼のことを教えて

先生、『交感性眼炎』ってどういう意味ですか?片方の目に怪我をしたあと、もう片方の目に炎症が起こるんですよね?

眼の研究家

いい質問ですね。『交感性眼炎』は、片方の目に起きた炎症が、もう片方の目に影響を与える病気です。怪我で炎症が起きた場合だけでなく、手術の後遺症として起こる場合もあるんですよ。

眼のことを教えて

へえ、手術の後遺症でも起こるんですね。でも、どうして反対側の目に炎症が起きるんですか?

眼の研究家

実は、原因はまだはっきりとは解明されていません。ただ、怪我をした側の目を自分の免疫細胞が攻撃してしまい、その免疫細胞がもう片方の目にも影響を与えてしまうのではないか、という説が有力です。

交感性眼炎とは。

片方の目に怪我をして、ぶどう膜に炎症が起きた後、数か月から数年経ってから、もう片方の何ともなかった目にもぶどう膜の炎症が起きることがあります。このような状態を「交感性眼炎」と言います。

はじめに

はじめに

私たちの目は、外界のものを見るために非常に重要な役割を担っています。しかし、時には、その目を守るはずの体の仕組みが、誤って目を攻撃してしまうことがあります。これが、自己免疫疾患と呼ばれる病気です。

眼科領域には、このような自己免疫疾患が数多く存在し、その中でも、「交感性眼炎」は、片方の目に起きた炎症が、もう片方の健康な目にも影響を及ぼしてしまう、非常にやっかいな病気として知られています。

例えば、事故や怪我、あるいは手術などによって、片方の目に強い炎症が起きたとします。すると、本来であれば、炎症は損傷を受けた方の目に限定されるべきなのですが、交感性眼炎の場合、何らかの原因で、もう片方の健康な目にも炎症が飛び火してしまうのです。

なぜ、このようなことが起こってしまうのか、その詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、眼球内にある特定の成分が、免疫細胞によって誤って「異物」と認識されてしまい、それが引き金となって、もう片方の目にも免疫反応が起きてしまうのではないかと考えられています。

今回は、この「交感性眼炎」について、その原因や症状、治療法などを詳しく解説していくことで、この病気に対する理解を深めていきたいと思います。

項目 内容
疾患名 交感性眼炎
種類 自己免疫疾患
概要 片方の目の炎症が、もう片方の健康な目にも影響を及ぼす病気。
原因 眼球内にある特定の成分が、免疫細胞によって誤って「異物」と認識され、免疫反応がもう片方の目にも起きてしまうと考えられている。
メカニズム 完全には解明されていない。
その他 事故、怪我、手術による眼の炎症がきっかけとなることがある。

交感性眼炎とは

交感性眼炎とは

– 交感性眼炎とは交感性眼炎は、片方の目に怪我や手術、あるいは細菌感染などによってぶどう膜炎などの炎症が起こった後、もう片方の健康な目にも炎症が起きてしまう病気です。これは、最初に炎症が起きた方の目の細胞などが、本来は体を守るはずの免疫システムによって、誤って攻撃すべき「異物」と認識されてしまうことで起こると考えられています。通常、私たちの体は、自分の細胞や組織を攻撃しないように免疫システムがコントロールされています。しかし、何らかの原因で目の組織が傷ついたり炎症を起こしたりすると、その組織の成分が免疫システムに異質な物と誤認されてしまうことがあります。その結果、免疫システムは、誤って自分自身の目の組織を攻撃するようになり、炎症を引き起こします。そして、この誤った免疫反応は、血液の流れに乗ってもう片方の健康な目にも到達し、同様の炎症を引き起こすと考えられています。発症までの期間は、数週間から数か月、場合によっては数年後ということもあります。 また、一度発症すると、視力が低下したり、物が歪んで見えたり、視野が狭くなったりするなど、深刻な視力障害を引き起こす可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。もし、片方の目に炎症が起きたことがある場合は、もう片方の目に異常を感じなくても、早めに眼科を受診するようにしましょう。

項目 説明
疾患名 交感性眼炎
定義 片方の目の炎症が、免疫系の異常により、もう片方の健康な目にも炎症を引き起こす病気
原因 目の損傷や炎症により、免疫システムが自身の目の組織を誤って攻撃してしまうため
発症までの期間 数週間から数年後と様々
症状 視力低下、物が歪んで見える、視野狭窄など
治療の重要性 早期発見・早期治療が視力維持に極めて重要

