糖尿病と眼:失明のリスクを理解する
眼のことを教えて
先生、『糖尿病』って書いてあるんですけど、目と何か関係があるんですか?
眼の研究家
いい質問ですね。糖尿病は、血液中の糖が多い状態が続く病気ですが、実は目にも大きな影響を与えるんです。特に、目の奥にある網膜という部分が傷つきやすいんですよ。
眼のことを教えて
網膜が傷ついちゃうんですか? どうしてですか?
眼の研究家
糖尿病になると、網膜で栄養を運ぶ血管がもろくなって、血液が漏れやすくなったり、詰まってしまったりするんです。そうすると、網膜が傷ついてしまい、視力に影響が出てしまうんですよ。
糖尿病とは。
『糖尿病』は、体を動かさないことや、食べ過ぎ、飲み過ぎなどが原因で、血液中の糖分を調節するインシュリンという物質が慢性的に足りなくなる病気です。この病気になると、目の奥にある網膜という部分の細い血管でも血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、網膜で出血したり、網膜が剥がれたりしてしまい、目が見えなくなる可能性が高くなります。
糖尿病とは
– 糖尿病とは糖尿病は、血液中の糖の濃度、つまり血糖値が慢性的に高くなる病気です。食べ物は体内で消化・吸収され、最終的に糖に分解されます。この糖は大切なエネルギー源となり、血液によって全身に運ばれます。しかし、糖は単独では細胞の中に入ることができず、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの助けが必要です。インスリンは、細胞の扉を開き、糖を細胞内に取り込む役割を担っています。糖尿病はこのインスリンに問題が生じることで発症します。主な原因としては、膵臓がインスリンを十分に分泌できなくなる「1型糖尿病」と、インスリンは分泌されているものの、うまく働かなくなる「2型糖尿病」の二つが挙げられます。その他、妊娠中に発症する「妊娠糖尿病」や、特定の遺伝子や薬剤などが原因で起こる「その他の糖尿病」も存在します。高血糖の状態が続くと、血管に負担がかかり、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。代表的な合併症には、神経障害、網膜症、腎症などがあり、放置すると失明や人工透析が必要になるなど、生活の質を著しく低下させてしまう可能性があります。糖尿病は初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに病気が進行しているケースも少なくありません。そのため、定期的な健康診断や血糖値検査を受けるなど、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
項目 | 内容 |
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糖尿病の定義 | 血液中の糖濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気 |
糖の役割 | 体内で消化・吸収された食べ物が分解され、エネルギー源となる |
インスリンの役割 | 膵臓から分泌されるホルモン。細胞に糖を取り込む助けをする |
糖尿病の原因 | – 1型糖尿病:膵臓がインスリンを十分に分泌できない – 2型糖尿病:インスリンは分泌されるが、うまく働かない – 妊娠糖尿病:妊娠中に発症 – その他の糖尿病:特定の遺伝子や薬剤などが原因 |
合併症 | 高血糖状態が続くと血管に負担がかかり、神経障害、網膜症、腎症などを引き起こすリスクが高まる |
糖尿病の予防 | 初期症状は少ないため、定期的な健康診断や血糖値検査による早期発見・早期治療が重要 |
糖尿病が目に与える影響
糖尿病は、体のあちこちの血管に悪い影響を与えますが、特に、ものを見るために大切な役割を持つ、目の奥にある網膜という部分への影響が大きい病気です。
網膜には、細い血管が網の目のように張り巡らされています。この血管の中で血液の流れが悪くなると、眼底出血や網膜剥離といった病気を引き起こし、物がぼやけて見えたり、見えなくなったりする可能性があります。
糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で起こる目の病気です。糖尿病の三大合併症の一つとして知られており、放置すると失明する危険性も高く、失明原因の上位に位置する病気です。
糖尿病を患っている方は、自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診し、網膜の状態を検査することが大切です。早期発見・早期治療によって、視力低下や失明のリスクを抑えることができます。
糖尿病が目に与える影響 | 詳細 |
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網膜への影響 |
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糖尿病網膜症 |
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予防と対策 |
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糖尿病網膜症の症状
糖尿病網膜症は、初期の段階では自覚症状が現れにくいため、放置してしまいがちな病気です。糖尿病と診断された方は、たとえ眼に異常を感じていなくても、定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けることが大切です。
