角膜上皮迷入:術後の経過で注意したいこと

角膜上皮迷入:術後の経過で注意したいこと

眼のことを教えて

先生、『角膜上皮迷入』ってどういう意味ですか?難しそうな言葉で…

眼の研究家

そうだね。『角膜上皮迷入』は、目の表面にある角膜の上皮細胞が、手術などでできた傷口に入り込んでしまうことなんだよ。

眼のことを教えて

傷口に入り込む?なんだか痛そうですね…

眼の研究家

ほとんどの場合は自然に治るんだけど、痛みが続く場合は治療が必要になることもあるんだ。高齢の方や、手術後によく見られるよ。

角膜上皮迷入とは。

目の表面にある透明な膜(角膜)の上皮細胞が、手術などで作られた薄い膜状の部分(フラップ)の下に入り込んでしまうことを「角膜上皮迷入」といいます。これは、再手術後や高齢の方に多くみられます。多くの場合は自然に治りますが、まれに進展して治療が必要になることもあります。

角膜上皮迷入とは

角膜上皮迷入とは

– 角膜上皮迷入とは私たちの目は、カメラで例えるとレンズの役割をする角膜を通して光を取り込み、ものを見ています。 角膜の表面は、角膜上皮細胞と呼ばれる細胞で覆われており、この上皮細胞が角膜を外部の刺激から守ったり、傷ついた角膜を修復したりする役割を担っています。通常、この角膜上皮細胞は角膜の表面に留まっていますが、何らかの原因で角膜の奥深くに入り込んでしまうことがあります。これが「角膜上皮迷入」と呼ばれる状態です。角膜上皮迷入は、手術や外傷によって角膜に傷口やフラップ(蓋状になった組織片)が生じた際に、その下に入り込んでしまうことで起こります。 例えば、近視治療などで広く行われているレーシック手術では、角膜にフラップを作成しますが、このフラップの下に角膜上皮細胞が入り込むことがあります。また、角膜に傷がついた場合にも、傷口から角膜上皮細胞が入り込んでしまうことがあります。角膜上皮迷入は、視力低下や炎症、痛みなどを引き起こす可能性があります。 また、角膜上皮迷入が進行すると、角膜の透明度が低下し、視界がぼやけてしまうこともあります。さらに、重症化すると角膜が変形したり、角膜内皮細胞という角膜の奥にある細胞に影響が及んでしまうこともあります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。

項目 内容
定義 角膜上皮細胞が角膜の奥深くに入り込んでしまう状態
原因 手術や外傷による角膜の傷口やフラップへの角膜上皮細胞の迷入
レーシック手術後のフラップ下への迷入、角膜の傷口からの迷入
症状 視力低下、炎症、痛み、視界のぼやけ、角膜の変形、角膜内皮細胞への影響
重要性 早期発見・早期治療が必要

原因と症状

原因と症状

角膜上皮迷入は、レーシックや角膜移植といった、角膜にメスを入れる手術の後遺症として発症することがあります。特に、過去に角膜手術を受けたことがある人が再度手術を受ける場合や、高齢の方、糖尿病などの持病をお持ちの方の場合、発症のリスクが高まる傾向にあります。

症状としては、初期段階では目にゴミが入ったような感覚や、軽い痛み、視界がぼやけるなどがあります。多くは初期症状は軽度である一方、症状が進行すると、物が歪んで見えたり、物が二重に見えたりするなど、視覚に影響が及ぶようになります。さらに症状が進むと、角膜の内側にある内皮細胞にまで影響が及び、角膜が濁ってしまうこともあります。

角膜は、カメラに例えるとレンズの役割を果たす、眼球の前面を覆う透明な膜です。角膜上皮迷入は、この角膜の一番外側にある上皮細胞が、手術によってできた傷口から角膜の内側に入り込んでしまうことで起こります。迷入した上皮細胞が増殖することで、角膜の形状が変わってしまい、視力に影響を及ぼすと考えられています。

項目 詳細
疾患名 角膜上皮迷入
定義 角膜上皮細胞が手術創から角膜内側に入り込み、増殖することで視力に影響を与える疾患
原因 レーシック、角膜移植など角膜にメスを入れる手術
リスク因子 ・角膜手術経験者
・高齢者
・糖尿病などの持病保有者
症状 ・初期:異物感、軽度な痛み、視界不良
・進行時:視覚異常(歪み、複視)
・重症化:角膜内皮細胞への影響、角膜混濁
角膜の役割 眼球前面を覆う透明な膜(カメラでいうレンズ)

診断と治療

診断と治療

– 診断と治療角膜上皮迷入とは、本来は眼の表面を覆っている角膜上皮細胞が、眼の内部に入り込んでしまう病気です。この病気の診断には、スリットランプ顕微鏡検査と呼ばれる特殊な検査が行われます。この検査では、細い光を眼球に当て、拡大して観察できる顕微鏡を用いることで、角膜の状態を詳しく調べることができます。スリットランプ顕微鏡検査によって、迷入した角膜上皮細胞の位置や範囲、深さなどを正確に把握することができます。これらの情報に基づいて、医師は病気の進行度合いを判断し、適切な治療方針を決定します。多くの場合、角膜上皮迷入は自然に治癒することが期待できます。そのため、初期の段階では、経過観察を行いながら、自然治癒を促すことが一般的です。しかし、症状が進行する場合や、視力への影響が懸念される場合には、積極的な治療が必要となります。治療法としては、主に点眼薬による治療が行われます。点眼薬には、炎症を抑える効果や、角膜の再生を促す効果があります。これらの薬剤を使用することで、症状の改善や、視力低下の予防が期待できます。点眼薬による治療で効果が得られない場合や、迷入した角膜上皮細胞が深くまで及んでいる場合には、手術による治療が検討されます。手術では、迷入した角膜上皮細胞を丁寧に除去します。手術は、病気の再発を防ぎ、視力を回復するために有効な手段となります。

項目 詳細
病気 角膜上皮迷入 (角膜上皮細胞が眼内部に入り込む病気)
診断 スリットランプ顕微鏡検査 (細い光を眼球に当て、拡大して観察)
診断による情報 迷入細胞の位置、範囲、深さ、進行度合い
治療方針 1. 経過観察 (初期段階、自然治癒を促す)
2. 点眼薬 (炎症を抑え、角膜の再生を促す)
3. 手術 (点眼薬が効かない、迷入が深い場合、細胞を除去)

予防と早期発見

予防と早期発見

目の手術後、ごくまれに、目の中に本来あるべきではない組織が入り込んでしまうことがあります。これを角膜上皮迷入と呼びます。これは、手術中に目の一部である角膜の上皮細胞が、傷ついた部分に入り込んでしまうことで起こります。
角膜上皮迷入は完全に防ぐことは難しいのですが、そのリスクを減らすために私たちにできることがあります。まず、手術を受ける病院を選ぶ際には、手術の経験が豊富で信頼できる医師がいる病院を選びましょう。また、手術後も医師の指示に従って、定期的に検査を受けることが大切です。
手術後、医師の指示は必ず守りましょう。目をこすったり、汚れた手で触ったりすると、目に負担がかかり、角膜上皮迷入のリスクが高まる可能性があります。
早期発見、早期治療が何よりも大切なので、少しでも違和感を感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。定期的な眼科検診も、早期発見に役立ちます。

症状 原因 予防策 治療
手術中に角膜の上皮細胞が傷ついた部分に入り込む
  • 経験豊富な医師がいる病院を選ぶ
  • 医師の指示に従い、定期的に検査を受ける
  • 目をこすったり、汚れた手で触ったりしない
早期発見、早期治療