レーシック後のリスク、角膜拡張症とは?

レーシック後のリスク、角膜拡張症とは?

眼のことを教えて

先生、『角膜拡張症』ってレーシックの後遺症で起こるって聞いたんですけど、どういう病気なんですか?

眼の研究家

そうだね。『角膜拡張症』は、レーシックなどの手術後、まれに起こることがある病気の一つだ。 簡単に言うと、目の表面にある透明なレンズ(角膜)の一部が、徐々に薄くなって、前方に向かって飛び出してきてしまう病気なんだ。

眼のことを教えて

そうなんですね。飛び出してくると、どうなるんですか?

眼の研究家

角膜は、カメラのレンズと同じで、光を正しく目に通す役割があるんだけど、飛び出してくると、ものがゆがんで見えたり、視力が低下したりするんだ。ひどい場合は、角膜移植が必要になることもあるんだよ。

角膜拡張症とは。

「角膜拡張症」は、レーシック手術後に起こる目の病気の一つです。これは、角膜の中心より少し下の部分が前に飛び出てしまうことで、ものがゆがんで見えたり、視力が低下したりする病気です。初期の段階では、硬いコンタクトレンズで矯正することができますが、症状が進むと角膜移植が必要になることもあります。症状の進行を抑えたり、治療したりする方法として、角膜を特殊な光で照射して固める治療法や、角膜の中にリングを入れる治療法などがあります。

角膜拡張症の概要

角膜拡張症の概要

– 角膜拡張症の概要角膜拡張症は、眼球の表面を覆う透明な膜である角膜が、薄くなっていく病気です。健康な角膜は、球面の一部のような滑らかなカーブを描いていますが、角膜拡張症では、このカーブが徐々に変化し、円錐のように中央部分が突出していきます。角膜は、カメラのレンズのように、外からの光を集めて網膜に届ける役割を担っています。しかし、角膜の形が変わってしまうと、光を正しく屈折させることができなくなり、視界がゆがんだり、視力が低下したりするなどの症状が現れます。角膜拡張症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や、目をこする癖、アレルギー性結膜炎などが関与していると考えられています。また、近視矯正手術であるレーシック手術の後に発症するケースも報告されており、注意が必要です。レーシック手術では、角膜を削って薄くすることで光の屈折を調整しますが、角膜を削りすぎることで、角膜の強度が低下し、拡張症のリスクが高まると考えられています。角膜拡張症は、進行性の病気であり、放置すると視力障害が進行する可能性があります。早期発見・早期治療が重要であり、気になる症状がある場合は、早めに眼科専門医を受診しましょう。

項目 内容
疾患名 角膜拡張症
定義 眼球の表面を覆う透明な膜である角膜が薄くなる病気
症状 視界がゆがむ、視力低下
原因 遺伝的要因、目をこする癖、アレルギー性結膜炎など。近視矯正手術(レーシック)後の発症も報告されている。
経過 進行性であり、放置すると視力障害が進行する可能性がある
治療 早期発見・早期治療が重要

症状と進行

症状と進行

角膜拡張症は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、気づかないまま過ごしてしまうことも少なくありません。しかし、病状が進行するにつれて、視力にも影響が現れ始めます。

初期症状として最も多いのは、視界がぼやける、かすんで見えるといった視力低下です。 特に、ものが歪んで見える乱視の悪化は、角膜拡張症の典型的な症状と言えるでしょう。また、昼間は比較的はっきり見えるのに、夜間や暗い場所では視力が極端に低下する、いわゆる夜盲の症状が現れることもあります。

角膜拡張症は、一般的に非常にゆっくりとしたペースで進行していきます。そのため、初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づかずに放置してしまうケースも少なくありません。しかし、放置すると角膜の膨隆がさらに進行し、視力低下も深刻化してしまう可能性があります。

特に、レーシック手術を受けた人は、角膜が薄くなっているため、角膜拡張症のリスクが高まります。 レーシック手術後には、定期的に眼科を受診し、角膜の状態を検査することが非常に重要です。少しでも早く異常に気づくことができれば、適切な治療を始めることで、角膜拡張症の進行を遅らせ、視力低下を最小限に抑えることができるでしょう。

