調節性内斜視:遠視が原因で起こる目の病気

調節性内斜視:遠視が原因で起こる目の病気

眼のことを教えて

先生、「調節性内斜視」ってどういうものですか?遠視と関係があるって聞いたんですけど…

眼の研究家

いい質問だね!「調節性内斜視」は、遠くを見るときに目を調節する力が強すぎて、両目が内側によってしまう状態のことだよ。遠視の子は、遠くを見るときは特に、はっきり見るために目を酷使してしまうんだ。

眼のことを教えて

なるほど!遠くを見るときに、無理して見ようとしてしまうんですね。それで目が内側によってしまうんですか…

眼の研究家

その通り!だから、調節性内斜視は遠視の合併症としてよく見られるんだ。適切なメガネやコンタクトレンズで矯正することで、目の負担を減らしてあげることが重要なんだよ。

調節性内斜視とは。

ものをはっきりと見ようとする力が強いと、同時に、両方の目を内側に向く力が働いてしまい、両目の位置関係が内側寄りになってしまうことがあります。その結果として、内斜視の状態になることがあります。これは、遠視の合併症の一つです。

調節性内斜視とは

調節性内斜視とは

– 調節性内斜視とは調節性内斜視は、主に幼児期に発症する内斜視の一種です。内斜視は、両目の視線がまっすぐに向かわず、片方の目が内側によってしまう状態を指します。
調節性内斜視の場合、この目のずれは、近くのものを見るときに特に目立ちます。

私たちの目は、近くのものを見るとき、無意識に「調節」という働きを行っています。
これは、レンズの厚さを変えることで、網膜にきちんとピントを合わせるための機能です。

調節性内斜視の患者さんの場合、この調節機能が過剰に働いてしまうことが原因で起こります。
近くのものを見るとき、目はピントを合わせるために強く調節しようとします。
このとき、目の中には同時に「輻輳(ふくそう)」という働きも起こります。
輻輳とは、両方の目の視線を内側に寄せることで、ものを立体的に捉えようとする機能です。

調節性内斜視では、調節と輻輳が過剰に連動してしまい、目が内側に寄りすぎてしまうのです。
そのため、近くのものを見ると、眼位が内側にずれてしまいます。

項目 説明
定義 幼児期に発症する内斜視の一種で、近くのものを見るときに目が内側による
原因 調節機能が過剰に働き、輻輳(ふくそう)と過剰に連動してしまうため
調節 レンズの厚さを変えることで、網膜にピントを合わせる機能
輻輳(ふくそう) 両目の視線を内側に寄せることで、ものを立体的に捉える機能

遠視との関係

遠視との関係

– 遠視との関係調節性内斜視と遠視には深い関わりがあります。遠視とは、遠くの景色は鮮明に見える一方で、近くのものがぼやけてしまう状態を指します。遠くのものに焦点を合わせることは容易にできる一方、近くのものをはっきり見るためには、通常よりも目の筋肉に負担をかける必要があり、これが調節性内斜視の主な原因として考えられています。では、なぜ遠視が調節性内斜視を引き起こすのでしょうか。遠くを見るとき、私たちの目はリラックスした状態です。しかし、近くのものを見るとき、目はレンズの厚さを調節してピントを合わせようとします。これを調節と呼びますが、遠視の方は近くを見るために過剰な調節力を使わなければなりません。この過剰な調節は、同時に眼球を内側に動かす筋肉(内直筋)にも過剰な負担をかけることになります。この現象を輻輳と呼びますが、過剰な調節によって過剰な輻輳が生じ、眼球が内側に向きやすくなってしまうのです。その結果、眼球が内側に寄ってしまう内斜視の状態を引き起こすと考えられています。つまり、調節性内斜視は、遠視による過剰な調節と、それに伴う過剰な輻輳が原因で起こると考えられています。そのため、遠視の程度を矯正することで、調節性内斜視の症状を改善できる可能性があります。

要因 説明 結果
遠視 遠くのものに焦点を合わせることは容易だが、近くのものがぼやけてしまう。
近くを見るためには、通常よりも目の筋肉に負担をかける必要がある。
調節性内斜視の主な原因となる。
過剰な調節 遠視の方は近くを見るために、レンズの厚さを調節してピントを合わせようと過剰な力を使う。 眼球を内側に動かす筋肉(内直筋)にも過剰な負担をかける(過剰な輻輳)。
過剰な輻輳 過剰な調節によって、眼球を内側に動かす力が過剰になる。 眼球が内側に向きやすくなる(内斜視)。
遠視の矯正 遠視の程度を矯正する。 調節性内斜視の症状を改善できる可能性がある。

