眼に潜む危険! トキソプラズマ症
眼のことを教えて
先生、『トキソプラズマ症』って、目に炎症を起こして視力が低下するって書いてあるんですけど、なんで視力が低下するんですか?
眼の研究家
良い質問ですね。トキソプラズマ症では、眼底の中心にある『黄斑』と呼ばれる部分が炎症を起こしやすいんです。黄斑は、ものを見るためにとても大切な部分なんですよ。
眼のことを教えて
黄斑が炎症を起こすと、どうなるんですか?
眼の研究家
黄斑は、ものの細かい部分を見たり、色を識別したりするのに重要な役割を果たしています。ここが炎症を起こすと、視界の中心がぼやけたり、物が歪んで見えたり、色が分かりにくくなったりするんですね。そして、炎症が治まった後も、視力に影響が残ってしまうことがあるんです。
トキソプラズマ症とは。
「トキソプラズマ症」という目の病気は、動物の中にいるトキソプラズマ原虫というものが原因で起こります。目の奥にある眼底の中心部分が炎症を起こし、その部分が硬くなってしまうため、視力が悪くなってしまいます。
身近に潜む寄生虫
– 身近に潜む寄生虫私たちは、目には見えない微生物に囲まれて生活しています。その中には、私たち人間に感染し、様々な病気を引き起こす寄生虫も存在します。今回は、その中でも身近に潜み、私たちに感染する可能性のある寄生虫について解説します。トキソプラズマ症は、「トキソプラズマ原虫」という寄生虫によって引き起こされる感染症です。この寄生虫は、最終的に猫の体内で成虫となり、卵を産みます。そして、その卵は猫の糞便と一緒に体外へ排出されます。驚くべきことに、このトキソプラズマ原虫は世界中に分布しており、非常にありふれた寄生虫なのです。私たちは、日常生活の中で、知らず知らずのうちにこの寄生虫に感染している可能性があります。例えば、公園の砂場やガーデニングなどで土に触れた後、手をよく洗わずに食事をする、豚肉や羊肉を生焼けで食べてしまう、といった行動が感染のリスクを高めます。また、感染した猫の糞便に触れることで、直接寄生虫が体内に入ってしまうこともあります。特に注意が必要なのは、妊娠中の女性です。妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎盤を通じて胎児に感染し、流産や死産、あるいは水頭症などの先天性障害を引き起こす可能性があります。しかし、過度に心配する必要はありません。日頃から手洗いや食品の加熱をしっかり行うことで、感染のリスクを大きく減らすことができます。また、猫を飼育している場合は、トイレの掃除をこまめに行い、屋外へ出さないようにするなどの対策も有効です。寄生虫は目に見えないだけに、意識することが難しいものです。しかし、正しい知識を身につけることで、私たちは自分自身を守ることができるのです。
寄生虫 | 感染経路 | 症状 | 予防策 |
---|---|---|---|
トキソプラズマ原虫 | – 猫の糞便との接触 – 土壌との接触(公園の砂場、ガーデニングなど) – 生焼けの豚肉や羊肉の摂取 |
– 健康な成人:無症状の場合が多い – 妊婦:胎児に感染し、流産、死産、先天性障害(水頭症など)を引き起こす可能性あり |
– 手洗いの徹底 – 食品の十分な加熱 – 猫のトイレ掃除の徹底 – 猫の屋外飼育の制限 |
目の奥で起こる炎症
目の奥で起こる炎症は、多くは軽い症状で、風邪を引いたときのように感じる程度で治まることも少なくありません。しかし、場合によっては目に重大な影響を及ぼすこともあります。
目の奥で起こる炎症の一つに、眼トキソプラズマ症というものがあります。これは、トキソプラズマ原虫という寄生虫が原因で起こる病気です。この寄生虫は、眼球の中にある網膜という部分に炎症を引き起こします。
網膜は、カメラで例えるとフィルムの役割を果たす場所で、光を感知して脳に映像として伝えるために非常に重要な役割を担っています。この網膜に炎症が起こると、視界がぼやけたり、物が歪んで見えたりするなどの症状が現れます。また、場合によっては視力が低下したり、物が二重に見えたりすることもあります。さらに、炎症がひどい場合には、失明に至る可能性もあるため、注意が必要です。
炎症の種類 | 原因 | 症状 | リスク |
---|---|---|---|
眼トキソプラズマ症 | トキソプラズマ原虫 | 視界のぼやけ、物の歪み、視力低下、物が二重に見える | 失明の可能性 |
視力低下の原因となることも
眼球の中に寄生虫が入り込むことで発症する眼トキソプラズマ症。この病気の怖いところは、炎症が治まった後も、網膜に傷跡が残ってしまう可能性があることです。網膜は、カメラでいうとフィルムの役割を果たす、視覚にとって重要な部位です。
この傷跡は「瘢痕(はんこん)」と呼ばれ、視力低下の原因となります。瘢痕は、例えるなら、やけどのあとが皮膚に残るように、網膜に白い影を落とします。
そのため、視界の一部が欠けて見えたり、視力が低下したりすることがあります。特に、黄斑部と呼ばれる、網膜の中心部で炎症が起こると、視力に大きな影響が出ることがあります。
黄斑部は、ものの形や色を識別する、視力にとって最も重要な部分です。
黄斑部に瘢痕ができると、視力が低下するだけでなく、物がゆがんで見えたり、色が薄く見えたりするなどの症状が現れることもあります。
眼トキソプラズマ症は、自覚症状がないまま進行することもあるため、早期発見・早期治療が大切です。
症状 | 詳細 |
---|---|
網膜瘢痕 | 炎症後、網膜に白い影が残る 視界欠損や視力低下の原因となる |
黄斑部病変 | 視力低下、変視、色覚異常などを引き起こす |
早期発見と適切な治療
– 早期発見と適切な治療眼トキソプラズマ症は、放っておくと視力に影響を及ぼす可能性もあるため、早期に発見し、適切な治療を行うことが非常に大切です。眼トキソプラズマ症の治療には、病原体であるトキソプラズマを退治するために、医師の指示のもと、抗菌薬が用いられます。目の炎症を抑えるために、点眼薬が処方されることもあります。症状としては、視界がぼやけたり、物がゆがんで見えたりする、飛蚊症のような小さな点が見える、光をまぶしく感じる、などが挙げられます。これらの症状が出ている場合はもちろんのこと、心当たりがある場合は、すぐに眼科を受診し、検査を受けるようにしましょう。特に、妊娠中の女性は、胎児に感染するリスクがあるため、注意が必要です。また、免疫力が低下している方も、重症化する可能性があるため、注意が必要です。日頃から、猫の糞を触った後は石鹸でよく手を洗い、肉は中心部まで十分に加熱するなど、予防を心がけることが重要です。
症状 | 原因 | 治療法 | 予防策 |
---|---|---|---|
視界のぼやけ、物がゆがんで見える、飛蚊症、光過敏など | トキソプラズマ原虫の感染 | 抗菌薬、点眼薬 | 猫の糞を触った後は石鹸で手を洗い、肉は中心部まで十分に加熱する |