涙道狭窄:涙があふれる病気
眼のことを教えて
先生、「涙道狭窄」ってどういう意味ですか?
眼の研究家
「涙道狭窄」は、涙の通り道が狭くなっている状態のことだよ。
眼のことを教えて
涙の通り道が狭いと、どうなるんですか?
眼の研究家
涙がうまく流れずに目に溜まってしまうので、涙目になりやすいんだよ。例えば、鼻水が詰まりやすい時に、鼻の奥の方が狭くなっているのと似ているね。
涙道狭窄とは。
「涙道狭窄」っていうのは、目が涙を出すための道のどこかが狭くなっている状態のことです。涙の通り道が狭くなることで、涙がうまく流れなくなり、涙が目に溜まってしまう症状が出ます。
涙道狭窄とは
– 涙道狭窄とは涙は、目の表面を潤したり、ゴミや細菌を洗い流したりする大切な役割を担っています。この涙は、通常、目頭にある涙点という小さな穴から涙道を通って鼻へと流れていきます。しかし、何らかの原因でこの涙の通り道である涙道が狭くなってしまうことがあります。これが涙道狭窄です。涙道狭窄が起こると、涙がスムーズに鼻へ流れなくなり、目に溜まってしまうため、さまざまな症状が現れます。代表的な症状としては、涙目や目やになどが挙げられます。涙が溜まりやすいことから、細菌が繁殖しやすく、結膜炎などの目の炎症を引き起こす可能性も高くなります。また、重症化すると、涙嚢(るいのう)と呼ばれる涙を貯めておく袋に炎症が起こり、涙嚢炎を引き起こすこともあります。涙嚢炎になると、目頭が腫れたり、痛みが出たり、場合によっては膿が溜まることもあります。涙道狭窄の原因はさまざまですが、生まれつき涙道が狭い先天性のものと、後天的に狭窄が起こる後天性のものがあります。先天性の涙道狭窄は、主に赤ちゃんに見られ、多くは成長とともに自然に治っていきます。一方、後天性の涙道狭窄は、加齢による変化や、炎症、外傷、腫瘍などが原因で起こることがあります。涙道狭窄の治療法は、症状や原因、年齢などによって異なります。軽症の場合は、点眼薬やマッサージなどで様子を見ることもありますが、狭窄がひどい場合や、症状が改善しない場合は、手術が必要となることもあります。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 涙の通り道である涙道が狭くなること |
症状 | 涙目、目やに、結膜炎、涙嚢炎(目頭の腫れ、痛み、膿) |
原因 | 先天性:生まれつき涙道が狭い 後天性:加齢、炎症、外傷、腫瘍など |
治療法 | 点眼薬、マッサージ、手術 |
涙の役割と涙道
私たちの目は、常に外界の情報を取り入れるために働いています。その大切な役割を担う目を守るために、涙は欠かせない存在です。 涙は、目の表面を潤すだけでなく、常に清潔に保つための重要な役割も担っています。
涙は、まぶたの上の外側にある涙腺という器官で作られます。涙腺で作られた涙は、まばたきをするたびに目の表面に行き渡り、目に付着した細菌やゴミなどを洗い流します。また、涙には角膜に必要な酸素や栄養分も含まれており、目の健康を保つために重要な役割を担っています。
目の表面を潤した涙は、その後、目頭にある涙点と呼ばれる小さな穴に集まります。涙点は、上下のまぶたの目頭部分にそれぞれあり、まるで排水口のように涙を吸い込む役割を果たします。涙点は、涙嚢、鼻涙管という細い管につながっており、涙はこれらの管を通って鼻へと排出されます。 涙腺でつくられ、目の表面を潤した涙が、涙点、涙嚢、鼻涙管を通って鼻に排出されるまでの道筋を「涙道」と呼びます。涙道は、涙をスムーズに鼻へ排出するために重要な役割を担っています。
涙の機能 | 涙の経路 |
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涙道狭窄の原因
涙の通り道である涙道が狭くなってしまう涙道狭窄。これは、生まれつきのものと、後天的なものに分かれます。