調節性内斜視の症状

調節性内斜視の症状

– 調節性内斜視の症状について調節性内斜視は、眼のピントを合わせる力が強すぎるために、眼が内側によってしまう病気です。この病気の主な症状は、片方の眼、あるいは両方の眼が内側に向いてしまうことです。この症状は、近くのものを見るとき、目が疲れているとき、または体調が優れないときにより顕著に現れます。また、物が二重に見えたり、頭痛やめまい、眼の疲れ、視界がぼやけるといった症状を伴うこともあります。特に小さなお子様の場合、頻繁に目を細めたり、頭を傾けたり、片方の目を頻繁に閉じたりする場合は、調節性内斜視の可能性があります。このような症状が見られる場合は、早めに眼科を受診し、専門医の診察を受けることをお勧めします。

症状 説明
斜視 片方の眼または両方の眼が内側に向く
複視 物が二重に見える
頭痛、めまい
眼の疲れ、視界がぼやける
頻繁な瞬き 特に小さなお子様にみられる
頭を傾ける 特に小さなお子様にみられる
片方の目を頻繁に閉じる 特に小さなお子様にみられる

治療法

治療法

– 治療法調節性内斜視の治療は、その原因や症状の程度によって異なってきます。そのため、まずは眼科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。多くの場合、治療の第一段階として、遠視の矯正が行われます。遠視とは、遠くのものが見えにくい状態のことです。調節性内斜視は、この遠視を補おうと目を内側に寄せることで起こることが多いため、眼鏡やコンタクトレンズを用いて遠視を矯正することで、過剰な目の内側への動きを抑え、症状を改善することができます。眼鏡やコンタクトレンズによる矯正で十分な効果が得られない場合や、斜視の程度が強い場合には、プリズム眼鏡の利用を検討することもあります。プリズム眼鏡は、レンズに特殊な加工を施すことで、光の屈折を調整し、眼に入る光の向きを変えることで、両眼で物体を一つに見ることを助けるものです。さらに、これらの治療法でも改善が見られない場合は、斜視手術が必要となることもあります。斜視手術は、眼球の位置を調整する筋肉に手術を行うことで、眼位(眼球の位置)を矯正するものです。いずれの治療法を選択する場合でも、早期発見・早期治療が非常に重要となります。調節性内斜視は、早期に治療を開始することで、良好な視機能の発達を促し、立体視の獲得にも良い影響を与える可能性があります。そのため、お子様の目の様子で気になることがあれば、早めに眼科を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。

治療法 説明 適用
遠視の矯正 眼鏡やコンタクトレンズを用いて遠視を矯正することで、過剰な目の内側への動きを抑え、症状を改善します。 多くの場合、治療の第一段階として行われます。
プリズム眼鏡 レンズに特殊な加工を施すことで、光の屈折を調整し、眼に入る光の向きを変えることで、両眼で物体を一つに見ることを助けるものです。 眼鏡やコンタクトレンズによる矯正で十分な効果が得られない場合や、斜視の程度が強い場合に検討されます。
斜視手術 眼球の位置を調整する筋肉に手術を行うことで、眼位(眼球の位置)を矯正するものです。 上記の治療法でも改善が見られない場合に必要となることがあります。

日常生活での注意点

日常生活での注意点

– 日常生活での注意点調節性内斜視と診断された場合、普段の生活の中でいくつか気を付けるべき点があります。まず、医師の指示に従って眼鏡やコンタクトレンズを正しく使うことが何よりも大切です。これは、目の疲れを軽減し、斜視の症状が進むのを防ぐために非常に重要です。また、パソコン作業や読書など、長時間近くを見続ける作業をする場合は、こまめに休憩を取り、目を休ませるようにしましょう。具体的な目安としては、30分に1回程度、遠くの景色を数分間眺めることが効果的です。さらに、普段から目を酷使しないように心がけることも大切です。例えば、暗い場所で読書をしたり、画面が明るい状態で長時間スマートフォンを操作したりすることは避けましょう。目を休ませるために、温かいタオルで目を温めたり、目の周りのマッサージをするのも効果的です。これらのことに加えて、栄養バランスの取れた食事を摂り、十分な睡眠をとるなど、健康的な生活習慣を維持することも重要です。規則正しい生活を送ることで、体の免疫力を高め、目の健康にも良い影響を与えます。調節性内斜視は、日常生活での注意と適切なケアによって、症状を改善できる可能性があります。医師の指示を守り、目を大切にすることを心がけましょう。

日常生活での注意点 具体的な例
医師の指示に従って眼鏡やコンタクトレンズを正しく使う 目の疲れを軽減し、斜視の症状が進むのを防ぐ
パソコン作業や読書など、長時間近くを見続ける作業をする場合は、こまめに休憩を取り、目を休ませる 30分に1回程度、遠くの景色を数分間眺める
普段から目を酷使しないように心がける 暗い場所で読書をしたり、画面が明るい状態で長時間スマートフォンを操作したりすることを避ける
目を休ませる 温かいタオルで目を温めたり、目の周りのマッサージをする
健康的な生活習慣を維持する 栄養バランスの取れた食事を摂り、十分な睡眠をとる