症状と診断

症状と診断

– 症状と診断交感性眼炎は、片方の目に起きた炎症が、もう片方の健康な目にまで広がってしまう病気です。 症状としては、視力が低下したり、蚊が飛んでいるように見える飛蚊症、眼の痛み、光をまぶしく感じる羞明などがあげられます。これらの症状は、ぶどう膜炎と呼ばれる目の炎症でもよくみられるため、注意が必要です。交感性眼炎かどうかを診断するには、まず過去に眼の外傷や手術を受けたことがあるか、いつ頃から症状が現れたのかなどを詳しく調べます。 また、両目の炎症の程度や経過を注意深く観察します。 さらに、血液検査や眼内液検査を行い、他のぶどう膜炎との違いを見極めることもあります。 確定診断には、眼の中から組織をほんの少しだけ採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査が必要になることもあります。

項目 詳細
疾患名 交感性眼炎
定義 片方の目の炎症が、もう片方の健康な目に広がる病気
症状 – 視力低下
– 飛蚊症
– 眼の痛み
– 光に対する過敏性(羞明)
診断のポイント – 眼の外傷や手術の既往
– 症状出現の時期
– 両目の炎症の程度と経過
– 血液検査、眼内液検査
– 必要に応じて眼組織生検
注意点 ぶどう膜炎と症状が類似するため、鑑別が重要

治療について

治療について

– 治療について眼に起きた炎症が、もう片方の健康な眼にまで広がってしまう病気、「交感性眼炎」。この病気の治療では、炎症を抑え、視力が低下するのを防ぐことを目指します。一般的には、ステロイド薬や免疫を抑える薬など、薬を使った治療が中心となります。ステロイド薬は、炎症を抑える効果が高い薬です。飲み薬や点眼薬、あるいはまぶたの内側に塗り込む軟膏など、様々な形で使用されます。免疫を抑える薬は、炎症を引き起こす免疫の働きを抑え、症状の悪化を防ぎます。症状が重い場合は、より集中的な治療が必要となることもあります。例えば、ステロイド薬を点滴で血管に直接投与することで、より強い効果を期待できます。また、免疫グロブリン大量療法という、免疫のバランスを整える治療法が行われることもあります。交感性眼炎は、早期に発見し適切な治療を開始することが、視力を守る上で非常に重要です。少しでも気になる症状があれば、すぐに眼科を受診しましょう。自己判断で市販の目薬などを使用すると、症状が悪化したり、適切な治療の開始が遅れたりする可能性があります。専門医による診察と適切な治療を受けるようにしてください。

病気 治療目的 治療法 備考
交感性眼炎 炎症を抑え、視力低下を防ぐ – ステロイド薬
– 免疫抑制剤
– ステロイド薬の点滴
– 免疫グロブリン大量療法
– 早期発見・治療開始が重要
– 自己判断での市販薬使用は避ける

予防と早期発見の重要性

予防と早期発見の重要性

目の病気の中には、早期発見と適切な治療によって視力を守れるものがあります。その一つに、片方の目に起きた炎症が、もう片方の目にまで影響を及ぼす「交感性眼炎」という病気があります。過去に目の怪我や手術を受けたことがある人は、そうでない人に比べて、この病気を発症するリスクが高くなります。

なぜなら、目の怪我や手術がきっかけで、本来は体を守るはずの免疫 system が、誤って自分の体の組織を攻撃してしまうことがあるからです。

この病気は、初期の段階では、かすみ目や充血、まぶしさなど、 relatively ありふれた症状が出るため、重大な病気だと気づかずに放置してしまうケースも少なくありません。しかし、症状を自覚してから時間が経つにつれて、視力が低下したり、視野が狭くなったりするなど、深刻な症状が現れ始めます。 もし、過去に目の怪我や手術の経験があり、目の違和感を感じたら、すぐに眼科医の診察を受けることが非常に大切です。 早期に発見し、適切な治療を開始することで、視力低下のリスクを大幅に減らし、良好な視力を保てる可能性が高まります。

また、これから目の手術を受ける予定のある人は、手術前に、交感性眼炎のリスクや予防策について、担当医に相談するようにしましょう。

病気 原因 リスク要因 初期症状 重症化すると 早期発見・治療の重要性
交感性眼炎 免疫systemの異常
(自分の体の組織を攻撃)
過去の目の怪我や手術 かすみ目、充血、まぶしさなど 視力低下、視野狭窄 視力低下のリスクを減らし、良好な視力を保てる可能性が高まる