生まれたばかりの赤ちゃんに多く見られるのは、先天性涙道狭窄です。これは、本来であれば生まれる前に開通するはずの涙道の入り口付近に、薄い膜が残ってしまうことが原因で起こります。多くの場合、生後1歳くらいまでに自然に膜が破れて涙道が開通しますが、開通しない場合は治療が必要になることもあります。
一方、後天性涙道狭窄は、様々な要因によって引き起こされます。加齢に伴って涙道が変化することで起こるケースや、炎症によって涙道が狭くなるケース、腫瘍が原因で涙道が圧迫されるケースなどが挙げられます。また、鼻の骨折などの外傷や、過去に受けた顔面の手術が原因で発症することもあります。
このように、涙道狭窄の原因は多岐にわたります。涙道狭窄が疑われる場合は、自己判断せずに眼科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
分類 | 原因 | 詳細 |
---|---|---|
先天性涙道狭窄 | 涙道の入り口付近に薄い膜が残る | 多くの場合、1歳までに自然に開通するが、治療が必要な場合もある |
後天性涙道狭窄 | 加齢による涙道の変化 | – |
炎症 | – | |
腫瘍による圧迫 | – | |
外傷(例:鼻の骨折) | – | |
過去の顔面手術の影響 | – |
涙道狭窄の症状
– 涙道狭窄の症状涙道狭窄になると、本来鼻へと流れるはずの涙が、目からこぼれ落ちてしまう流涙という症状が現れます。これは、涙の通り道である涙道が狭くなることで、涙がうまく排出されずに目に溜まってしまうことが原因です。涙が過剰に溜まることで、目に違和感や不快感を覚えるだけでなく、視界がぼやけてしまうこともあります。また、涙は本来、目を細菌から守る役割も担っていますが、涙道狭窄によって涙が溜まりやすくなると、細菌が繁殖しやすくなり、結膜炎などの目の炎症を起こしやすくなります。さらに、涙道狭窄を放置すると、涙嚢に膿が溜まる涙嚢炎を引き起こす可能性があります。涙嚢炎になると、目の周りの痛みや腫れ、発赤といった症状が現れ、場合によっては発熱することもあります。涙嚢炎は自然に治癒することは難しく、適切な治療が必要となります。
症状 | 説明 |
---|---|
流涙 | 涙が鼻に流れず、目からこぼれ落ちる |
違和感や不快感 | 涙が過剰に溜まることによる |
視界不良 | 涙が過剰に溜まることによる |
結膜炎などの目の炎症 | 涙が溜まりやすくなることで、細菌が繁殖しやすくなるため |
涙嚢炎 | 涙嚢に膿が溜まる。目の周りの痛み、腫れ、発赤、発熱を伴う場合もある。自然治癒は難しく、適切な治療が必要 |
涙道狭窄の治療法
涙の道が狭くなってしまう涙道狭窄。この病気は、涙の通り道である涙道が狭くなることで、涙がうまく排出されずに目に溜まってしまう病気です。主な症状としては、涙目や目やに、視界がぼやけるなどがあります。
涙道狭窄の治療法は、その状態や原因によって様々です。比較的症状が軽い場合は、涙点プラグと呼ばれる小さな栓を涙点に挿入します。涙点プラグはシリコンなどの柔らかい素材で作られており、涙の出口である涙点を塞ぐことで、涙の排出を抑え、涙目を改善します。
一方、涙道が完全に閉塞してしまっている場合は、手術が必要になります。手術には主に二つの方法があります。一つは、涙道内視鏡を用いた手術です。鼻の穴から内視鏡と呼ばれる細い管を入れ、涙道を観察しながら、レーザーなどで涙道を広げます。もう一つは、涙嚢鼻腔吻合術と呼ばれる手術です。これは、皮膚を切開して、涙嚢と鼻腔を繋ぐ新しいバイパスを作る手術です。
どちらの手術が適しているかは、患者さんの状態によって異なりますので、医師とよく相談することが大切です。
症状 | 治療法 | 説明 |
---|---|---|
涙目、目やに、視界不良 | 涙点プラグ挿入 | シリコン製の栓で涙点を塞ぎ、涙の排出を抑える。 |
涙道閉塞 | 涙道内視鏡手術 | 鼻から内視鏡を挿入し、レーザーで涙道を広げる。 |
涙道閉塞 | 涙嚢鼻腔吻合術 | 涙嚢と鼻腔を繋ぐバイパスを作る手術。 |