糖尿病網膜症が進行すると、網膜にある血管がもろくなり、出血したり、血管が詰まったりします。その結果、物がかすんで見えたり、視界に黒い点や糸くずのようなものが見えることがあります。また、物がゆがんで見えたり、視界の中心が暗くなることもあります。
さらに症状が進むと、網膜に新生血管と呼ばれる異常な血管が作られます。この新生血管はもろく破れやすいため、出血しやすく、硝子体という眼球内のゼリー状の組織にまで出血が広がると、視力が著しく低下することがあります。
糖尿病網膜症は、放置すると失明に至ることもある病気です。早期発見・早期治療が大切ですので、少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診しましょう。
糖尿病網膜症のステージ | 症状 |
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初期 | 自覚症状が現れにくい |
進行期 | – 物がかすんで見える – 視界に黒い点や糸くずのようなものが見える – 物がゆがんで見える – 視界の中心が暗くなる |
さらに進行した状態 | – 網膜に新生血管ができる – 出血しやすく、硝子体出血を起こすと視力が著しく低下する |
糖尿病網膜症の治療法
糖尿病網膜症の治療は、病気の進行度合いや症状に合わせて行われます。初期の段階では、自覚症状が現れない場合も多いですが、眼底検査で網膜の血管に異常が見られることがあります。この時期は、血糖値や血圧を適切に管理し、バランスの取れた食事や適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることで、病気の進行を遅らせたり、予防したりすることができます。
病状が進行すると、網膜の血管が詰まったり、もろくなって出血したりすることがあります。このような場合は、レーザー治療が行われることがあります。レーザー治療は、異常な血管をレーザーで焼き固めることで、出血を抑えたり、網膜剥離という失明につながる合併症を防いだりする効果があります。
さらに進行し、硝子体出血や網膜剥離が起こった場合は、手術が必要となることがあります。硝子体出血は、眼球内にある硝子体というゼリー状の組織に血液が流れ出すことで視力低下を引き起こすもので、手術によって出血を除去します。また、網膜剥離は、網膜が本来の位置からはがれてしまう病気で、放置すると失明に至る可能性があります。手術は、剥がれた網膜を元の位置に戻し、再びくっつけることで視機能の維持を図ります。
糖尿病網膜症は、早期発見・早期治療が重要です。糖尿病と診断された方は、定期的に眼科を受診し、医師の指示に従って適切な治療を受けるようにしましょう。
糖尿病網膜症のステージ | 症状・状態 | 治療法 | 効果・目的 |
---|---|---|---|
初期 | 自覚症状は少ない 眼底検査で網膜の血管に異常 |
血糖値コントロール 血圧コントロール 食事療法 運動療法 |
病気の進行を遅らせる 病気の予防 |
中期 | 網膜の血管が詰まる 網膜の血管がもろくなり出血する |
レーザー治療 | 出血を抑える 網膜剥離の予防 |
後期 | 硝子体出血 網膜剥離 |
手術 硝子体手術 網膜復位術 |
出血の除去 視力低下の改善 剥がれた網膜を元の位置に戻し、再びくっつける 視機能の維持 |
糖尿病から目を守るために
糖尿病は、全身の血管に影響を及ぼす病気であり、目にとっても例外ではありません。高血糖状態が続くと、目の網膜にある細い血管が傷つき、様々な眼疾患を引き起こすリスクが高まります。 糖尿病から目を守るためには、まず第一に血糖値を適切にコントロールすることが重要です。 バランスの取れた食事を心がけ、医師の指示に従って適切な薬物療法を受けることで、血糖値の上昇を抑え、合併症のリスクを低減できます。
また、 血糖値だけでなく、血圧やコレステロール値を適切に管理することも重要です。これらの数値が高い状態が続くと、血管への負担が増し、糖尿病網膜症などの眼疾患を進行させる可能性があります。 適度な運動を習慣化し、塩分を控えた食生活を心がけることで、血圧やコレステロール値を改善することができます。 さらに、禁煙も血管の健康を保つ上で非常に大切です。
糖尿病と診断された方は、たとえ自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。眼底検査では、瞳孔を開いて網膜の状態を詳しく調べることで、糖尿病網膜症の早期発見につなげることができます。 糖尿病網膜症は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気ですが、早期発見、早期治療を行うことで、視力低下や失明のリスクを大幅に減らすことができます。 糖尿病と診断されたら、目の健康にも気を配り、定期的な検査と適切な治療を心がけましょう。
糖尿病の眼への影響 | 予防と対策 |
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高血糖が続くと、網膜の血管が傷つき、様々な眼疾患リスクが高まる。 | – 血糖値コントロールを最優先する – バランスの取れた食事 – 医師の指示に従った薬物療法 |
高血糖に加え、高血圧や高コレステロールも血管に負担をかけ、糖尿病網膜症などを進行させる。 | – 血糖値、血圧、コレステロール値を適切に管理する – 適度な運動 – 塩分控えめの食事 – 禁煙 |
糖尿病網膜症は初期は自覚症状が出にくいが、早期発見・治療で視力低下や失明リスクを減らせる。 | – 定期的な眼科受診 – 眼底検査による早期発見 |