段階 症状
初期 視界がぼやける、かすんで見える、乱視の悪化、夜盲
進行期 角膜の膨隆、視力低下が深刻化

治療法

治療法

– 治療法角膜拡張症の治療は、病気の進行度合いによって異なってきます。初期の段階である軽度の場合、視力矯正のために、硬い素材で作られたコンタクトレンズを装用することが一般的です。このコンタクトレンズは、いびつな形になってしまった角膜の表面を、レンズの力で物理的に矯正することで、視界をクリアにする効果があります。しかし、角膜の突出が進んでしまった場合、コンタクトレンズによる矯正が困難になることがあります。中等度から重度の角膜拡張症では、角膜移植という手術が必要となるケースもあります。角膜移植は、提供者の方から提供された健康な角膜を、患者さんの角膜と外科的に置き換える手術です。 この手術によって、角膜の透明性を取り戻し、視力回復を目指すことができます。角膜移植には、大きく分けて2つの方法があります。一つは、角膜全体を移植する方法で、もう一つは、角膜の一部を移植する方法です。それぞれメリットやデメリットがありますので、医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが大切です。角膜拡張症は、早期発見・早期治療が非常に重要です。少しでも気になる症状があれば、早めに眼科を受診しましょう。

進行度 治療法 説明
軽度 ハードコンタクトレンズ 角膜の形状を物理的に矯正する
中等度~重度 角膜移植 健康な角膜と置き換える手術
・角膜全体を移植
・角膜の一部を移植

角膜クロスリンキング

角膜クロスリンキング

– 角膜クロスリンキング近年、視力が低下し、物が歪んで見えるようになる角膜拡張症という病気が増えています。この病気は、角膜が薄くなって突出してしまうことで視力が低下するのが特徴です。進行すると角膜移植が必要になるケースもあります。角膜拡張症の進行を食い止める治療法として、近年注目されているのが「角膜クロスリンキング」という治療法です。 この治療法は、リボフラビンというビタミンB2の一種を点眼した後、紫外線を照射することで、角膜内のコラーゲン線維同士をより強く結合させることを目的としています。角膜クロスリンキングによって角膜の強度が増すと、角膜の突出が抑えられ、視力低下の進行を遅らせる効果が期待できます。 また、将来的に角膜移植が必要となる可能性も低減できると考えられています。角膜クロスリンキングは、比較的新しい治療法であり、まだ保険適用外の医療機関もありますが、角膜拡張症の進行抑制に効果が期待できる治療法として、今後も注目されていくと考えられます。ただし、全ての患者さんに効果があるわけではなく、治療に伴うリスクもゼロではありません。そのため、治療を受けるかどうかは、眼科医とよく相談し、メリットとリスクを理解した上で判断することが大切です。

項目 内容
疾患名 角膜拡張症
症状 視力低下、物が歪んで見える
原因 角膜が薄くなって突出
治療法 角膜クロスリンキング
治療内容 ビタミンB2の一種であるリボフラビンを点眼した後、紫外線を照射し、角膜内のコラーゲン線維同士を結合させる
効果 角膜の強度増加、角膜突出抑制、視力低下抑制、角膜移植の可能性低減
備考 比較的新しい治療法、保険適用外の医療機関もある、効果には個人差あり、治療に伴うリスクもあるため医師と要相談

レーシック手術を受ける際の注意点

レーシック手術を受ける際の注意点

レーシック手術は、メガネやコンタクトレンズに頼ることなく、視界をクリアにする効果的な方法として知られています。近視や乱視を矯正することで、快適な生活を手に入れられる可能性を秘めています。しかし、どんな手術にもリスクが伴うように、レーシック手術も例外ではありません。手術を受けることを決める前に、メリットだけでなく、起こりうるリスクもきちんと理解しておくことが非常に大切です。

レーシック手術は、角膜にレーザーを照射して形を変えることで視力を矯正します。そのため、手術を受ける前には、眼科専門医による詳細な検査が必須となります。検査では、角膜の厚さや形状、視力などを細かく調べ、手術に適しているかどうかを慎重に判断します。もし、角膜が薄すぎたり、角膜が変形してしまう病気である角膜拡張症のリスク因子を持っている場合は、レーシック手術は適さない可能性があります。

このような場合は、レーシック手術以外の視力矯正方法を検討する必要があります。例えば、眼内レンズ挿入術やICL手術など、患者様に合った最適な治療法を医師と相談しながら選ぶことが重要です。大切なのは、手術を受けるかどうかを焦って決めるのではなく、医師から十分な説明を受け、納得した上で判断することです。

項目 内容
効果 メガネやコンタクトレンズなしで視界をクリアにする
対象 近視、乱視
手術の必要性 メリットとリスクを理解し、医師と相談の上、納得して判断する
術前検査 眼科専門医による詳細な検査が必要 (角膜の厚さ、形状、視力など)
適さない場合 角膜が薄すぎる、角膜拡張症のリスク因子を持つ
代替治療 眼内レンズ挿入術、ICL手術など